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TKA後に重度の可動域制限をきたした方を経験した事はありませんか・・・?

人工膝関節置換術(TKA)は膝痛緩和を主目的に行う手術であり、約8割の方が術後の状態に満足していると言われています。しかし…術後に極度の可動域制限をきたし、難渋した経験はないでしょうか?

術前に可動域低下がなかった患者において、術後12週経過後も屈曲可動域が90°以下の状態が持続するものを”Acquired Idiopathic Stiffness:後天性特発性硬直”であり、TKA患者の4.0%に存在。
(Meagan E. Tibbo, "Acpuired Idiopathic Stiffness After Total Knee Arthroplasty" in The Journal of Bone & Joint Surgery, Vol 101, November 2019.)

私が所属する病院においても同様の比率で存在します。主治医からは「手術中は問題なく動いていたからリハ頑張って」と言われ、患者さんからは「術前より痛みはないから大丈夫」と言われ…結局、可動域はあまり改善せずリハ終了となる症例が多く、理学療法士としてとても落ち込む瞬間です。

では、対策はないのでしょうか?
今回は、基礎知識として手術の要因を調べてみました。

術後に可動域制限の為、マニピュレーションを行うような症例に関しては以下のように報告されています。

・不適切なインプラントの選択
・ギャップバランスの調整が不十分
・術中の膝蓋腱への傷害
・インプラントのアライメント不良
(E. Carlos Rodríguez-Merchán, "The stiff knee total arthroplasty: causes, treatment modalities and results" in Efort Open Reviews, Vol 4, October 2019.)

使用するインプラントのサイズを完全に一致させることはできません。軟部組織の緊張の評価は麻酔下/非麻酔、非荷重/荷重で変化することが考えられます。インプラントの設置に関しては数度の設置不良で術後の可動域にするとの報告もあり、術者の技術によって左右されます。

現状、アライメントはAnatomimal vs Mechanicalどちらに揃えたほうが良いのか?、骨切り前後どちらでバランスを整えるのか?、術者によって意見は違います。AI技術の応用など…術者の技術のギャップを埋める方法も考えられてきているので今後の発展に期待です。

しかし、すべての問題が手術手技の向上だけではすべてに対応できるわけではないと考えています。

手術前後にどうにか対応できないか…
まだ画一的な方法はありませんが、次回は理学療法士として対応できそうな問題に関して考えていきたいと思います。

お読み頂きありがとうございました!



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