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日本の美意識 | 文化・工芸・アート

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世界で人気の高まる日本の美意識について綴っていきます。 1/侘び寂び 2/間と余白 3/禅 4/陰翳 5/自然観 6/日本の茶 7/縁 8/用の美 9/金継ぎ 10/渋い
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#海外

陰翳

1939年に発表された谷崎潤一郎の随筆『陰翳礼賛(いんえいらいさん)』は、日本の美意識を広く海外にまで伝えている本の一つです。日本人がいかに薄暗がりが好きかということを独特の文体で描いたこの書は、日本の美学に興味を持つ外国人やデザイン、建築を学ぶ学生にとっては必読書となっており、哲学者のミシェル・フーコーや世界的な建築家である安藤忠雄らも大きく影響を受けたとされています。 陰翳とは何か「陰翳」とは光の当たらない暗がりのことですが、真っ暗な闇を指しているのではなく、光の存在を

序章 - 世界の中の日本

海外の人に日本の魅力を語るとき、みなさんはどんな言葉を思い浮かべるでしょうか。「桜/Sakura」「富士/Fuji」「鮨/Sushi」「侘び寂び/Wabi Sabi」。こうした言葉に続いて、「工芸/Kogei」という言葉を世界に広めたい。それが、私たちの活動に通底する想いです。 ものづくりの国、職人の国日本は、高度経済成長を経て、ものづくりの国として世界で評価を高めてきました。今では、様々な国の人が日本製の車や電化製品は品質が高いと言ってくれます。数年前に、ドバイに行った際