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地域猫活動に関して思うところ

地域猫活動の難しいところは、「猫を救いたいと思う方」「猫による被害を受けている方」の思いが交錯していることです。関わっている多くの方にご苦労があるかと思います。

これも現代社会の弊害と言えるテーマですが、特に、猫自体には何の責任もないのが切ないところで、できれば解決策を見出したいものです。

今回の記事では、地域猫活動で先行する人たちの知識や事例も踏まえ、私がここ2年あまりで経験した内容から、思うところを執筆させて頂きました。
今後も活動を通じて、考え方をブラッシュアップしていければと思います。



私について

私はまったくこれまで、この分野とはまったく関係のないところで人生を送ってきました。
正直なところを言うと、ノラ猫に餌をあげるのは、やや否定派でした。さくら猫みたいに去勢避妊したりして、人間の勝手な思いでやっているし、ボランティアも時間と金銭に裕福な人がやっているものと思っていました(すみません 汗)。

そんな私がこの活動に関わるようになったのは、住んでいるマンションの周辺の猫が増え、ゴミ荒らしやロードキルが発生していた時のことです。
あるボランティアさんの話を聞くことをきっかけに、活動に関わってみようかなと思うようになりました。(この辺の経緯は、機会があれば、後日記事にしたいと思います)

ー色々な人の思いが交錯する中、なかなか解決に進まないでいるー
もしかしたら、私のように、全然関係ない分野で生きてきて、特に興味もなく、どちらかというと否定派だった人間が関わることが、解決の糸口を見出すことに繋がればと思っています。


共通の目的は明らか

「飼い主のいない猫が減ってい く」という事は、おそらく、ほぼ誰しもの共通の目的なんですよね。
しかし、実際には、お互いに相手をそのようには見ていないです。
利害関係?とは本当に難しいものだ、と思わされます。

活動を通じて気づいた「それ、本当?」

ただ、活動を通じて分かってきた事も数多くあるのです。
今回の表題である「地域猫活動を通じて思うところ」としては、よく聞く有名な通説について、思うところを言及します。


【それ、本当ですか?】通説①餌やりするから猫が増える、餌やりを禁止すれば問題解決する


聞き覚えのあるフレーズかなと思います。
実際、私も以前そう思っていました(あまり深くは知らないし、考えてもなかったので、言われるがままに)。

このフレーズ、結構「強力」です。シンプルなだけに伝播性が強く、関係者の溝を深くする意味でも威力絶大です。
そして、私は、このフレーズこそ、猫の問題解決の弊害じゃないかと思っています。

果たして、餌やりを禁止すると本当に猫が減るのでしょうか。
今のところ、私が見てきた限りでは、おそらく上手くいかない、というのが実感です。
「単純に」餌やり禁止すると、おそらく状況は更に悪化すると思います。

餌やり禁止後の結果
✅ゴミ荒らしが増える
 →お腹を空かした猫がゴミをあさる
✅ますます、猫擁護派と、猫否定派の対立が深まる
 →罰則云々、の話になって余計に関係悪化
✅隠れて餌をあげる人が増える
 →実はこれが最も致命的(と思う)

どういう論理なのか?
そもそも、猫に餌をあげないと猫が減るというのは、どういう論理なのでしょうか。猫が餓〇して減る?。
でも、猫はそんな簡単に、ただ餓〇するでしょうか。猫達も生き物であり、何とか生きようとするはずです。
もし、人間から直接もらえなくても、人間の出すゴミから食料を取れるし、虫や小動物など自然界のものを捕食して生きていこうとすると思うのです。

栄養が減ることで、猫の生存率自体は下がってくるかもしれません。
状態の悪い猫が徘徊し、ゴミをあさり、場合によってはその周辺で〇に至り。。という状況は望まれる結果でしょうか。


では、どうすれば良いのか


✅置き餌をやめる
✅TNRをする/保護する

この通説、本来は「むやみやたらに餌をあげてはいけない」だったのではないかと。

実際に「置き餌」は、結構問題が大きいですが、なぜ置き餌が良くないかは、あまり良く理解されていないかもしれません。

置き餌が良くないのは、「不特定の猫が集まる場所にしてしまう」という点です。多くの猫が集まる場所にしてしまうと、その地域は必ず問題化していきます。
実際のところ、1,2匹の猫では、そこまで問題視されないのです。ただ、10数匹の不特定の猫が行き交う場所になると、様々な問題が発生するようになります。(喧嘩、発情、糞尿、出産、ゴミ荒らし等。。。大変なことになります)


「置き餌はやめましょう」が正しい対策

置き餌はやめましょう。
置き餌をやめれば、いつもその周辺を住まいとしている猫のみ限定して餌をあげることになります。餌をあげたら片付けるからです。
そうして、餌をあげている方が、その周辺の猫たちと顔見知りの関係になってきたら、彼らをTNRしましょう。

TNRは、去勢避妊だけでなく、ワクチンの接種や、ノミダニ駆除も行います。猫自体の健康にも寄与し、周辺環境の改善にも繋がります。去勢避妊した猫達は、行動範囲が狭まり、喧嘩・発情の減少、マーキング臭の軽減効果があります。

そして、自然と他の猫はその周辺に入って来なくなります。猫たちがテリトリーを作り、他の猫が入ってこないようにするのです。(本当は、人間が餌あげによって、猫のテリトリー形成に影響を与えるというのが正しいかもしれないですが)
TNRを進めると、次第に猫の頭数も安定してきます。特に、新たな子猫が生まれないというのは、やはり効果が大きいです。

単純な「餌やり禁止」は、隠れてあげる人(置き餌)を増やしてしまうので、上手くいかないと思っています。


【それ、本当ですか?】通説②餌をやるなら家で飼うべき

これも、世間一般に知れ渡っている「強力」なフレーズです。
そして、これも単純に使ってしまうには、ちょっと問題があるんじゃないかと思っています。

そもそも、外猫に餌をあげる人たちは、猫を不憫に思っているケースが多いいです。何とかしてあげたいと思っている人達にとって、このフレーズは、冷静な判断をさせなくします。
ついつい引き取ってしまうのは、問題です。
外の猫の数は、1匹じゃ済まないのです。。。

猫に限らず、「ペットを飼う」には、ある程度の経済力も必要になってきます。本来であれば、慎重になるべきところです。
そして、複数の猫を飼うとなったら、躊躇う人が多いのではないでしょうか。

(意外に知られていないですが)猫は繁殖率の高い動物です。
交尾排卵といって、人間や犬などの自然排卵とは違う仕組みです。交尾の刺激によって排卵するため、非常に妊娠率が高いのです。

室内などの狭い空間などに、避妊去勢していない猫たちを飼育すると、すぐに繁殖してしまいます。
室内で繁殖する猫を、誰にも相談できないでいると、多頭飼育崩壊に繋がっていきます。
多頭飼育崩壊が起きてしまうと、その影響は、近隣に大きなブーメランとなって返ってきます。

私の支援している地域でも1か所、経緯は異なりますが、多頭になってしまったところがあり、現在も対策に苦慮しています。崩壊し始めると、ご本人の個人レベルではどうにもならなくなってしまいます。。。


「保護猫」と「地域猫」を分けるのが正しい対策

家で飼うのは、保護猫となり、これはペットと同じです。
本当にペットとして引き取れるのか/飼い主として面倒を見ていけるのか、よくよく考慮が必要です。

保護猫として飼えない猫は?、「これまで通り外で飼うしかありません」。
置き餌をせず、TNRをして、「地域猫」として見守っていきましょう。少なくとも放置状態でいるより、必ず状況は改善していきます。


すぐの結果や、完璧を求めすぎないのも重要

結果をすぐに求めすぎると、本当は良いかもしれない対策も、頓挫しがちですよね。
残念ながら今回示した対策でも、カバーできない点があるのが事実です。また、効果を実感するまでには時間が掛かると思います。

それでも「飼い主のいない猫が減ってい く」という事は、誰しもの共通の目的だよね、という点に立ち返りつつ、現状よりも改善を目指してく目線で、関係者で協力し合いながら進めていければ良いな、と思っています。


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