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てきとうに暮らす日記 18

 かなり根をつめて考えた仕事の原稿を送り、延々と校正をしていたら、目が覚めて、え、さっきの長文全部夢なん、となる(校正部分が夢で、原稿はちゃんと書いてました。よかった)。前に映画かなんかで夢の中ではスイッチが押せないとか文字が読めないとかあれこれ言うててほんまかなと思ったけど、その後夢の中でスイッチも押せたし、文字は完全に読めるというか校正作業ができる。そういうの、人によって全然ちゃうのやろうな。わたしは夢の中でも常にわたしやけど、ほかのものになってるという人の話を聞いてめっちゃびっくりしたし。
 この、自分と自分じゃない人とは違うというのはこの日記的ななにかのテーマの一つで、何日か前にてきとうに料理作るから2、3割はいまいちなものができて、と書いたけど、2、3割?多っ!って思った人もいてはるやろうな。わたしはきっちりするのがめんどうやから2、3割いまいちでもあの香草塩とか生七味とかかけといたらなんとかなるしと思ってるけど、出来の悪い率が高くてかなしくなるくらいならきっちりする、得意なものだけ作るほうが断然楽という人も多いと思う。わたしは外食でも、知らないものとか食べたことないものを頼むタイプで、友達に「確実においしいとわかってるもののほうがよくない?人生で限られた食事の中で1度でも外れがあるとすごく損した悲しい気持ちになれへん?」と聞かれて、そんなに悲しくなる人もいてるんやなと気づいた。わたしは、1回のごはんがハズレやったことよりも、頼まなかったアレがもしかしたらめっちゃおいしかったかもしれん、この世にはまだわたしが知らないものすごくおいしいものがあるかもしれん、という気持ちのほうが大きいので、今まで何回もハズレてるけど、これどうするねんていうのんを頼んでもうてごまかしながら飲み込んだこと何回もあるけど、そんなに気にならない。それに、ハズレたらハズレたで文章に書けばいい、むしろネタが増える、という得な仕事してるし。その友人の場合は、子供のころいつもと違うものを選んで失敗すると両親からすごく怒られたという経験もあって、今までの経緯も人それぞれやもんな、と思う。だから、失敗しても頼んだほうがいいよ、とも自分じゃない人に対しては思わない。
 記憶に残るおいしなかった食べものとしては「カレーヨーグルト」があり、これは20年ほど前に忘れもしない、京都の今出川のファミマで、みんなでお酒飲んでた途中で買い出しに行ったから勢いで買ってしまった、インドっぽい象のイラストが描かれたパッケージであった。食べてみるとそのまんま、カレー味のヨーグルトで、甘くもなく辛くもなく、めっちゃまずいというのでもなく、どうしたいのかようわからん味やった。カレーなんかヨーグルトなんかわからんというか、おかずかおやつかわからんというか。ファミマってデザート棚充実してたやん、当時のコンビニの中では。そのいっぱい並んでる中にあってん。
 その後、たまたまそれを開発した人のインタビューが新聞に載ってたのに遭遇した。社内アンケートでは5割の人が食べてみたいという結果だったので商品化した、と言うてはった。なかなかのチャレンジャーやな、っていうか、その頃はまだ今みたいに世知辛くなくてそういう商品でも出せたんやなあ。カレーヨーグルト、衝撃を受けた人が多かったのか、ちゃんとWikipediaに項目があります。
 写真は、「プリンエル」を低脂肪牛乳で作ってみたやつです。脂肪分が普通の牛乳の50%です。フルーチェは、ペクチンと牛乳の成分が反応して固まるので低脂肪乳ではできなくて、「プリンエル」どうなんやろと心配したけど、ちゃんとできました。味もこないだ作ったのとそんなに変わらない。普段と違う生活で運動不足かつ食べ過ぎになってる人も多いと思うので、牛乳消費も脂肪は減らす方向でやってます。料理は実験やね、とチャレンジ精神のある方、もしくは論理的に理解できたほうが作る気がするという方には、『Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピオライリージャパン』(オライリージャパン)ていう本がおすすめです。わたしのは初版やけど、改訂した第2版が出ています。タンパク質の変性とか焦げるって科学的には何が起こってるかなどを解説しつつ、いろんな料理の作り方を教えてくれます。

(4月23日のぶん)
 

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