日商簿記2級 商業簿記 連結会計2

連結会計の学習のパート2です。
前回パート1では、連結会計・連結財務諸表とは何か、連結の処理、主に連結修正仕訳(支配獲得日、1年後、2年後)について学習しました。
支配獲得日には投資と資本の相殺消去、1年後には開始仕訳と、のれんの償却、子会社の当期純損益の振り替え、子会社の配当金の修正、2年後には基本的に1年後と同じルールでの処理をするということでした。
それではやっていきます。

連結修正仕訳では、1で学んだもの以外に、グループ内部での取引に関する債権債務や損益(これを内部取引高と言います。)を相殺処理するというようなものがあります。
例えば、親会社Pと子会社Sの間でPがSに対して売掛金100円を持っているという場合、Pの売掛金100円とSの買掛金100円はグループ外部からみればないものと同じなので相殺する必要があります。
他の例では、PがSに対して100円売り上げている場合、Pの売り上げ100円とSの売上原価100円は相殺する必要があります。
これらの例以外にも、債権債務に関しては、貸付金・借入金、受取手形・支払手形、未収収益・未払い費用、前払費用・前請け収益などが、内部取引高に関しては、受取利息・支払利息、受取配当金・配当金なども相殺されます。
連結修正仕訳によって親会社・子会社間の債権債務が相殺される場合に、その債権債務に関して貸倒引当金が設定されている場合、修正処理を行います。仕訳としては、貸倒引当金・貸倒引当金繰り入れの計上を取消します。
貸倒引当金の計上を取消す際、子会社の株式に関して非支配株主が存在する場合、非支配株主に帰属する当期純損益・非支配株主持分当期変動額を計上します。(なんでなのかはよくわかりません。いったん保留しておきますが、だれか詳しい人おしえてください)
次に、未実現利益の消去という論点についてです。
これは、グループ内の他企業から仕入れた商品がまだ販売されずに倉庫に残っている場合に、その商品のグループ内部での仕入れ値(売値)とそもそもの原価との差額を消去するというものです。
どういうことかを具体例を使って説明すると、例えば、Pが原価100円の商品ZをSに120円で販売し、Sの倉庫にZが残っている場合、Sの個別財務諸表上はZの金額は120円になるわけですが、グループ全体でみれば利益は出ていない(これを指して未実現利益といいます)ので20円の利益は消去される必要がありのです。
要するに、グループ内で取引した商品の原価+α分を消去するというのが未実現利益の消去です。
未実現利益の消去の処理は、親会社から子会社に売り上げる場合(これをダウンストリームといいます)と、子会社から親会社に売り上げる場合(アップストリーム)とでやや異なります。
ダウンストリームの場合は、未実現利益の金額分、商品勘定を減額し、相手方科目として売上原価を計上します。
親会社が未実現利益分を売上に、子会社は商品に計上しているからですね。
アップストリームの場合は、まず、ダウンストリームと同様に商品、売上原価を計上します。つぎに、非支配株主持分がある場合、非支配株主持分の割合だけ、売上原価を非支配株主に帰属する当期純損益に振り替えます。相手方科目は、非支配株主持分当期変動額です。
どういうことかをダウンストリームと比較して説明すると、ダウンストリームの場合は、未実現利益はすべてが親会社に帰属するのでグループ全体でみれば全額が利益ではないのですが、アップストリームの場合だと、そもそも前提として子会社の利益はすべてが親会社に帰属するのではなくて、一部は非支配株主に帰属するので、グループ全体でみると、非支配株主に帰属する分の利益は、グループの外の利益になるのでそれをちゃんとわかるように記録しないといけないということです。
なので、ダウンストリームのように売り上げを全て売上原価でキャンセルしてしまうと、本来あったはずの非支配株主の利益がなくなってしまうのでそれではまずいだろうということです。
非償却性固定資産(例えば土地)のグループ内部での取引に関する連結修正仕訳も商品の場合とほとんど同様です。違いは、商品では売り上げ・売上原価勘定だったのが、こちらでは固定資産売却益・損になるだけです。非支配株主持分相当部分を振り返る処理も同様にして行います。

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