思い出のGibson ES-335

忘れられないギターというものが何本かある。大阪時代に使っていたこのギブソンES-335もそんな一本だ。

1976年製で、名古屋の楽器屋から通販で手に入れた。
そのときから状態は悪かった。下手くそな職人がネックリセットをしたらしく黄色いボンドがはみ出していた。ブリッジが陥没していたので、ハンマーで叩いて直した。
フレットレスワンダーというもともと低いフレットがさらに何度も擦り合わされてペタペタに削れており、ナローネック期の極細ネックでとにかく弾きにくかった。
のちに判明したことだがピックアップが偽物だった。楽器屋のオヤジはオリジナルの刻印ナンバードPAFと言っていたが、外してみたらメーカー不明の安物だった。

そんなひどいギターだったけど、でも音は最高だった。現行のES-335には出せない人の声のようなトーンを持っていた。
琵琶の名器から名前をとって玄象(げんじょう)と呼んで愛用し、当時入っていた大音バンドでメインギターとして使った。

最後はネックが修復不能なほど捩じれてしまって、ミクシィで売りに出した。購入希望者と難波の駅前で待ち合せたら、オープンカーに乗ったおじさんがやって来てドライブしないかと誘われた。丁重にお断りしたが、買ったときと同じくらいの値段で買ってくれた。

その後何本もES-335を弾いてみたが、これ以上の個体には出会えていない。いまだに思い出すと懐かしさがこみあげてくるギターだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?