”転売”の問題 卸売との違い

次は、物流・商流の視点からです。


Part1のときに例を出しましたが、スーパーマーケットやコンビニは”転売”と叩かれることはありません。

買ってきたものを、売っているだけなのに。


生産者と消費者とのマッチング 卸売の意味

元々の転売の意味として買ってきたものを、売っているのが、卸売。


ただ、彼らにはちゃんと意義があります。

今でこそ、生産者と直接やりとりできるようになりましたが、昔だとそんなことはできませんでした。

直接やりとりしようにも、生産者は買い手を探そうにも限界があり、消費者もどんな生産者がいるかわかりません。

農家で考えると、野菜1つとっても無数にいるわけですし、ネットもない昔なら探し出すにしても自分の周囲しかありません。


そこをつなぐのが卸売なのです。売り先の消費者のことを考え、生産者を選び買い付ける。またその逆も然り。
このようにして消費者は、いろいろなものにアクセスできるようになります。

そして、卸売は大口のロットを売り先ごとに小口に細分化する機能です。

生産者は今の時代大量生産を行います。ただ、大量生産したものを小口にわけて出荷するには、生産者自身それなりの労力が必要です。

そこで卸売は、生産者代わってこれを行うのです。

大口ロットで購入し、売り手に合わせて細分化する。僅かしか必要ないのにも関わらず、生産者は大口にしか対応していないとなると、購入できなくなってしまいます。

最後は”目利き”です。

これは、家電量販店が一番わかりやすいのでしょうか。
専門知識を持った人間が、生産者から仕入れ、専門知識があまりない人間に対して最適な提案とともに、売り渡す。

いいものを”目利き”する機能。これにより、購入者は卸売から信頼・安心を持って買うことができます。


この3つの点で、卸売は付加価値をつけているのです。


ネット、ネットショッピングの進展と卸売


ただ、この卸売の機能も現代では薄れつつあります。

ネットの普及により、生産者と消費者のマッチングについては容易になっています。

そして、消費者に直接売る販売店が力を持ち、生産者とつなぐ卸売を飛び越して生産者を直接取り引きを行う形態が増えて行きます。
ネットショッピングの進展による小口配送の利便性が上がったことで、卸売の意味合いは薄くなり、むしろ卸売を通すことで費用が高くなる場合が出てきたのです。


”転売ヤー”の意義

昔から物流・商流をになってきた卸売の存在意義が薄まる中、”転売ヤー”はどうなのか。

ネット販売のない地域限定の現物であれば、多少の存在意義はあります。

ネット販売のない地域限定販売であれば、まず現地に行かねば入手できません。そのため、遠方であればその交通費がかさむことになります。

また、ネットを介さないため、消費者に適切に行き届くわけではありません。


その意味で、地域限定の現物を買い占め、ネットを介して”転売”することは、ネット通販の代行ともいえ、値段が上がった分は”代行費用”と言えます。


ただ、ネット販売のものを買い占め、”転売”することは、事実上”中抜き”と同義です。
上記の卸売の機能を全くなしていないため、存在意義もありません。


目利きなどは、ネット社会によって様々な情報が容易に手に入るため、これも薄まってします。


最後に

”転売”は悪影響しかありません。

多くは語りませんが、”転売”の収益も実際どうなっているのか(所得税を納付しているのか)わからない部分があります。


では、如何に防ぐか。


要は、買い占めさせなければいいのです。

もちろん、価格を上げ、転売ヤーの資金力を削ることも1つです。

根本的に買い占めが追いつかない、意味がないほど生産を増やす。

購入数量の制限をかける。
これは、一人が何度も買うことやアカウントを複数用意することを防ぐため、電話番号や身分証明の紐付け。


ただ、転売ヤーに売らせないようにするのは、ほぼ不可能です。

ひとつあるとすれば、フリマサイトか銀行口座か”転売”収益が入る先を監視し、不当行為(脱税など)がないかモニタリングするくらいでしょうか
(いろいろな点で問題あり)



正直防ぐ方法は難しいですが、この”転売”を容認する人については理解できない。容認している人はなにかおかしい(前提知識や考え方が)

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