プロになる為の10000時間のウソ

プロになる為の10,000時間のウソ

音楽業界のみならず、10年ほど前から語られている事ですが、プロレベルのスキルを身につける為に必要な練習時間は、およそ10,000時間であると言われてきました。

例えばギタリストになりたい、ピアニストになりたいなどと言った場合、膨大な練習量が必要になってくる訳ですが、プロになった方々がそれまでにかけてきた練習の平均時間が、10,000時間であるという統計から導き出されており、一日3時間で約10年かかる計算。
演奏家の道を目指した事がある方なら、一度は聞いた数字かもしれません。

しかしながらこれは、「プロになった人のみの統計」
つまり「プロを目指したが成れなかった人」の数値は反映されておらず、別の見方をすれば、実際にはその何倍もの時間をかけても、プロに成れない場合が大いにあるとも言えます。

特別な才能がある人だけしかプロになれないの?

結論から言ってしまえば、答えは「否」です。
堅苦しい言い方をすれば、人間工学的な観点や科学的根拠が乏しかった時代2000年に入る以前では、あまつさえ精神論がもてはやされ
「頑張れば成れる」「気合と根性」「黙々とやり続ける」などの言葉を多く聞いた時代でもありました。

その後、2008年には10,000時間の根拠とも言える、マルコム・グラッドウェル氏の著書「Outliers」が発売されますが、最新の研究ではこの10,000時間という根拠が、条件やプロセス次第では覆されているように思います。

具体的な条件やプロセスとは?

ずばり大切なのは、練習時間の「量より質」
毎日ひたすらに練習したり、頻繁にライブを行ったりも、もちろん効果はありますが、プロの演奏家の方々とディスカッションすると、ほとんどの方が口をそろえて「100回のライブより1回のレコーディング」の方が確実に上手くなると答えます。

これはあくまで技術的な要素に限った話ですが、理由は至極簡単で「レコーディングは誤魔化しが効かない」からに他なりません。

もちろん、レコーディングだけしていてもライブが上手くなる訳ではありませんが、ライブでは多くの場合「正確な演奏よりもカッコよさ」が求められたり、多少のミスなども「その日しか見られなかった演奏だ」とも評される事もしばしばあったりします。

DTMは上手くなる為の最適解

音楽講師としての私の生徒さんの中でも、ベテランギタリストの方はとても多いのですが、自身の演奏を録音できるようになると皆さん口を同じくし「自分は今まで何をやってきたんだ」と途方に暮れてしまう事があります。

けれどこれはとても良い事で、レコーディングして始めて見つけられる自身の演奏の粗に気付けたという事。
言い換えれば、今までの練習内容では得られなかった成果でもあります。

一昔前のMTR(マルチとラックレコーダー)などでは確認できなかった、演奏の細かい部分まで、DTMはいとも簡単にそれを「見える化」してくれます。

誤解を恐れずに書きますが、私もプロの演奏家の方々と同意見で
「100回のライブより1回のレコーディング」だと思います。
量より質を意識しつつ、可能であれば1回でも多くレコーディングを行い
できる事なら毎日の様にDAWソフトに録音して行きましょう。

特別な才能が無くとも、実のある練習を積み重ねれば
10,000時間の壁を突破して行く事が出来るかもしれません。

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シバっさんtwitter @shibassan_dtm


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