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Kストアーはすごい

車で数分くらいの距離にKストアーという店がある。Kというのは伏せ字で、実際はKを頭文字にした苗字+ストアーが正式な店名だ。

去年の夏〜秋、我が県でも新型肺炎ウイルスに感染する人が増え、(今はもっと多いんだけど、当時は今より緊張感があった)外出するのもなんだかですよねということで引きこもっていて、暇を持て余した私と姉は週末たまにイオンに行ったりすることだけがレジャーになっていた。

しかし薄々気付いてくる。週末のイオンというものは、その地域で一番混んでいると言っても過言ではない。なにせサイゼもスタバもサーティワンも地元で人気のラーメンチェーンも出店しているから当たり前だ。で、なんかもうイオンでもない気がしますよね、混雑を避けたいと思うとさ、となったときに、姉に「Kストアー行かないか」と言われた。

Kストアーとは我々が子供の頃からある地元スーパーで、家から少し距離があるために普段はあまり行かない。姉はKストアーの弁当やおにぎりがうまいらしいという情報を少し前から得ていたらしく、その日は昼時を過ぎていたけれど、いちど下見として行ってみようということになった。

日曜日の13時過ぎにKストアーに到着し、少し考えればわかりそうなものだけれど、行ってみたら弁当やおにぎりは軒並み売り切れていた。弁当がうまいスーパーの弁当はそりゃ売り切れているよなと思いながらわずかに残っているものを見ると、小さめの幕の内弁当は揚げ物が少なく、焼き魚と野菜の煮物が入っててヘルシーな感じがして美味しそうだし、深めのトレーにライス抜きのカレーが単独で売られていたりして「なぜ?」と思うけれど、何か確実なニーズを汲み取っている感じがして迫力があった。

さらにお惣菜コーナーにも、ここら辺のおばあちゃんが大好きな「しそ巻き」(甘いくるみ味噌をしそで巻いて焼いたり揚げたりしたもの)もあってドープな感じがする。

精肉コーナーには、私がよく行く大手スーパーチェーンでは毎週火曜日にしか買えない鶏レバーが、ハツと別々になって売られている。まじか。ハツと別にしてくれるの嬉しい。砂肝とかもある。

Kストアーの魅力に震えていたら、もしかして、ここにはイオンや他の大手スーパーチェーンにはないばばさ菓子があるかもと思ったら、案の定、あった。しかもすごく美味しいやつが。

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モノトーンのかっこいいパッケージデザインがひときわ目を引いた、「しその香」。新潟県柏崎市の「新野屋」というメーカーの商品。

https://aranoya.co.jp/

一袋およそ300円で、ばばさ菓子としては普通という感じの値段だけれど、まゆ状の軽いあられに砂糖衣と赤しその塩漬けがまぶされていて、甘じょっぱい美味しさに爽やかなしその香りの、高級感がある上品な味だ。私はコーヒーと合わせてボリボリ食べてしまったけれど、食べてすぐに「これは緑茶とかほうじ茶に合わせたほうがいいやつ」と思って後悔した。

とても上品な味だけれど、二つ三つと食べていると、甘さがかなりはっきりしてくる。隠し味に白醤油も入っていて、ただ甘いだけではなくコクがあって、食べ応えも感じる。満足感が高いのだ。見た目から、越後製菓の「ふんわり名人」みたいな感じかな?と思ったけれど、それより少し粗さと硬さがある 。おいしい。

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私は新潟県在住で、柏崎に比較的近いところに住んでいたこともあるけれど、「しその香」を知らなかった。かなり上質な味わいのこのお菓子を知ることができただけでもだいぶ満足だけれど、もうひとつある。偶然だけれどこれも柏崎のメーカーのお菓子だった。

よく、スーパーのばばさ菓子コーナーで、えび満月、鈴カステラ、たまごボーロなんかが同一シリーズの袋菓子として売られていることがあるが、その系統のものだと思われる。

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この手のシリーズはえんじ色や白などを基調にした落ち着いたパッケージのものをよく見るけれど、柏崎の「株式会社かしわ堂」の「ひとりといろ」シリーズはピンクと黄色の配色が鮮やかだ。この他にもいろいろあったけれど、「巻きせん」を選んでみた。家に帰ってから裏面を見たらすごく味わい深かったので見てほしい。

IMG_5779 のコピー

『飽食の時代といわれて久しく、食生活の嗜好もライフサイクルが短くなり、いろいろなものを少量づつ食したい…』

このコピーが書かれたのがいつかはわからないが、この商品がうまれた時にはこのパッケージはかなり少量パックだったということなのかもしれない。令和の現在ではもっと食生活は変化して、コンビニではもっと少量パックのお菓子が普通になった。ますます『いろいろなものを少量づつ食したい…』と思うようになったということなのだろう。

この裏面を凝視していたら、パッケージ表には「巻きせん」という文字しか見えなかったけれど、正式名称は「ピーナロール」ということがわかった。「ピーナ巻きせん」なのか「ピーナロール」なのか、表記の揺れが味わい深い。「味なレトロ」というレトロ自認もいい。

IMG_5772 のコピー

で肝心の味は、炭酸煎餅のエアリー感と、瓦煎餅などのたまご煎餅系のしっかり感のいいとこ取りという感じで、サク、とガリ、の中間の香ばしい生地にピーナツがアクセントになった、間違いない美味しさだ。

それもそのはず、このピーナロールを作っているかしわ堂のwebサイトを覗いてみたら、見渡す限りこの系統の、甘い系のお煎餅を主に作っているのだ。ちょっとすごいラインナップなのでお時間あ会ったら見てほしい。この系統のお煎餅でこんなバリエーションができるものなのか。

煎餅以外で気になったのはこの「餡入りソフトみそパン」。

「ソフトな食感とレトロな風味」と、また自らレトロを名乗っていて、私たちはあまり新しいものに飛び付いたりはしないぜ、という姿勢を感じる。見つけたら買いたい。味噌と餡子の組み合わせが甘じょっぱくて美味しそうだ。

今回Kストアーで買った「しその香」と「ピーナロール」は、本当に美味しかったし、知らなかった地元の製品を食べることができて嬉しかった。あの時姉と「今週もまたイオン行くか」となっていたら出会わなかったお菓子たちだ。書いていたらまたKストアー行きたい。鶏レバーと弁当とばばさ菓子を買いたい。


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