日商簿記2級 商業簿記 連結会計1

今回は連結会計の勉強をしていこうと思います。
商業簿記の中でも1,2を争うだろう複雑怪奇な論点だと思うので丁寧に学習していこうと思います。
同じく商業簿記の勉強をしている人の理解のお役に立てたらうれしいです。

連結会計とは、個々の会社ではなくグループ全体の財務状況を記録することで、そこで作成される財務諸表を連結財務諸表といいます。(これに対して個々の会社の財務諸表を個別財務諸表と言います。)
連結財務諸表は、連結賃借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書から成ります。
連結財務諸表は、グループ内の個々の会社の個別財務諸表をもとに、それにちょっとした修正(連結修正仕訳)を加えて作成します。
親会社がある会社の株式を取得して子会社化したとき(これを支配獲得日といいます)、親会社と子会社の賃借対照表をもとに、連結賃借対照表を作成します。
この時の処理ですが、まず第一段階として、個々の会社の賃借対照表を合算します。(資産、負債、純資産を合計します。)
つぎに、修正仕訳として、投資と資本の相殺消去という処理を行います。
これは、親会社が子会社の株式を取得したときに、親会社の持つ子会社の株式(投資)と子会社の持つ純資産(資本金と利益剰余金)が相殺されるというものです。(なんとなくそんなかんじです。どうしてそうなるのかは突き詰めて考えると結構むずかしそうです)
この時の処理では、子会社の株式発行時の仕訳の逆仕訳と、親会社の株式取得時の仕訳の逆仕訳を同時に行います。
二つの逆仕訳を合算した結果、

純資産→→子会社株式

という逆仕訳が行われます。
親会社が子会社の株式を100%取得する場合には、親会社の持つ子会社株式と、子会社の純資産が相殺されるだけですが、
親会社の取得する株式が子会社の株式の一部分にすぎない場合は、親会社の取得する子会社株式と、それに対応する子会社の純資産だけが相殺され、残りの部分は、親会社の支配していない、親会社でない別の株主が支配している資本ということで、非支配株主持分という勘定に振り替えられます。
つまるところ、

純資産→→子会社株主・非支配株主持分

という逆仕訳が行われるということです。
なお、親会社の取得する子会社株式の金額が、それに対応する子会社の純資産の金額より高い場合、その差額(投資消去差額といいます)は、のれん勘定にで処理します。
例えば、親会社Pが子会社Sの株式100円分を120円で取得した場合、
Sの純資産100円 →→ S株式120円
のれん 20円
という逆仕訳を行います。
ちなみに、のれんとはある種のブランド力のようなものでそれを金額換算したようなものです。
上の具体例では、Pが本来のS株式の金額100円に上乗せした20円分がのれんという名のブランド力になったということです。

ここまで説明してきたのは支配獲得日の連結賃借対照表の作り方ですが、支配獲得日後にも連結賃借対照表の作成は行われます。
この支配獲得日後の1年後に行われる連結賃借対照表の作成にさいしては、前期末までに行われた連結修正仕訳を再度行います。(連結賃借対照表の作成は個別賃借対照表をもとに一から作り直すからです。)
この仕訳を開始仕訳と呼びます。
開始仕訳での処理は、基本的には連結修正仕訳をやり直すだけなのですが、微妙に違っているのは、仕訳で純資産勘定科目の名称の末尾に「当期首残高」とつけることです。

支配獲得日後1年目の連結修正仕訳では、開始仕訳の後に別に当期分の連結修正仕訳を行います。
ここで行われる連結修正仕訳は3種類あります。
のれんの償却、子会社の当期純損益の振り替え、子会社の配当金の修正の三つです。
のれんの償却は、定額法等によって行われ、勘定科目はのれん、のれん償却を使います。
子会社の当期純損益の振り替えは、子会社の当期純損益の中の、非支配株主の持ち分を、非支配株主持分に振り替えます。仕訳上は、非支配株主持分当期変動額と非支配株主に帰属する当期純損益を勘定科目として使います。
子会社の配当金の修正では、配当金の中の親会社の受け取る分については内部取引になるため相殺消去を行い、非支配株主の受け取る分については、非支配株主持分の減少として処理します。
仕訳は、
受取配当金       →剰余金の配当
非支配株主持分当期変動額
のように行います・

なぜかを具体例を使って説明すると
例えば、子会社の配当金が100円で親会社Pの株式持分が60%、子会社Sの持分が40%の場合
親会社Pでは
現金預金60→受取配当金60
子会社Sでは
剰余金の配当100→現金預金100
のように処理しており、
60は内部取引のため相殺されるので
受取配当金60→剰余金の配当60
の逆仕訳が行われ、
差額の40は内部取引ではないので相殺処理する必要はないのですが、非支配株主持分として処理したほうが便利なので、
非支配株主持分変動額40→剰余金の配当40
のように逆仕訳します。
二つの逆仕訳を統合すると
受取配当金60      →剰余金の配当100
非支配株主持分変動額40
となります。


支配獲得日後2年目の連結修正仕訳でも、1年目と同様に、開始仕訳と当期分の連結修正仕訳を行います。
開始仕訳では、支配獲得日の連結修正仕訳と、1年目分の連結修正仕訳を行い(つまり1年目の連結修正仕訳全体と同じ)

連結会計まだまだ続くのですが、長くなってきているのでこの辺で区切ります。
商業簿記難しいですがみなさん頑張りましょう!

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