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草
「草おひとついかがですか。」
「草おひとついかがですか。」
職を失い一時はひどく落ち込んでいたが
自分で何かできることはないかと考えた結果、
僕は草を売ることにした。
「草を売ろう!」
そう閃いたときには身体中に力が湧いて、
高揚感を抑えることができなかった。
庭に生えている草を引っこ抜いた。
はっくしょん。
「草おひとついかがですか。」
「草おひとついかがですか。」
…なぜ売れない。
興味を持ってもらえない。なぜだ。
雑草はすごいのだ。
抜いても抜いても生えてくる。
アスファルトの小さな隙間にすら生える。
雨が降っても風に吹かれても踏まれても
強くそこに存在する。
その姿に励まされないひとがいるわけない。
雑草をもっと丁寧に扱うべきた。
呼び方を変えた方がいいとさえ思う。
素敵な草と書いて素敵草でいい!
シンプルにそれでいい!
なぜ雑草の良さがわからない!
買えよ!買えよ!!
雑草を見ているとエマーソンの名言が浮かぶのさ。
--絶えずあなたを何者かに変えようとする世界のなかで
自分らしくあり続けること。
それがもっとも素晴らしい偉業である。--
はっっくしょん!!
除草剤撒こ。
雑草アレルギーきつい。