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日本の男女格差(その2)

2020年7月12日

男女格差においての日本社会の異常性は、男としてこの国で生きているとなかなか気付き難い。そこには気付かない方が男にとって都合が良いからという無意識の自己中心性がある。
しかし世界経済フォーラムが発表している最新の男女格差ランキングにおいて、日本の153ヶ国中121位という驚くべき順位の低さを見れば、日本社会の異常性は明らかである。欧米先進国とは比較にならない低さであるのはもちろん、

(参考)
男女平等度ランキング - 世界経済のネタ帳
https://ecodb.net/ranking/ggap.html

酷い男女差別で知られているインド(112位)より下位で、経典コーランに「女性は男の所有物」と書かれていて男女格差是正の概念がそもそも希薄な中東のイスラム教の国々と方を並べるレベルなのである。
日本は「教育」「保健」の分野では欧米先進国と同レベルであるにもかかわらず、経済分野の評価項目である、企業の経営者・管理者の少なさ、政治分野の女性議員の少なさにおいて世界最低レベルなのである。

つまり教育課程においては男女格差が少なく女性の能力が発揮されているが、ひとたび社会に出ると機会に恵まれず、せっかく男と同レベルの教育を受けているにもかかわらず、女性の能力が生かされていないということである。

経済的側面から見れば、日本社会が生産性を大きく高める潜在能力を持ちながら、自らそれをドブに捨てているということだ。
数年前まで日本より下位にいた韓国が108位に順位を上げてきていることからも分かるように、他国はこの点に気付いて、近年急速に男女格差を是正しつつある。日本だけが旧態依然とした社会システムをいつまでも変えられずに毎年順位を落とし続けている。日本が長い経済的停滞期にいる大きな要因である。

政治の側面から見れば、日本は私欲が少なく公平性を重んじるという女性の良い特性を社会に生かしていない。
私の個人的見解ではあるが、女性の母性というのは、自らの身を犠牲にして子孫を残す女性の宿命と、原始時代から子育ての主役を担ってきた長い歴史から生じるもので、男に比べて子孫の未来に対するコミットが強いのである。子孫にとって良い社会を実現したいという本能的欲求の強さが社会の公平性や正義の実現を求める心に繋がっているのである。
また男は生理的に常に性愛の欲求を持っている生き物であるが、一般的に言って女性にはこの欲求が低い。
さらに男は、自分が社会の階層の上位に座って権勢を振るい、権威になりたいという権力欲が強い(東京都知事のような例外もあるが)。
これらのことは男の方が私欲に惑わされやすく、女性の方が私よりも公を優先した行動をとりやすいということにつながる。つまりこの点から見れば女性の方が政治家に向いていると言えるのである。

コロナ禍の対応で素晴らしい活躍を見せ、世界中から称賛を浴びている他の国々の女性リーダーたち、ドイツのメルケル首相、台湾の蔡英文(さいえいぶん)総統、ニュージーランドのジャシンダ・アーダン首相。彼女らと我が国の首相を比べてみればその差は歴然である。

(参考)
新型コロナウイルス感染症対策に関するメルケル首相のテレビ演説(2020年3月18日) - ドイツ外務省
https://japan.diplo.de/ja-ja/themen/politik/-/2331262

(参考)
蔡総統「経済の力で民主主義を強化」国際フォーラムにメッセージ
http://mjapan.cna.com.tw/news/apol/202006200003.aspx

(参考)
蔡英文さん、過去最多得票を獲得し当選
https://twitter.com/fangyori/status/1215994490843881473?s=20

(参考)
3月25日からロックダウンを実施しているニュージーランドでは、COVID-19の感染拡大状況について、ジャシンダ・アーダーン首相が自ら情報を発信したり、国民からの質問に答えている。首相官邸や自宅から大人や子どもに普段着姿で語りかけ、国民の不安を和らげている。
「ジャシンダ・アーダーンNZ首相による普段着メッセージ」
https://twitter.com/brutjapan/status/1248355001568649216?s=20

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(関連)
日本の男女格差とイチローの差別発言
https://note.com/shig_matsuoka/n/ndf3f07e5500d

レディファーストについて
https://note.mu/shig_matsuoka/n/nde9a7933f1b8