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恐怖PMの神隠し~本当にあった怖いIT話~

はじめに

こんにちは。恐怖探偵協会 隊長の伊藤です。(肩書は冗談です。念の為)

今回は、以前弊社の「納涼! 本当にあった怖いIT話 LT会」で発表して好評?だった「恐怖PMの神隠し」を誌上セミナーとして割愛した点を補足して紹介します。 部屋を暗くして、扉を少し開けておいて たまにふりかえりつつお楽しみ下さい。

※心霊的な怖さは全くございませんが、読んでいて胃がキリキリする可能性がございます。予めご了承下さい
※本書は筆者の前職での体験を元にしたフィクションです


序章 呪われた地へ

それは、まだ暑さが残る秋のことでした。
生存者イトウ(仮名)を含む7名は、流通管理システムのマイグレーションならびに新機能開発を行うという崇高な目的のためにK県の南へ向かいました。

到着した場所は周囲にお店もない陸の孤島でした。メンバーはこの日から、常駐して仕事に励むことになりました。

これから起こる惨劇のことも知らずに…。

現地に到着したメンバーは古の呪術器具を目の当たりすることになりました

  • Windows 95が使われている(VB4.0)

  • COBOLが使われている

  • マイグレーション先にもCOBOLを使う(Windows XP + VB6.0構成)

  • データベース(Oracle)はがっつり使われているがER図など肝心の資料は何も存在しない

  • 紙資料がどうやらあったらしい

よもやま話

Windows95のロゴはWindows3.1と同じだそうです。
COBOL(コボル)という言語は、なんと1959年生まれで還暦オーバーです(C言語が1972年で50周年)。昔はよく使われていたため、まだまだ現役で動いているところが多数ある言語です。しかしながら、新規習得者が少ないため、何かと懸念がある言語となっています。


第弐章 届かないSOS

問題は発生していた。

水面下では、それはマグマのように溜まっていていつ噴火するか分からない状態であった。

マイグレーション作業は予定通り終わるが、それは積み残し作業を新機能開発フェーズに先送りする偽りのオンスケだった。

新機能開発にも不安要素があり、先に技術検証を行いたいとPMに進言するがスケジュール優先を理由に却下されてしまう。

積み残し作業の多さから、このままでは炎上するとPMにアラートをあげ続けた。

しかしながら、アラートはPMが握り潰していた。

そして…事件は起こった

第惨章 神隠し事件

イトウの予感はあたってしまい新機能開発フェーズに入るとプロジェクトは炎上状態となる。

それはプロジェクトが炎上して、数日後のことであった。
忽然とPMが姿を消したのだ。
まるで神隠しにあったかのように。

そして、プロジェクトはサブリーダーがとりまとめようとするが…
彼の正体は妖怪ポンコツであった。

そして、本部からは人月の神話を無視した大量の人員が派遣されてくるのであった…。

妖怪ポンコツとは?

  • 進捗報告ではそれっぽいことを長々と話しているが、結局何も進んでいない

  • 仕事を依頼しても遂行してくれないため、誰も頼まなくなってくる

  • 実は正体を知っている人が結構いた

  • 常にどこか他人事

  • 困ったことに悪い人じゃない

第死章 崩壊していく世界

  • 誰かが言った。「朝、1時間早く来れば1時間長く働けるんじゃね?」

  • 誰かが言った。「終電がないならば、タクシーで帰ればいいじゃない」

  • 誰かが言った。「土曜日って仕事して良い日だよね。」

  • いつの間にか、役員が普通に常駐するようになる

イトウは増えすぎた人の対応のために夕方まで自分の仕事はできない状態が続いた… こうして、世界は崩壊していった。


終章 救世主降臨

イトウは助っ人に来てくれたスーパーハケンKに言った。
「1月中旬までにここまでやります」(現在、12月初旬)

Kは後に語る「無理だろ」と思った 。 しかしながら、KはOracleゴールド保持者でありボトルネックになっていたDB周りをさくさく進めてくれたため、イトウと共に驚異的な生産性を上げ無事に期限内に完成する。

入社以来、病欠0で体調を崩したことがないイトウだったが、ほぼ完成し一安心となったその夜、嘔吐して倒れた。

木曜だったため、明日も休んで月曜から来いとの優しい言葉をかけられる。

奇跡的にプロジェクトは無事に完了し、打ち上げは予算上、大衆焼肉店だったが十分満足する。

後日談

プロジェクトの後始末を妖怪ポンコツと数名で実施していたが、途中でイトウが課長から「うまく行ってないようなのでちょっと行って見てきてくれないか」と言われたとき、露骨に嫌な顔をしてしまい「そういうとこだぞ」と怒られたのは別の話(1週間ほどで無事に収束 新PMに妖怪について愚痴られる)。

ちなみに、皆さん気になる残業時間ですが、100H超えが続き、ピークで130~140程度でした。営業日に5時間残業すると5H ✕ 20で100H、土曜日出勤 8H ✕4で32で132Hです。

たまに200H残業したという武勇伝を聞きますが、日曜日も定時で出勤して+32で164Hなので、ほぼ徹夜して帰らないで仕事してなるレベルになります。徹夜はダラダラしがちで生産性が下がりますので、130H~160ぐらいの残業時間は現実的に非常に厳しいものがあります。

スーパーハケンKさんは、のちに大手SIerに引き抜かれて社員になっていました。

ここまでの炎上状態は初めてでしたが、ボヤで消していく大切さを学べました。そして、度重なる想定外の事態に「ここまでなるのか」怒りを通り越してと少し変なテンションで面白くなってしまいました。体調には気を付ける必要がありますが、1度ぐらい、修羅場(火事場?)を体験することも貴重な経験かも知れません。後にイトウは別の炎上プロジェクトに消防士として派遣されて大きな(?)成果を出すことも出来ました。

敢えて、炎上プロジェクトに入る必要があるわけではなく、いかなる状況下でもプロジェクト成功に導くため最善を尽くすことが大事なことなのかもしれません。

教訓

  • エスカレーションは1個飛ばしでひとつ上の上長にまで共有する

  • 助っ人はボトルネックになっている箇所の人材を優先的に追加する

  • 船頭は複数追加しない

  • 妖怪退治は早めに実施する

  • 週1回は休む

  • 後で失敗するウォータフォールはリスクが高いのでアジャイル開発を検討する

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執筆者プロフィール:伊藤 慶紀
大手SIerにて業務用アプリケーションの開発に従事。 ウォーターフォールは何故炎上するのか疑問を感じ、アジャイルに目覚め、 一時期、休職してアメリカに語学留学。 Facebookの勢いを目の当たりにしたのち、帰国後、クラウド関連のサービス・プロダクト企画・立ち上げを行う。 その後、ベンチャーに転職し、個人向けアプリ・WebサービスのPM、社内システム刷新など様々なプロジェクト経験を経てSHIFTに入社。 趣味は将棋、ドライブ
ラーメン、花火、読書など

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