Ghost love〜つづく約束〜

Endress Memory「つづく約束」

ガチャ。

"アリスとの約束とトキハのもう一つの約束の扉を開ける音がする。"

時はトキハが戻ってきた頃に遡る。
「おはよう!」
「あら、今日早いじゃない。なんかいい夢でも見たの?」
「夢どころじゃないよ、すごい旅をしたんだっ!」
「あら、その時計、プレゼントの中にあったの?いいな、私もほしい。」
「これ、アリスのパパからもらったんだ。」
「あれ、同級生にアリスなんて子いたかしら?」
「だから、ホントに旅に行ったんだって。信じてよ。」
ピンポーン。
「あら、誰かしら?」
とトキハママが扉を開ける。
「あ、トキハママ!トキハ、今日は起きてる?」
「オソレくん、今日は起きてるわよ!
トキハ!オソレくんが迎えに来たわよ、支度しなさーい。」
「今、してるー!」
「あ、ホントだ。珍しい。」
「なんか、昨日いい夢見たみたいだから、聞いてあげてね。」
「任せてください、トキハママ。」

トキハとオソレの登校中。
「…アリスって子が助けてくれたんだ。」
「へぇ!じゃあ、アリスって子はどこに住んでるの?」
「ウォークタウンってどこなんだけど、オソレ知ってる?」
「知らないな、その時計台ってのがどんなのか見たら分かるかもだけど、トキハ絵下手だからなー。」
「オソレも信じないんだー。」
「信じてはいるよ?じゃあ、そのアリスって子に再会したら、1番に教えて、紹介してね!」
「もちろんっ!」
キーンコーンカーンコーン。
と学校のチャイムの音がする。
「やばい、急げトキハ!」
「ああ。」

時は現在に戻る。
「意外に早かったな、トキハ。」
「ここで何してるんだ、オソレ。」
「何って、約束を果たしてもらう大舞台を用意してあげたのに、そのいい方はないな、トキハ。」
「あの人と約束したの?トキハ。」
とアリス。
「まぁ、昔にちょっとね。」
「トキハが、俺に1番にアリスちゃんを紹介してくれる約束をしたのさ。でも、何ヶ月もなっても紹介してくれないから、俺から紹介のチャンスをあげただけさ。」
とオソレ。
「お前、まさかそれだけの理由でこの町を危険に晒したのか!?」
「まさか。まあ、それも一つあるけど…」
と教卓の下から何か取り出す。
「あ、それは!」
とトキハ。
取り出したのは、あの時あった大きなかぼちゃだった。
「やっぱこれで"旅したんだな"」
「お前、知ってたのか!?」
「知ってるも何も俺が届けたんだから、これ。だから、あの時信じてるって言っただろ?」
「オソレが?そもそもそのかぼちゃってなんなんだ?」
「俺のウチの神社で、育ったかぼちゃでな、他にもたくさんかぼちゃあったんだが、このかぼちゃだけ、怨念が宿ってるって言って燃やされそうになってたんだ。
でも、そんなのお粗末だろ?だから、トキハの家に届けてやったんだ。お前食いしん坊だから、綺麗に食べてくれるだろうと思ってな。」
「そんなかぼちゃ食べさせて、もし死んだらどうするつもりだったんだ。」
「ただ怨念がついてるだけで、死にはせんよ。怨念は死者からのメッセージだからな。深い夢に落ちるだけさ。」
「お前な。なんで、そこまで恨んでいたんだ?」
「恨んじゃいないさ。お前優しいから、なんとかしてくれるって思っただけさ。それより、よかったじゃないか、俺のおかげで運命的な出会いができたみたいで。」
と笑いながらいうオソレ。
「お前な。」
とトキハ。
「ちょっと待って。じゃあ、オソレくんはその怨念をはらすためにトキハにかぼちゃ渡したんだよね?」
「ああ。」
「じゃあ、今この町にいるゴーストはなんなの?」
「それは、つい先日俺の父さんがなくなる時にこのかぼちゃがウチに届いたんだ。宛名なしで。この笛と一緒にな。」
「なんで?」
「さあ、それは俺にもわからん。ただ、父さんが剣と盾を持った者がくるから、この笛を渡してくれって言って死んでいった。」
「その笛吹いたら、犬達消えるんだろ?僕たちに任せて、渡してよ。」
とトキハ。
「ただ、これ吹いたら死ぬぞ?」
「え。」
「これは全ての怨念を吸い取るものだからな。」
「そんなの、なんであの子達に渡したの?吹いちゃったらどうするの?」
とアリス。
「いいじゃん。あいつら、お前たちに対する怨念やばかったぞ?」
「それでも、大切なタメだし。誰だって嫉妬なんか人間するんだから、渡しちゃダメだよ。」
とアリス。
「じゃあ、どうするつもりなんだ?この量のゴースト達。」
「…あのさ、思ったんだけど、そのかぼちゃ切ったら終わるじゃ?」
「これか?」
「確かに。怨念の元凶だし、」
「バカ言うな。切ったら、怨念溢れて出してみんな呪われるぞ?」
「あ、それならいい方法あるかも。」
とアリス。
「どんな?」

それは剣で切って、怨念をバリアで包み込む方法だった。
「やるしかないか、とりあえず。」
「ああ。」
教卓の上にかぼちゃを置く。
「じゃあ、私の合図で切って。投げ込むから。」
「分かった。」
「気をつけろよ。」
「ああ。」
「せーの!」

かぼちゃを切ると、黒い光が漏れ出る。
と共にバリアを開く。
綺麗にバリアで包み込み、黒い光が消える。
バリアを消す。
「やったか。」
突然、トキハが倒れこむ。
「え、なんで!?」
「だから言っただろ。」
とトキハに歩みよる2人。
「待ってなさい。」
の声とともにトキハにマントが被さる。



ー20歳のクリスマス。
「ようこそ、おかえり。私の街へ!」
「ただいま!まさかホントに僕の町の裏側にあるとはね…。」

そう、あの戦いに勝ったアリスとトキハの2人は恋が実り、恋人となり、時はたち、
20歳になった誕生日の記念にようやく、アリスの街、ウォークタウンに2人揃って帰ってきたのだった。

「でもまさか、アリスが時計職人にホントになるとは思わなかったな。」
「トキハの方こそ、記者さんでしょ?すごいよ。」
「そんな事ないよ。で、今日はここに来たには訳があるんでしょ?」
「さすが、お察しを。今日はこれを渡したくて…」
とポケットから懐中時計が出てくる。
「あ、これ…動いてる!?直せたの!?」
「そうだよっ!私、腕上がったでしょ?」

実はあの戦いが終わってから、2つの懐中時計は動かなくなっていた。
この時計を直すために、アリスは時計職人に、オカルトに興味が出たトキハは記者へとそれぞれの道に進んでいた。

「じゃあ、僕からもこれ。」
とアリスに小包を渡す。
「何これ?」
「開けてみて。」
アリスは小包を開ける。
そこには、時計の針が形どられた指輪が出てきた。
「え、これって…」
「遅くなったけど、これからもっと深い時間を僕と歩んでくれませんか?」
「…喜んで。」
と泣きながら抱きつくアリス。

こうして、2人は深い恋愛へと進むのであった…。

ーとある街。
ガチャ。
部屋に入ると、そこにはかぼちゃがあった。
「え、何?このかぼちゃ。」
と触れると、大きな光に包み込まれ、少女は消えて言った。
カチ、カチ、カチ。と新たな時が進む音。

    Next endless time and memory.....

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