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「おばあちゃんちにあるまずいゼリー」問題

初めに謝りたいけれど、そんな問題はない。

ただ、私の中にあるばばさ菓子の寒天ゼリーに対する複雑な思いをここに書いておきたい。ばばさ菓子の寒天ゼリーが「おばあちゃんちにあるまずいゼリー」とひと口に括られてしまうのは、私の中で納得いってないところがあるし、もう少しいろいろなばばさ菓子の寒天ゼリーを食べれば、何か掴めるのではないか、という気もしている。

まず、「清流ミックス」の紹介をさせて欲しい。私はなんとなくDJ KAORIさんっぽさを感じている。寒天の清涼感を「清流」と例える雅さが素敵だ。

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これは、割とオーソドックスなばばさ菓子のゼリーではないだろうか。黒い筆文字に鮮やかな竹色の外袋がドープな感じがする。角切りの寒天ゼリーに混じって、もなか生地にゼリーが充填されていたり、もなか生地でゼリーが挟んである「ヨーデルサンド」(何がヨーデルなのかはまだ調べられていない)もあり、ばばさ菓子らしいゼリーを堪能したい時にぴったりだ。

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このヨーデルサンド、見た目から推測するとメロンかマスカット味かな、と思うけれど、何度味わっても「何かほのかにフルーツっぽい風味がする」という感じで、味の正体を掴ませてくれない。もなかでゼリーを挟むとモソモソしそうだな、と思うけれど、清流ミックスのもなかゼリーはもなか生地の口溶けが良いので、一体感が楽しめると思う。

そういう漠然とした味ばかりなのかというと、「はちみつレモン味」などは案外酸味とレモン風味が立っていたりして、変化があるのが面白いと思う。

そして、見逃せないのが外袋左下にある「信州の香り」という小さなバナー。「清流ミックス」を作っているのは長野県飯田市の「株式会社 戸田屋」。また長野県の会社だ。

当時私は偶然に、友達から「すごく素敵だから読んでみて」と教えてもらった秋田県のフリペーパー「のんびり」を読んでいたら、「棒寒天のほとんどは長野県茅野市で作られている」との記述があった。(のんびり vol.5 P11 「寒天の里」より)

ははあ、そうか、だからばばさ菓子も長野県の会社が多いのか。そんなふうに単純に結び付けて納得したりもした。


次に自慢させてほしいのは「紫陽花」だ。

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外袋のデザインはなかなかばばさ菓子以外ではお目にかからない雰囲気だけれど、青の透明グラデーションが金魚鉢のようで爽やかさがある。そして見てください、このお菓子本体のかわいさ。

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めっちゃかわいい。卵白メレンゲ入りの寒天(淡雪)に、赤、黄色、緑の透明な寒天ゼリーが入ってる。切り口がランダムなことで、白く不透明な淡雪から透明な寒天が覗くコントラストの美しさ、偶然できる模様のグラフィカルな魅力がある。これはかなり映える。

これをもらった頃に、スーパーに売っているばばさ菓子には、お茶うけにしたり、来客用のお菓子にする他に、カジュアルなお供えとしての側面もあるんじゃないかと考えることがあった。だからこういうカラフルさが大切なのではなかろうか。

これは友達が「最近こういうのを調べてるんでしょう」と、近所のスーパーで買ってきてくれたものだ。彼女の近所のスーパーはお年寄りのお客さんが多く、この手のお菓子が充実しているらしい。ばばさ菓子に関しては、同じ新潟県内でも、店によって取り扱っている商品が大きく違う。私もこのお菓子は近所では全然見かけたことはなく、すごく嬉しかった。

淡白な淡雪の味とかき氷シロップのような風味のする3色の寒天の味も、初めて食べるけど懐かしい感じがして嫌いじゃないぜ……と思う。そして「紫陽花」を作っているのは長野県飯田市の「有限会社竹林堂製菓」。「ふむ、やはり長野県…」と納得しかけた。


次に紹介する「寒天トマト」は、ちょっと悩ましいところがある。

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まず、外袋のデザインが違う。ばばさ菓子っぽくない。これを見つけたのは「Jupiter」という、ワインやコーヒーやパスタなどの輸入食料品を扱っている、スーパーというよりは「カルディ」に近いような、でもカルディよりはちょっととっつきやすいような、というお店で買ったものだ。

輸入もののお菓子コーナーの一角に、「きなこねじり」とか「生姜煎餅」、各種寒天ゼリーなどのばばさ菓子っぽいコーナーがあり、そこで単純においしそうだと思って手にとった。

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個包装の中にはオブラートで包まれた寒天ゼリー。オブラートで包まれているとやっぱり「ばばさ菓子っぽさ」があると思う。

でも食べると、すごくトマトでおいしい。酸味、ちょっとした青臭さ、濃厚な甘みがネチッと硬めの寒天の食感とマッチしていて、夏にぴったりのおいしさだ。

これを作っている「光陽製菓株式会社」の商品ラインナップをみてみると、確かにばばさ菓子っぽさがある商品たちが並んでいる。

トマトの他にも、「寒天つるし柿」というゼリーも初回に書いたパーティに持っていったけれど、「干し柿の味がしっかりしておいしい」とのことだった。この会社の商品は、くっきりとした味を打ち出しているのかもしれない……と思い、webサイトを見たら、

すごくこだわって作られた商品たちだった。その他にも、「寒天ゼリー」は「光陽製菓株式会社」のある愛知県豊橋市が発祥の地で、発明家の鈴木菊次郎氏によって開発されたと書いてある。

また、別のお菓子屋さんのwebサイトには、鈴木菊次郎氏はオブラートを発明した人でもあったとある。

一口大に切られたゼリーがオブラートに包まれているのが菊次郎スタイルというか、豊橋寒天ゼリーのスタイルとなのかもしれない。そう言えば、前回のエントリーの「炭焼珈琲ゼリー」(もちろんオブラートで包まれている)を作っている「金城製菓株式会社」も、愛知県豊橋市の会社だ。

寒天の生産地だからばばさ菓子ゼリーは長野で作られているんでしょ、と思いきや、愛知県豊橋市にも一大産地があった。なんだか掘ったらまだまだ深そうだなあと思う。

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