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(8)自分の中の枠を外す:ロールシフト

 ロールシフトはカウンセリング的な相談で有効な方法なのですが、一番重要なポイントは自分の中の複数の自分に気付くということです。多くの人は自分がひとりの人格だと勝手に思い込んでいますが、実は複数の自分がいるのです。もちろん、人格と呼べる程明確な差であるケースは少ないのですが、実際に複数の自分がいて、その意見の不統一がメンタルな問題を引き起こしています。
 例えば、会社を辞めたいという人がいたとします。そして、会社を辞めたいのに辞められないということを相談したとしましょう。相談されたら普通は、会社を辞めるための方法論などをアドバイスすると思います。しかし、本当に必要なのはその人の中にいる「会社を辞めたい自分」と「会社を辞めたくない自分」の和解と意見統一なのです。
 実は「会社を辞められない」という表現は不適切で、その人の中の「会社を辞めたくない自分」の意見が通っているだけなのです。そういう意味で、世界中の全ての人は、自分の中のどの自分かの思い通りに生きていることになります。願望は実は既に全て叶っているのです。問題は、自分の中のどの自分の問題を叶えるか、もしくは自分の中の複数の自分の合意をどう取るか、という話になります。
 具体的な方法で説明すると、右目か左目のどちらかを手で隠してもらいまず片目になってもらいます。その状態で、どちらの目がどちらの自分かを確認します。例えば、左目の自分が「会社を辞めたい自分」なら、右目が「会社を辞めたくない自分」という具合です。そして、その二人の間で対話してもらう訳です。
 あとは二人の間の意見を調整しながら合意してもらうのですが、合意ができなくても構いません。自分の中でどういう対立が起きているかを気付けば、それでかなりメンタルに楽になります。先程の例で言えば、「自分は会社を辞められないのではく、自分の中の会社を辞めたくない自分の意見が通って、この状態になっている」ということが理解できるからです。それは言葉を変えると「私は自分の望んでいない人生を送っているのではなく、自分の望んでいる人生を送っている」ということに気付くということに他なりません。
 スピリチュアルでは、よく「想いは実現する」ということを言います。これは本当に事実なのですが、この複数の自分に気付いていないと「想いが実現しない」と誤解するのです。「引き寄せの法則」も同じです。自分の中の誰が望んで、誰が望んでいないのか、分からなければ、何を引き寄せているか分かりません。「引き寄せ」をする前に自分の中の複数の自分の意見をきちんと理解することが大切です。そうでないと、混乱に輪をかける結果になってしまいます。
 それからパートナーシップの相談を女性から受けることも多いのですが、最初に「頭の声」、「心の声」、「子宮の声」を聞いてもらうことにしています。そして、パートナーシップの問題を抱えている女性は、この3つの意見が違っているケースが多いです。例えば、頭では年収の高い男性を求めていても、子宮はたくましい男性を求めているとかです。だからまずこの3つの意見を合意させることが何より必要だと思っています。

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