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羨望 マジのばばさ菓子

私はまだおばあさんという年齢ではないが、ばばさ菓子をチェックしてたまに買って食べる程度のばばさ菓子ルーキーだ。そんな私にも、マジのばばさ菓子の現場を垣間見られる機会がある。

友達がお盆に義実家に行った時に、家族制度の緊張感と人間の暖かさが交互に押し寄せるようなエピソード実況とともに「義実家で本当に振る舞われたばばさ菓子」の写真を送ってくれたのだ。写真に写る菓子盆のなかに「巨峰の味」の姿があった。

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「巨峰の味」とは、島根県出雲市の「津山屋製菓株式会社」が作っている、寒天のゼリーだ。(公式webサイトによると「ドライゼリー」というジャンルらしい)

https://www.tsuyamaya.co.jp/product/entry/21512jan4904537002604.html

私の近所のスーパーにも定番商品として売られていて、ばばさ菓子ビギナーの私でもこれはポピュラーな商品なんだろうな……という認識があった。でも実際、友達の義実家でマジで振る舞われていると知ると、「やはり、そのシーンで本当に人気のある商品なのか!」とちょっと興奮してしまう。

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「巨峰の味」は、濃縮巨峰果汁が使用されてはいるけれど、今っぽいグミや雰囲気の似ている「彩果の宝石」や「みすず飴」のような濃厚な果汁感ではなく、ほんのり風味がする感じで、香りも控えめ。物足りなさを感じる人もいるかもしれないけれど、緑茶やほうじ茶のお茶請けに合うような感じになっているのだと思う。やや柔らかめの寒天の食感がよく、紫と黄緑のエヴァンゲリオンカラーにグラニュー糖がキラキラとして美しい。この映える見た目も人気の理由なのかもしれない。


もうひとつだけ、私がマジのばばさ菓子シーンを知るつてがある。私の姉はお年寄りと接することの多い職場にいるのだか、たまにお客さんのおばあさんからお菓子をもらってくることがあるのだ。

あるとき、「これ、お客さんにもらったんだけど、玲子が興味あるやつじゃない」と言ってきた。見せてもらうと、「炭焼珈琲」と描かれた個包装の小さな袋に入ってる寒天ゼリーだ。おばあさんがセレクトし、おばあさんからもらった、マジのばばさ菓子。それを見た時の私の気持ちは「羨望」だった。羨ましい。私は普段父母以外のお年寄りと接する機会がないので、おばあさんからばばさ菓子をもらうことはまず望めない。

「ねえこれ写真に撮っていい?撮るだけ、食べないから」と言う私を見て姉は「えっ怖っ……いいよあげるよ、食べていいよ」と言った。

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その時撮ったもの。(懇願して撮った割にぜんぜん締まらない写真だ)

許可が出たので食べてみると、ネッチリというか、ガッチリいうか、噛みごたえのある寒天ゼリーで、濃厚なコーヒーの香りはするものの、苦味はほんのり。かなり甘みは強いのかもしれないけれど、ほのかな苦味と調和しておいしい。私はかなり好きな味だ。姉に聞くと、おばあさんがくれる炭焼珈琲ゼリーは姉の職場でも「もらうとうれしいお菓子」として認識されているらしい。

余談だけれど、「炭焼珈琲」味は私が小学生中学年くらいの時、17年前くらいによく見かけたような気がする。コーヒーゼリーとか、キャンディとか、そういう製品の記憶がある。明るい茶色というか暗いベージュというか、濃いめのチノパンの色に味わいのある手書き文字で「炭焼珈琲」と書いてあるようなグラフィックデザインのイメージだ。そのくらいの年齢の時にコーヒー味というのを初めて口にしてみたりしてインパクトが残ってるだけかもしれないけれども……

この時食べたガッチリと硬い炭焼珈琲ゼリーが忘れられず、近所のスーパーに行ったけれど置いていない。新潟駅に入っている食料品店、頼みの綱の最寄りのイオンなどにもない。調べてみると、この「 炭焼珈琲ゼリー」は愛知県豊橋市の「金城製菓株式会社」で作られたもので、通信販売でも買えるらしい。

でも商品の値段よりも送料の方がかかってしまう。でももう一度食べたい。姉がまたもらってくるのを待つのもいいけれど、パッケージ裏面の原材料名を読み込んだりもしたい。

そんな気持ちを持ちながら仕事帰りに無駄にスーパーに寄ってばばさ菓子コーナーをウロウロしたりしていた。

しかし、去年の11月頃、全く期待せずに近所のイオンのばばさ菓子コーナーに行ったら、なんと、あった。

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願いが通じた、と思うことは人生でほとんどないと思っていたけれども、こんなところで「願いが通じた」を使ってしまっていいのか。いいのかもしれない。

原材料名を読み込んでみると、水飴、砂糖、コーヒー、洋酒、澱粉、香料などからできている。シンプルだ。あらためて食べるとやっぱりガッチリした食感に珈琲の風味がしっかりしておいしい。

この手の寒天ゼリーの食感が好きなので、ふと最近、自分でも作れたりしないかしら、と調べたら、みすず飴風のゼリーを作ってらっしゃる人のブログを見つけた。

https://ameblo.jp/07290405/entry-12062443839.html

なるほど……この手の寒天ゼリーがビショビショにならないのは、砂糖がめちゃくちゃたくさん入ってるからなのか……

お茶と一緒に適量楽しむなら問題はないのだろうけど、私はこのニチニチとした食感が癖になって、作業中などに機械的に口に運んでいたことも多かった。これからは、一日に食べていい個数を決めようと思う。


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