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甘い味噌 そしてピーナツ

私の母は「ピーナツ味噌」が好きだ。ピーナツ味噌とは、「もう飴じゃない?」というくらい砂糖の入った甘い味噌でピーナツをあえたもので、スーパーでは佃煮などが売られている横にある場合が多い。

「このピーナツ味噌を舐めながらご飯を食べるとうまい」と言われても、若いうちはピンとこなかった。甘いものでご飯を食べるのはなんかイヤだな、くらいに思って、積極的に食べることもなかったと思う。五平餅なんかもそうで、ああいう「ご飯なのかお菓子なのかはっきりしない甘い味噌味」というのが少し苦手だった。

しかしなぜか最近ピーナツ味噌のことが気になって、ピーナツ味噌を作っている東京の会社「株式会社 日出味噌醸造元」のwebサイトをみてみたら、

ピーナツ味噌は「おかずであり、箸休め、お菓子であり、お茶請けであり、おつまみでもあります」とある。ちょっとヨハネ黙示録みたいでかっこいい。私が思っていた「ご飯なのかお菓子なのかはっきりしない甘い味噌味」というのは間違っている。どれでもあるのだ。

あの甘い味噌味を白いご飯と合わせるのは私の好みではいまいちピンとこなくても、お菓子としてならわかる。今では洋菓子の世界でも塩が効いている甘じょっぱい味が人気なくらいだから、ピーナツ味噌もみたらし的な甘じょっぱい味と思うと白玉団子や茹でた餅に添えたりしたら絶対おいしいだろう、と思うようになった。

で、先日、ばばさ菓子コーナーをチェックしていたらこんなものを見つけた。

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新潟市秋葉区の株式会社 内山藤三郎商店「越後やわらか味噌ピーナッツ」。「山崎醸造 越後白味噌使用」とある。新潟の企業同士がコラボして作った商品らしい。

パッケージの左上にあるわずか17mm角のイラストを見るだけで、ある年代から上の新潟県育ちは「えちごみそは〜 やまさきっみっそ〜(ポン)」というCMソングが思い浮かぶと思う。

(改めて聞くと、思っていたよりもだいぶグルーヴィでおもしろい)

これはドライ版ピーナツ味噌かもしれない。思わず手に取って買ってしまった。ばばさ菓子研究とか言っておきながらここのところ寒天ゼリーばかりニチニチ食べていたが、お年寄りに大人気なジャンル「豆菓子」に一歩踏み出した興奮もある。

取り出してみると、ピーナツの周りに砂糖を結晶化させてあるタイプの商品のようだ。食べてみると、確かに味噌の旨味と塩気が効いていておいしい。噛み締めると、塩気の効いたピーナツバターのような濃厚さがあって、5粒くらい出しては食べ、もう少し食べたい、と思ってもう5粒出すのを無限に繰り返してしまう。

栄養成分表示を見ると、100gあたり547kcalとあるので、一袋(155g)では848kcalほどになる。素朴な見た目だけれど、ピーナツバターを舐めているようなものだから、おいしいからといって食べ過ぎには気をつけなくてはならない。逆に言うと、山登りなどの体力を使うレジャーに持っていくと効率よくエネルギーと塩分が摂取できていいのではないかと思う。夜はつまみにもなりそうだし……

これを食べて、地元の名物菓子「くるみがんじき」を思い出した。

「くるみがんじき」はくるみを醤油味の水飴でまとめ(ピーナツタフィーのような感じ)、外側を海苔でくるんだお菓子で、これもナッツと甘じょっぱい飴のお菓子だ。子供の頃は「お菓子に海苔って変」と思ったけれど、今になってみると砂糖醤油味に海苔なんて合わないわけがないし、「お菓子にしてもいいしつまみにしてもいい」というような、ピーナツ味噌に似たフレキシビリティを感じる。子供の時以来食べていないけれど、近々買って食べてみようと思う。




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