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(2)完全から始めるアプローチ

 以前に私が作った「猫と思い込んでいるライオン」という話があります。まずこの話を紹介させていただきます。

「猫と思い込んでいるライオンの話」
 昔、あるところに猫と思い込んでいるライオンが
いました。
 猫と思い込んでいるライオンは、ライオンに憧れ、
ライオンになるためのあらゆる努力をしました。
 勉強して、鍛錬して、瞑想をして、ワークをして、
宗教を信じて、呼吸法をして、食事を変えて、
彼は、思いつく限りのことを試しました。
 しかし、彼はライオンになることができません。
なぜなら彼はすでにライオンであったし、問題は
彼の思い込みだけだったからです。
 ある時、彼はライオンの群れに出くわしました。
そして、君もライオンだよと言われて、はじめて
自分がライオンであることに気づきました。
 今までの努力は何だったのだろうと思いましたが、
彼は、とても、とても幸せでした。

 こういうお話なのですが、大切な話なので色々なところでご紹介させていただいています。この話のポイントは、猫と思い込んでいるままいかに努力をしようと無意味という話なのです。そして、実際の社会ではこういう無意味な努力をしているケースが多くあります。
 原因はいくつかありますが、ひとつは教育という名の洗脳です。明治以降、先進諸国に追いつこうとした明治政府は、産業育成という名の元、労働者という名の奴隷を創る教育の普及に務めて来ました。先生の期待通りの答えを出す子供は、経営者や政治家の期待に応える国民を作り出します。そして、そういう文化が常識となり、さらに常識という名の洗脳
文化、宗教、モラル、メディアを通して行われます。そして、そういうことは誰も教えてくれません。
 その手のメッセージは「あなたは不完全です」、「あなたは不足しています」、「あなたはダメです」、「あなたは病気です」等々、様々な形をとりますが、基本的には「あなたは猫です」というメッセージなのです。そしてビジネスでも商品やサービスを売るために同じように人の不安を煽っています。
 人の潜在意識はそれに従い、無力な貴方を作り上げます。猫としての努力が猫意識の強化になってしまっているのです。「何々になりたい」という気持ちが「何々でない」という意識を強化しているのです。ですから、あなたがまずやるべきことは努力ではなく、「猫意識」を無くすことなのです。
 だから、まずそういうメッセージから離れて「自分は完全である」、「自分は凄い」、「自分はできる」から始めてください。あとライオンの人たちと出会うことも大切です。猫意識の人から離れて、ライオンと共にいるようにしましょう。
 こういう話をすると自意識過剰で社会不適合な人間になるのではないかと心配される方がおられるかも知れません。でも決してそういうことにはなりません。それは別の要因なのです。次に説明させていただきますが、自分が凄いと思っても、他人との関係をキチンとできていたら、そういうアンバランスは起こらないのです。
 また日本人の美徳とされる「謙譲の美徳」はどうなる、と思われるかも知れません。しかし、自然界の動物とかを見てください。彼らは目一杯自分の能力を発揮しながら生きています。自分の能力を発揮してはいけないとか、人に譲らないといけないという発想は、人間だけの特殊なものなのです。もちろん社会のコミュニケーションを円滑にするという意味はあるかも知れませんが、ライオンを猫のままにしておこうとする過去の為政者たちの策略だった面もあると思います。
 さらに自信ということについても話をさせていただくと、私は根拠のない自信こそが本当の意味での自信であり、根拠のある自信は本当の自信ではなく、単なる過去のデータだと思っています。そして、その過去のデータが通用しない状況に遭遇すると脆くも崩れてしまいます。また、新しいことにチャレンジするのに過去の実績やデータなどがあるはずがありません。
 そういう意味で、「完全から始める」と同時に「根拠のない自信を作る」癖を付けてください。この「根拠のない自信を作る」というのに一番良いのは友人とかに「何々を実現する」という経験をしてみてください。また、最近はネットで情報が発信できるので、ネットで、そういう発言をしても良いかも知れません。
 こういう宣言をすると、不思議なことにそれが実現された経験をすることが増えて来ると思います。そういう体験をなるべく増やしてください。自信がないけれど宣言する、やってみる、実際に実現していることを体験する、を何度も体験するのです。私は商品企画を長らくやっていましたが、できるかどうかも分からず、売れるかどうかも分からない商品を、絶対売れると言い切って、トップや開発部門、営業部門、品質部門を説得する訳です。こういう体験が今に大変役立っていますが、皆さんもぜひチャレンジしてください。

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