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日本の美意識 | 文化・工芸・アート

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世界で人気の高まる日本の美意識について綴っていきます。 1/侘び寂び 2/間と余白 3/禅 4/陰翳 5/自然観 6/日本の茶 7/縁 8/用の美 9/金継ぎ 10/渋い
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2021年5月の記事一覧

「侘び寂び」と同じく、広く海外に伝わる言葉である「禅/Zen」。スティーブ・ジョブズが影響を受けたことで、東洋的な精神性の一つとして、海外でも興味を持つ方が絶えないようです。「禅」と聞けば、まず真っ先に思い浮かぶのが、「座禅」です。元々、禅は大乗仏教の宗派の一つであり、「禅宗」の略語ですが、座禅を行い、心を落ち着かせることに重きを置くことから、現在ではマインドフルネスの一つとしても応用され、国内外の企業に注目されているものでもあります。本来は仏教の一つでありながら、「禅とは何

間と余白

日本ならではの美意識を語るとき、侘び寂びと同じように、「間/Ma」と「余白/Yohaku」という言葉も欠かせないものです。「間」は、主に演劇や音楽、対人関係の中で意識されるもので、「余白」は美術やデザインのような平面的なものにおいて、頻繁に用いられる言葉です。では、これらの意識は、どのように日本で育ったのでしょうか。 何もないことは豊穣「間」や「余白」という意識には、仏教の「無」や「空」という概念が元にあると考えられます。キリスト教では、「無」とは「有」の対義語で、ただ何も

侘び寂び

「侘び寂び/Wabi Sabi」は、禅の影響から生まれた、日本の伝統的な美意識の一つです。「もののあはれ」や「いき」など、日本には古くから様々な美意識があるものの、侘び寂びは、現代において、海外にまで広く伝わっている言葉として、特別な存在と言っていいものです。私自身も、日本で暮らしていたときには、ほとんど意識することのない言葉でしたが、海外で暮らす時間が長くなるにつれ、「侘び寂び」という美意識が、自然と自分の中にあることに気づくようになりました。 「侘び」と「寂び」「侘び寂