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【検証】嘉田由紀子氏の決まり文句「4人に1人の子どもが親の離婚に直面」

 2024年4月15日、参議院決算委員会で質疑に立った嘉田由紀子氏は、持ち時間の全てを使って共同親権の質疑を行いました。その全体の文字起こしは下記のnoteにあります。

 この投稿では、嘉田氏が冒頭に述べている、「父母の離婚に直面する未成年の子どもさん毎年20万人近くになっております。今75万人ほどしか生まれないわけですから、4人に1人が親の離婚に直面する」という部分について検証してみます。なお、これは、国会質疑、挨拶、講演、FB投稿などあらゆるところで決まり文句のように言っています。2023年3月3日の参議院予算委員会の質疑での同様の発言について、「ありしん@共同親権反対です」さんのnoteで既に「デタラメと印象操作」と指摘されています。

 まず、
「父母の離婚に直面する未成年の子どもさん毎年20万人近く」
 

(1年間に生まれる)75万人ほど」
 
を比べて、
4人に1人が親の離婚に(毎年)直面する」
 
という「計算」は、普通におかしいですね。はい、以上。
 …で済む話なのですが、せっかくなのでもう少し詳しく見てみます。
 出生した75万人は、当然0歳です。同じ年に父母の離婚に直面した未成年の子ども(0~20歳)が約20万人近くだったとして、75万人を20万人で割って「4人に1人」と言っているわけですが、分母と分子の基準が違うものを割ってはいけませんよね?
 しかも、「75万人」「20万人近く」というそれぞれの数字は、なるべく「父母の離婚に直面する未成年の子ども」の数が多く見えるように印象操作するために恣意的に異なる年度のものが使われています。
 
「政府統計の総合窓口e-Stat」で人口動態統計の「離婚」のデータを確認しました。

人口動態調査 人口動態統計 確定数 離婚

 まず、「父母の離婚に直面する未成年の子どもさん毎年20万人近く」というのは、2022年だと約16万人なので盛りすぎです。そして、人口動態統計には、ちゃんと「未成年の人口1000人に対する親が離婚した未成年の子の率」が示されています。2022年は9.27で、約108人に1人です。この値が最も高い2002年で11.95、約83人に1人です。
 
もっとも、これは、未成年の人口1000人に対する、〇〇年に親が離婚した未成年の子の率なので、〇〇年以前に親が離婚した未成年の子の数は含まれていません。もし、「〇〇人に1人の子どもが成人するまでの間に親の離婚に直面している」という値を出したいなら、離婚や人口の統計を使って、もうちょっと複雑な計算をすれば、それなりの推計値は出るでしょうが、それは専門の方にお任せします。
 
嘉田さんは「父母の離婚に直面する未成年の子ども」については、「20万人近く」とあえて最新の値ではなく少し前の多めの値を持ってくるのに対し、出生数については、「約75万人」と、2023年の最新で最小の数字を持ってきて対比させています。ちなみに、今年20歳の2004年の出生数は111万人。当たり前ですが、2023年の75万人までなだらかに減っています。 
 嘉田さんはいつも「学者出身の政治家」として「ファクトベースで」と論陣をはっている風ですが、ちょっと調べるだけですぐわかるような印象操作がとても多いです。正直なところ、ダムとか治水とか嘉田さんが「専門家」を自負している分野で言っていることも疑うようになってしまいました(その分野のファクトチェックは私には全くできないのでわからないながら)。
 また別の検証も追々投稿していきます。

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