アサノタカオ 随筆集『読むことの風』のこと。
サウダージ・ブックスより、アサノタカオ 随筆集『読むことの風』がもうすぐ発売となります。
本を読んでハッとさせられたり、心が揺さぶられたとき、まるで風が心を吹き抜けていくような感覚になることがよくあって、この本のタイトルを見た時に、アサノさんにとっての「風」はどんな時に吹いてくるのだろうと、しばらく表紙をじっとみつめておりました。
そこにはすでに、ちいさな風が吹いているように感じました。
アサノタカオさんは、サウダージ・ブックスの編集者でもあり、新泉社・野草社の編集者でもあります。
最近のお仕事だけでも、
山尾三省『火を焚きなさい』『五月の風』
ブッシュ孝子詩集『暗やみの中で一人枕をぬらす夜は』
ホ・ヨンソン詩集『海女たち』
などなど、話題の書籍をたくさん編集されてきた影の立役者です。
『読むことの風』は、そんなアサノさんが、色々な媒体に書かれてきた文章やノートに書かれたものが収録された一冊です。
付録の冊子には、2019年1月に七月堂古書部で、夏葉社の島田さんと開催したトークイベントより抜粋された一部が掲載。
その日は、詩のこと、本や詩集を出版することについて、おふたりが感じられてきたことをたくさんお話しくださいました。
「詩は、個人的なことを振り返ったり、大事にする時間を作ってくれる贈り物」という言葉を、そのまま贈り物のように受け止めた日でもありました。
サウダージ・ブックス、夏葉社、七月堂、それぞれの役目がある、そんなことも話題にあがり、大変励まされたのを今でもはっきりと覚えています。
ブラジルなど、「南」へ向かう旅を経験し、「本のない世界」で、膝をかかえながら雨宿りをした葉の陰で、沈黙にこめられた大事な何かに耳を澄まし、また日本へと戻ってきたアサノさんのなかから生まれた言葉や、作られてきた本や詩集。その真ん中や足下にあることのお話。
そんなアサノさんのお話にそっと耳をかたむけるようにして、この本を手にしていただけたら嬉しいです。
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