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末期がんの最後の日々に寄り添う〈契約後見〉

Eさん 女性 逗子市在住
委任契約支援歴 9か月  享年68歳
 
本人からの相談 
末期の肺ガンで医師から余命半年と宣告されている。夫はすでに亡く、子どもはいない。夫婦で30年以上暮らした家に一人暮らし。唯一の身内の妹は遠方で病気がちなので頼ることはできない。残された最後の時間に寄り添い、死後の後始末をやってくれる人を探して地域包括に相談したところやすらぎを紹介された。
 
契約時の本人の希望
ホスピスか病院で最期を迎えることになるが、入院中の支援を希望。少しずつ家財を整理したいので手伝ってもらえないか。亡くなったあと、葬儀、埋葬をお願いしたい。
 
契約後の支援経過
・ホスピスの見学に同行する。リゾートホテルのような素晴らしい施設に感激するが、本人は「ここで天井を見ながら死を迎えるのは寂しいわ」と言い、体調が悪化した時はこれまで診てもらっていた総合病院に入院すると言い、主治医の了解を得る。
・末期がんの場合、介護認定を受ければ介護保険のサービスが受けられることを説明し、介護認定の申請、ケアマネとの話し合いなど支援し、掃除、買い物など生活支援サービスを受けられるようにする。
・医師の話を一緒に聞いてほしいと言われ、面談に同席する。
・少しずつ家財を処分したいという本人の希望に添って業者の手配をする。
・葬儀の形(お花をいっぱいに飾ってほしい)、亡くなったことを知らせてほしい人のリスト、納骨するお墓のことなど「指示書」にまとめてもらう。
・危篤の連絡を受け、病院にかけつけ支援員二人で見送る。Eさんらしい穏やかな最期。
・死後は「指示書」通りにお花に溢れた葬儀を行い、埋葬の手配をする。
 
担当支援員の感想
Eさんと年齢が近い女性二人が支援を担当。ホスピス見学のため駅のベンチで3人でおしゃべりをしていたところ「お友だちとご旅行ですか、楽しそうですね」と声をかける人がいた。「そんな風に見えたのね、嬉しい」とEさんが喜んだことが忘れられない。
限られた時間の支援になることがわかっていたので、頻回に訪問しEさんの話に耳を傾けるようにした。
「徒に同情することなく、本人が望まないところまで踏み込みすぎることなく、でも必要なときはいつでもかけつけます」という姿勢で支援する……明るく自立心の強い、泣き言を言わないEさんにどこまで寄り添えただろうかと今でも時折思うことがある。