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イスラエル建国と中東問題

2020年6月14日

別のnoteに表題の内容を書き始めたんですけど、長くなり過ぎちゃったんで新しいnoteにすることにしました。イスラエルと中東問題に関しては今後も書きたいことがあると思うので、追記していきたいと思います。

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世界の火薬庫(すげえネーミング)と呼ばれる中東ですが、2011年のアラブの春以降、多くの国で長く続いた独裁政権が倒され社会が不安定化したり、シリアでは今なお内戦が続いていたり、といろいろ問題山積の地域ですね。もともと火薬庫の最大の火種はイスラエルだったのですが、最近では周辺国の問題の方が大きくてイスラエルの存在がかすんでしまうほどですね。

イスラエルはユダヤ人が1948年にそれまでイギリス領パレスティナだった地に作った国です。猛反対して怒りに震えて追い出しに来たエジプト、ヨルダン、シリア、レバノンらの周辺国の軍隊を返り討ちにして蹴散らして、建国しました(ユダヤ人どんだけ強いんじゃ!)。

2000年前ローマ帝国に滅ぼされるまでは、パレスティナの地はもともとイスラエルという国でした。国を追われ世界中に散らばったユダヤ教徒たちは長い間さまざまな迫害に会ってきました。極めつけがヒットラーがやったホロコーストです。イギリス、アメリカらの戦勝国はファシズム政権を生み出してユダヤ人たちに辛苦をなめさせた責任の一端は自分たちにもあると考え、ユダヤ人たちに負い目があったんで、イスラエル建国を黙認しました。ホロコーストで酷い目にあったユダヤ人に対する世界世論の同情の声もそれを後押ししました。

イスラエル建国後もイスラエルと周辺国との戦争(中東戦争)はたびたび繰り返されました。でも今現在イスラエルという国がなくなっていないということは、結局イスラエルが全部勝っちゃったということですね。強いですねー、イスラエル。。

イスラエルと和平を結んだヨルダン、エジプト、トルコと他のイスラム教国との仲が険悪になったりと、中東の混乱と不安定の原因の元は、いつもイスラエルだったんですねー。アラブの春で民衆の手によって処刑されたリビアの独裁者でトラッシュトークで有名だったカダフィー大佐は生前「なんで俺たちがいつもヒットラーの尻ぬぐいしなきゃなんねえんだ!」って言ってたそうです。


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2020年6月5日
私の前職はイスラエルの装置メーカーの開発エンジニアです。イスラエルは、それまで2000年間国を追われ、ヨーロッパ諸国などで酷い迫害に会って来たユダヤ人たちが、彼らにとっての約束の地、英国領パレスティナ地区に1948年に建国した国です。エジプトをはじめとする周辺国との激しい争いの末に西側諸国の支持(黙認?)を得て悲願を達成しました。
ユダヤ人と言えば、金儲けが上手い(がめつい?)というイメージがありますが、非常に教育熱心な民族であることでも知られています。異国の地で過酷な状況を生き延びて来た、彼らならではの有名な格言があります。

それは「資産は奪われることはあっても、一度身につけた教育は奪われることはない」と言うものです。

その格言は現在でも生かされており、国をあげて教育に非常に力を入れている国だなあという印象を受けました。イスラエルの主要産業はAIなどの最先端技術の開発で、イスラエルのベンチャー企業が開発した技術がアメリカのビッグカンパニーの自動運転などに生かされているなどのニュースをよく目にします。イスラエル国内にはユダヤ人の他に元からの住民であるパレスティナ人、周辺国やアフリカ諸国からの移民などの貧困層も多く住んでいます。
また常にパレスティナと周辺国との緊張関係があるので、軍事・防衛に多くのコストを払い続けなければなりません。にも関わらず1人当たりのGDPは日本を追い抜き世界23位です。今後も順位を上げて行くと思います。原動力は高度な教育を与えられた優秀な人材に他なりません。

「日本は一人当たりGDP24位か。貧乏なわけだ。。」

2018年IMF統計で26位ですね。20年前は2位でした。
日本>1人当たり名目GDP(IMF統計) - GLOBAL NOTE
https://globalnote.jp/p-cotime/?dno=8870&c_code=392&post_no=1339

「それはひどい。周り見回して貧しいわけだ。海外に出てもよくわかる。」

ですねー。イスラエル、デンマーク、アメリカなどの物価は日本の倍くらいの感じですね。ラーメン一杯2000円とか。当然ワーカーの給料も高いんですけどね。みんな日本来ると、物価安いって言いますね。タクシーだけは高いそうです。

「トルコの空港でラーメン小さいの1700円。鮭のお寿司4巻ぐらいで2400。それでも混んでた。」

イスタンブール空港、イスラエルまでのトランジットでよく利用してました。航空会社のカウンターにいた美しくて愛想の悪いオネエさんとか懐かしいです。

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イスラエルのパレスティナ問題についてはこれまで何度かTwitterの連リプで書いてきました。この機会にこちらに転載しておきます。

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2019年2月3日
イスラエル軍がガザを攻撃するとき、まず自軍に被害の出ないピンポイント爆撃を行います。しかしそれでは武装勢力を完全に叩くことは出来ないので、最終的には地上部隊を投入する事になります。地上作戦ではイスラエル軍にも多くの犠牲者が出ます。

狭いガザを絨毯爆撃するのは簡単なのに、それをしないのは、ガザの一般市民の犠牲を最小限に抑えるためです。一般市民の犠牲者が増えると国際社会から激しい非難を浴びるので、イスラエルはそのことを非常に気にします。

かつてカンボジアやルワンダの大虐殺では、国際社会の目が届かなかったため、百万人規模の犠牲者が出ました。
国際社会の監視の目は、とても大事です。だから命を省みずに現地の状況を伝えるジャーナリストの存在は、人権意識の高い西側先進国では大変尊敬される訳です。

イスラエルのような国にとって経済大国の日本は大事な取引相手ですし、発展途上国にとっては、日本からの経済援助が受けられるかどうかはとても重要です。日本の一般市民に国の悪い情報が流れると、自国の経済に大きな支障が出る可能性があるので、権力者にとっては一大事です。

シリアのアサド政権にしても、いずれは内戦を終結させて復興の道を探さなければなりません。世界第3位の経済大国であり、G7のメンバーでもある日本は、アサド政権にとって経済的にも政治的にも大きな存在です。
つまり我々日本の一般市民の目も、人権上の重要な監視役になっているのです。
 
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2019年3月26日

皆さん、おはようございます。ちょっとめずらしい写真のコーナーです。
2014年7月に私は仕事でイスラエルに行きましたが、運悪くパレスチナとの紛争が始まってしまいました。きっかけはヨルダン川西岸のイスラエル人入植地で数人の少年が誘拐されて殺害されたことでした。それがガザの武装勢力とイスラエル軍との紛争に発展し、最終的にガザのパレスチナ人の死者2158人、イスラエル側の死者73人(軍66人、民間7人)という大規模なものに発展してしまいました。

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写真は私が撮ったもので、ガザの武装勢力が放ったロケットをイスラエル軍のミサイルが迎撃した跡です。小さな雲のように見えるのがそれです。
皆さん、平和について考えて行きましょう。

イスラエル軍の迎撃ミサイルシステムはアイアンドームという名です。韓国が一時導入を検討したり、これの開発に参画したイスラエル企業「エムプレスト社」が日本に事業進出を計画していたりと、ニュースなどで聞いた方もあるかもしれませんね。

ガザからのロケット砲が発射されると、直ちにイスラエル軍のレーダーがそれを捉え、方位、角度、速度などから瞬時に着弾地点を計算します。着弾地が砂漠などの無人地帯の場合は迎撃しません。それ以外の場合、一番近い所に配備されたアイアンドームが迎撃の準備を始めます。
イスラエル全土に配備されたシステムの数は確か10基程と聞きました。因みに一発のアイアンドームミサイルのコストは約500万円だそうです。

着弾地域の住民には、警報が出されます。この警報はスマホのアプリでも受け取ることが出来ます。警報を受けて住民はシェルターなどに避難します。

outubeにオフィスのシェルターに避難する時の動画をアップしました(いきなり大音量の警報が流れるので音量を充分下げてから再生して下さい)。撮影に夢中になって偉い人に怒られてます😁。
https://youtu.be/GtPf2NSaq-E

堅い話が続いてしまったので、テルアビブで一番美味しいと言われたシーフードレストランの写真を載せてお終いにします。お向かいに座っているイスラエル美女の写真はまた今度。

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2020年5月7日
映画「ヒトラー 最期の12日間」にも少年兵たちが出てくるよね。戦局が差し迫って、ヒトラーや幹部たちが隠れてるベルリンにもソ連軍が迫って来る。大人たちはもうヒトラーを見限って、ベルリンを捨てて逃げて行くんだけど、まだ子供のような少年兵たちは、最後までヒトラーに忠誠を誓って戦い抜く。

現代でもイスラム国やアフリカの少年兵の話をニュースで見ることあるね。誘拐されて兵士にされちゃうっていう。
少し前だとパレスティナのテロ組織が、イスラエル国内の自爆テロを少年にやらせるって話もあったらしい。

少年だと警戒されにくいからなんだろうね。人がよく集まるレストランとかディスコなんかが標的にされたらしい。俺は2010年からイスラエル企業の日本法人で働きだして本社のあるイスラエルにも頻ぱんに行ってたけど、もうその時は国内での自爆テロはなくなっていた。ガザとかヨルダン側西域のパレスティナ居住区を高い塀で囲うなどして完全に隔離して行き来できなくしちゃったから。それでイスラエル国内のテロは無くなったんだけど、そうすると今度はパレスティナ人がイスラエルに働きに出たり、物を流通することが出来なくなって、パレスティナ人の生活が困窮してしまった。

ニュースでも時々見るよねガザの困窮ぶりを。イスラエルはパレスティナ人を迫害してるってことで国際社会から厳しい批判を浴びることになってしまった。
ガザ地区はエジプトと国境を接してて、救援物資を運び入れたりしてるんだとか。でもテロ組織の人間もロケット砲と一緒に入って来てしまう。

話が脱線しまくっちゃいました。収拾つかないしこの後用事はあるし、なるべく早く終わらせようとしてます。

ガザは狭い地域に人と住宅が密集していてテロメンバーが隠れるには都合がよい場所とのこと。密集した建物の中からイスラエル国内にロケットが撃ち込まれるから、イスラエルも手を焼いている。自慢の火力使ってテロ組織を爆撃攻撃するんだけど、どうしても民間人の犠牲者も出てしまう。それがニュースやSNSで世界中に報じられて、イスラエル酷い!悪!ってことになる。イスラエルは先端技術を世界に輸出することで成り立ってる国家だから、国際社会の評価を無視する訳にもいかないんです。

本当は爆撃攻撃だけでテロ組織をせん滅させたいんだけど、そういう理由で出来ない訳です。会社の同僚が言ってましたけど、ガザ全土を絨毯爆撃して灰にしてしまえればガザ問題は一日で解決するんだけどねって。もちろん冗談ですけどね。

ただガザは狭いから、やろうと思えば物理的には簡単なことだって言ってました。紛争が激化してガザからのロケット攻撃がいつまでも続く場合、イスラエルはしょうがないからガザに地上軍を派遣します。爆撃攻撃だけならイスラエル軍の犠牲はゼロなんですが、地上戦ではイスラエル軍にも犠牲が出ます。

私が出張に行っていた2014年7月から始まった紛争は大きなものに発展して、結局ガザ側の死者2,251人、イスラエル側の死者67人(うち民間人6人)だそうです。
毎日ガザからイスラエル国内にロケットが飛んできて、その度に警報が鳴ってシェルターなどに避難してました。

すみません。やっぱり話、まとまりつきませんでした。いったん(あるいは永久に)ここでやめます。

イスラエル・パレスティナ問題について詳しく知りたい方は、この本がおすすめです。

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2020年6月11日
コミュニケーションとか人間関係って本質的には難しいものだと思うんですよ。俺は議論好きで知られるイスラエルのユダヤ人たちと机並べて仕事してたんですけど、もう1日中あちこちで大声で議論、議論、議論、でうるさくて頭おかしくなりそうでした。彼らの多くは数学の博士号持ってるんですけどね。

議論って言うほど上品なもんではないですね。口ゲンカそのものです。俺はそのうち本当に殴り合いになるんじゃないかっていつも勝手にハラハラしてました。でも他の奴らは、全く気にせず、ヘッドフォンして自分の仕事に没頭したり、コーヒーや果物食いながらダベッたりしてましたね。

もう男も女もアグレッシブを絵に描いたような感じです。
だから俺は向こう行くときは、ノイズキャンセル付きのイヤホンは必需品でした。それ無しだと絶対仕事出来ません

会議でも白熱するとそんな感じで、、もう本当に怖かったです。
何しろ奴らは男は3年、女は2年、例外なく徴兵行ってて、しかも紛争地域のパレスチナ地区で実戦経験してるから、、。ヘリコプターの上から機関銃ぶっぱなしてたとか、、。

でも、口ゲンカ終ると、ケロっとして、仲良く一緒に昼飯食いに行ったりするんですよ。
最初の頃は「何なんだろう、こいつら」ってよく思いました。
「ユダヤ人が3人集まると10個の意見が出る」って言葉があるそうです(3と10は間違いかも。でもニュアンスは同じです)。

つまり、あいつらには自由闊達(自由過ぎんだろ!)な意見交換を尊重する文化があって、それによってイスラエル社会の発展を実現してるって意識があるんです。
実際イスラエルの政権って、ずっと昔から10個くらいの政党の寄せ集め、つまり連立政権で、しかもそれがしょっちゅう入れ替わるそうです。

今、首相のネタニヤフの汚職が問題になってますけど、あいつはずいぶん長く首相やってますよね。よく頭おかしくならないなーって思ってました。

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イスラエルの話が続いたので、良かったら向こうの職場で撮ったビデオを見てください。いきなり大きな警報音から始まるので音量下げてから再生してください。
https://youtu.be/GtPf2NSaq-E

これは2014年7月に撮りました。ある事件をきっかけにして、イスラエルとガザに潜伏しているパレスティナ過激派組織ハマスとの間に紛争が起こりました。最終的にはパレスティナ側の死者2100人(イスラエル側73人)という大きな紛争に発展しました。

私が出張で本社オフィスに着いた直後に紛争が始まりました。オフィスはガザから30kmのところにあり、連日ハマスが放つロケット砲が飛んで来てました。私が滞在していたホテルがあるテルアビブにも毎日飛んで来てました。ロケットが飛んでくると動画にあるような警報音が鳴り、皆敷地内のシェルターに避難するのです。

ロケット砲はマッハ2という高速で飛行するのですが、ロケット砲が発射された直後にイスラエルの民間会社ラファエル社が開発したアイアンドームという迎撃ミサイルシステムのレーダーがそれを捉え、方位や速度などから着弾地点を瞬時に計算し、その地域の住民に警報で知らせるという仕組みです。警報を鳴らしてくれるスマホアプリもありました。砂漠など無人地域に着弾するものはそのまま放っておきます。被害が出るようなものは2発の迎撃ミサイルで撃ち落とします。
動画の中で空に小さな雲のようなものが見えますが、これが迎撃した跡です。動画にはありませんが、迎撃の瞬間はパーンという乾いた音が聞こえます。

アイアンドームの凄いところはその命中率の高さもさることながら、非常にコンパクトでトラックで簡単に移動できる上、一発あたり500万円というコスパの良さです。湾岸戦争で有名になったアメリカのパトリオットミサイルは1発数億円だったと思います。
もっとも威力などは全然違うのかも知れませんが。。数年前韓国がこのアイアンドームの購入配備を決めたのですが、中国の強い反発に会い、導入を断念したという経緯があります。

動画の中で、バカな日本人が撮影に夢中になってるのを「アホたれ!はよシェルターに入れや!」って叱りつけてる声が聞こえます。声の主は当時この会社の開発部の一番エライ人です。
多分そうは見えないでしょうけど、一応この会社の人達はイスラエル社会の中のエリートの方々です。

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2014年はアイアンドーム(2011年から実践配備)の迎撃精度が高まって、イランで開発されたと噂のあったロケットは性能が悪くて、迎撃率はほぼ100%だったんです。イスラエル側の民間人の死者は6人とのことです。ガザに近いところに着弾するロケットは迎撃が難しいとのこと。

ほんと体験してみて分かること多いですね。「どうして見ず知らずのイスラム過激派に命狙われてんだろうなー」っていう不思議な感じは、やっぱり実際体験しないと分からないですねー。

「ガザに近いところに着弾するロケットは迎撃が難しいとのこと。」
これはロケットの飛行時間が短いからです。ガザにほど近いところにイスラエル人入植者のコロニーがあったりして、さすがに「パレスティナに対する露骨な嫌がらせやなー」って思ったりしました。

ガザは実質的にハマスが支配する地域ですが、エルサレムの一部も含まれるヨルダン川西岸という地域はハマスとはPLOとの関係が深い別のパレスティナ自治政府が統治している地域です。そしてここにもイスラエル入植者の街を作っていて、パレスティナからの反発と国際社会からの非難を浴びています。

2014年の紛争の発端も、ヨルダン川西岸のイスラエル人入植地でイスラエル人のティーンエイジャー数人が誘拐され殺害されたことでした。
私はシリア内戦が激化し始めた2014年に、イスラエルとシリアの国境に存在するゴラン高原に行ったこともあります。

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やはり国際社会の声を無視して支配を続ける国境の町にもイスラエル人入植者のその街には不釣り合いに豪華できれいな家々を見ました。
善悪の判断って一面から物事を見ては決められないとは思うものの、村上春樹が2009年に受賞したイスラエル文学賞の授賞式のスピーチで言った「私は弱い卵の味方でいたい」という気持ちも理解できます。