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飴のつどい

良さげなばばさ菓子を見つけるのに良い場所はどこか、というとやはりお年寄りのお客さんが多いスーパーなどがいちばん良いと思う。地方のデパートの食品売り場などでもハイエンドなばばさ菓子がチェックできるし、お年寄りが多い地域のコンビニのプライベートブランドのばばさ菓子なども見逃せない。それに加えて、最近無視できないと思うのが100円ショップだ。もちろん、ばばさ菓子のラインナップとしてはスーパーと比べてかなり劣るし、何も見つけられずに帰ることもある。でも、たまにすごい掘り出し物があるというのも事実なのだ。

IMG_9182のコピー

これは数ヶ月前に近所の書店に併設されている100円ショップで掘り出したもので、北九州市の吉岡製菓所という会社で作られている「直火炊き本舗」というレーベルの飴だ。カラフルなフルーツ飴の間にあった、この渋すぎるパッケージ。

私は前職がグラフィックデザイナーではあるが、残念ながらパッケージデザインの経験はないので想像でしかないけれど、このデザインはその道(高齢層向けの食品のパッケージ)のベテランがやっているのではないだろうか。黒と赤と緑という強烈な3色の組み合わせを、金色が和らげながら華やかさを添えている。「地飴(地元の飴という意味?)」「直火炊き本舗」「飴のつどい」という文字がそれぞれ円形のモチーフの中に入っているが、不思議とくどくなく、情報が順番に目に入ってくるようになっている。そして何よりも、めちゃくちゃに目を引く。

パッケージデザインの強さに目を奪われてうっかりスルーしかけてしまったが、「飴のつどい」というキャッチコピーもすごい。「アソート」や「バラエティパック」でなく「つどい」。有無を言わせない「飴のつどい」。渋い言葉使いなのにニッコリしてしまう。

肝心の中身は、こんな感じ。

飴のつどい_味

アイボリー、琥珀色、茶色、渋い緑色の、抑えた色みの美しいカラーパレット。光を通す透明感なもの、ツヤツヤの不透明、ストライプが入っているものなど、質感がそれぞれに違うのも洒落ている。この写真をTwitterに投稿したら、着物を着る方から「帯留めにしたい!」というリプライをいただいた。確かにそんな感じの風情ある可愛さなのだ。

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パッケージ表に「厳選した材料を使用し、直火でじっくり炊き上げました。直火ならではのカリッ!とした食感と懐かしい味」、パッケージ裏に「昔ながらの『風味』『食感』」とある通り、コクのある甘さをベースに、ゴマや黒糖、抹茶、生姜などの自然の風味が加わった飴はとても美味しい。子供の頃はフルーツやミルクなどのポップな味の飴が好きだったけれど、中年になった今はこういうしみじみとした美味しさもわかる。(原材料名に大豆レーズンと書いてあるけど、その2種類がたまたま入っていなかったようで、どんな飴かはリンク先で確認できる。また、コーヒーは隠し味的な使われ方なのかなと予想)

余談だけど、パッケージ表に書いてある「直火ならではのカリッ!とした食感」というフレーズが気になる。飴を噛む派の人へ向けたアピールかもしれない。私は噛む派ではないが、このしっかり硬い飴がゆっくり溶ける感じが好きだ。

大人になってから飴をあまり食べなくなり、なめどきがいまいちわからないところもあったけれど、これを買った頃は減量中だったのもあり、なんか甘いものが食べたいという気分の時になめていた。減量中は余計なカロリーはダメだろ、というのはごもっともだけれど、私の場合は「甘いもの食べたい」という欲をパワーで押さえつけると必ず反動が出るので、あまり我慢せずに少しだけ甘いものを食べて欲を丸める作戦に出ていた。飴のつどいはひと粒が大きめで甘さが濃厚なので、小腹が空いた時の繋ぎになるので頼もしかった。

100円ショップで買うばばさ菓子のいいところは、量がちょうどいいこと。ばばさ菓子はたいてい大袋入りで、買うのをためらってしまうことが多いのだ。飴のつどいも、もし大きな袋入りだったらせっかくの飴が汗をかいてべたべたになってしまいそうで買おうか買うまいか迷ったかもしれないが、100円ショップで見つけたこのサイズはコンビニで売ってるグミくらいだったので、べたべたになることなく最後まで美味しかった。

書いてるうちにまた飴のつどい食べたいな、という気分が盛り上がってきたが、これを買った100円ショップに最近行ったら、もう取り扱っていないようで、100円ショップでのばばさ菓子との出会いは一期一会なのだと知った。

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