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ファムファタル  ジョルジュ・バルビエ





フランスが生んだ19世紀最大のイラストレーター、《ジョルジュ・バルビエ》について、本日は私のイロメガネで好き勝手に語ってみたいと思います。

先ず「イラストレーション」と聞いて思い浮かべる定義はなんでしょう。
人によって解釈が若干違うと思うので、少し補足させていただきますね。日本におけるイラストとはアニメや漫画に近い図画を指し、西洋美術におけるイラストは油彩画や水彩画、版画などにみられる芸術品を指します。バルビエのイラストは、この定義で言うところの後者にあたります。

さらに、彼は近代絵画史の巨匠と言っても過言ではありません。
これほどの才能に恵まれたイラストレーターは、過去にそう居ないでしょう。描写力、色彩バランス、構成力があるのは絵描きとして勿論のことですが、表現力が群を抜いているのです。文学的要素の強い彼の作品は観る者を神秘的な世界へ誘い、時に背筋がひやりとする場面をも想像させます。


youtubeリンク  George Barbier

作品の中に登場する人物の眼差しをご覧になりましたか?

官能的で思わず吸い込まれてしまいそうになりますね。
エロティシズムを通り越した後の色香。
妖艶な仄めかしで他者を惹きつけ、大胆不敵な微笑を浮かべる登場人物たち。ロココ様式における貴婦人のイメージを覆すよう、どこかに危うさを感じさせるエッジの数々。これぞ、バルビエの真骨頂!


行き過ぎると少々気持ち悪さを感じるのは事実ですが、第一次世界大戦の騒乱を駆け抜けたアーティストならではの視点が隠されている、と私は思います。


作品は大雑把にいうと二次元(平面的な絵)ということになるのですが、三次元(立体的な絵)よりも実はテクニック上難しいものになります。光と影を使い分けた立体感のある絵の描き方を凄い!と我々は思いがちです。ところが、そんなものはある程度の訓練で誰でも描けるようになるんですね。絵に興味のある人が教え方の上手い先生につき、真剣にやれば1年程度で上達します。これは私が経験してきたことなので事実です。
しかしながら、ここからが大変なのです。テクニックはあるにこしたことはないけれど、二次元(線画)で三次元(立体)を表現したり、名作と言われるような絵画を生み出すには感性やセンス、魂が必要なのですから。


バルビエの絵がいかに洗練されたものかを伝えたかったのですが、ついつい熱が入り暴走してしまいました。私の無駄話はこの辺にしておきましょう。
どこかでバルビエのイラストレーションを見かけたら物語を読み解いてみてくださいませ。

それでは、また

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