吉野拾遺 下 13 犬王丸山賊ニアフ事

【犬王丸山賊ニアフ事】
 隆俊卿のもとに、めしつかひ給ひし犬王丸、「山だちにあひて矢にあたりなむとしけれども、やうやう逃げのびて」といきもつきあへず、かたりけるを、とのきかせ給ひて、
 梓弓引きてしたへる山だちは 犬追物といふにかあるらむ
とてをかしがらせ給ひける。

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