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やさいばたけ

「わーい!きゅうりができた!!
なおちゃんは?」

「わたしはトマト!
ずっと欲しかったんだー!」

何が育つかわからないけど
みんなが願いを込めて野菜を育てる。

これは、不思議な畑のお話。


女の子はトマトができてほしいと思いました。

育ったのはなすびでした。

トマトがよかったので
悲しい気持ちになりました。

どうせわたしなんて。
わたしなんて。

なおちゃんがなすびを見て言いました

「わー!きれいな紫!
とっても素敵だね!!」

それしか褒めるところがないんだなと思いました。


すーおばさんがなすびを見て言いました。

.「美味しそうななすびね。」

『でも全然すきじゃない。
なすびって栄養がないって言われてるんだよ。
意味がない存在なんだよ。』

.「なすびはね、お肌をツヤツヤにしたり、
女の子を可愛くする魔法が入ってるんだよ。」

『え、そうなんだ。』

ちょっといいかもしれない
そう思いました。

翌朝畑を見ると
なすびがおくらに変わっていました。

『え、なんで?みんなも変わってる?』

周りを見渡してみると
みんなは変わっていませんでした。

『いやだ、こんなの恥ずかしい。
誰も気づかないで!お願いなすびに戻って!』

女の子の願いは届きません。

それどころか、
また次の日には白菜に変わっていました。

『こんなに大きいの、隠せないよ…。』

:「ねぇねぇ。」

突然後ろから届く声。 

ドキドキとグルグルで体がかたまります。

『たっくん。…なに?』

:「野菜がどんどん変わってない?」

あー、仲間はずれにされちゃうな。

女の子はそう思いました。

:「とってもすごいね!!
どうやってるの!?
こんなにコロコロ変わるの初めて見たよ!
かっこいいな、すごいね!
僕のじゃがいもだって最高だけど
君のも、とっても最高だね!!」

『あ、ありがとう。
とっても嬉しい!!』

女の子はキラキラと笑いました。

コロコロ変わる野菜、
ほんとは女の子自身も好きだったのです。

キラキラの女の子は
自分の野菜もおともだちの野菜も
とっても素敵に思えました。


翌朝、虹色のトマトができました。 

おおー。これはすごい。


虹色トマト。

変な色だと言う人がいるかもしれない。

でも、女の子はその、
変なところも気に入っているのでした。

『みんなーー!見てー!
虹色トマトができたよーっ!』