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何故 あれから2週間後 前編

珈琲片手に背を向けて
ブラインドから大通りに目を向ける
アンディとマーズ
下の精肉店はチャイナタウンに栄(ロン)夫婦が営む人気の店だ

「しかし常々思うんだが女は金に執着するな」
アンディがボソッと呟く
「女と限らず権力や地位に執着する奴も居るだろ」
マーズが答えた

あれから2週間ターゲットには何も無く
品のある中年の男一人高級アパートと自宅を行き来するだけだった

毎日朝早く屋敷を出てアパートに行く
帰りは週二回通勤する。
オーダーメードのスーツと鞄を持ち
最寄り駅から駐車場に向かい屋敷に帰る

それが日課だ

「それよりマーズ明日が期日だな…」
「そうだな今夜こそ捉えないとな面目がたたねぇ それなんだが…一つ気になる事がある 毎朝同じ日課で走ってるジョギングの女なんだがアパート走る前に必ず目を配るだろ どうも気になって仕方ねぇ」
「俺も同感だ」
二人は明日報告書と共に事務所を出た
残ったのは飲みきった紙コーヒーの殻だけがゴミ箱に投げ捨てられていた。


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