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てきとうに暮らす日記 16

 「よう知らんけど日記」の原稿を書いて送る。この日記もだんだん実際の日付けとずれてきたけれど、「よう知らんけど日記は」もっと大幅にずれていて、半年とか、1年近くずれたこともあって、去年の後半をちょっとジャンプして、今は今年の3月のところ。こんな調子でも連載を続けさせてもらっているのはありがたいというか、心が広いとしか言いようがない京阪神エルマガジン社さま。連載を始めたのは2011年の2月ごろで、そのあとすぐに地震があった。日記を書かないわたしが日記のようなものを書いていてそのおかげでその時のことを思い出せる。
 それで、今年の2月や3月のことをスケジュール帳やiPhoneの写真を見て思い出していると、今は違う世界にいるなと思う。同じ世界やけども、2月には戻れない世界。でも、そういうことは今までも何度もあったし、ずっとそうなのかもしれない。
 スケジュール帳は、3月の後半から真っ白で、その前と比べてみると家でする仕事でそんなに出かけないといってもそれなりに予定があったのやなと思う。2月はまだライブや演劇も観に行ってた。家にいるから本を読もう、という文言もよく見かけるけれども、わたしは今のほうがあんまり本は読めていない。
 スーパーに行くと、買う人が増えてるというだけでなく、製造や流通にも影響出てるんやろなそらそうやんな、という感じで少なくなっている品物がある。店員さんも、この日記を書き始めたころに比べたら重装備になっていて、疲れるやろうな、大変やろうな、と思う。小麦粉やベーキングパウダーやドライイーストやホットケーキミックスが空っぽになっていて、子どもが家にずっといたらホットケーキとか焼くやろな、パンも作ったりしてはるんかな、と想像して、先日炊飯器パンはいまひとつうまくいかんかったというかいやそれほどでもないんやけどうまくできた感が足りなかったので、別の作り方でやろうと思ってベーキングパウダーを探してるんやけどずっとない。パンのうまくできた感が足りへんかったんは温度管理か?と先日書いたけども、捏ねるのが不足やったのでは説に傾いてきている。そうかー、もっと捏ねないかんというのは、いらちのわたしにはやはり向いていないのかもやな。しかし、その家にいる時間が長くなって今パンを焼く人が増えているというインターネットで読んだ記事では、捏ねるのがストレス解消になっているとあり、うん、確かに会社員時代の先輩でパンを焼くのが趣味やった人もパン生地にストレスをぶつけている(実際投げたりたたきつけたりする)と言っていたなあ。
 15年くらい前に、「Hanako West」て「Hanako」の今は休刊になった関西版で働く女子にインタビューをする連載をしてたことがあって、そのときに話を聞いたなんの仕事してはる人やったかなあ、20代の女子が、趣味がないのが悩み的なことを話してて、ときどきパンを焼くけど月に3回ぐらいやからとても趣味とは言えないと言うので、えー月3回はじゅうぶん立派に趣味やでと編集者さんと共に言うたら、趣味と言えるのはもっとちゃんとやってる人だから、と言っていたのを今もときどき思い出す。
 この日記のタイトルの理由は「ていねいに暮らす」以外のやつ、と5日目ぐらいに書いたけども、それがあかんということではまったくなく、ていねいにしたほうが気持ちよく暮らせる人はそれで全然よくて、わたしだって部屋が片付いてたらええのになーと思うし、なんていうかあのパンを月3回焼いてる子みたいに、もっとすごくちゃんとしてる人がいるから自分はできてないみたいな謎のプレッシャーが、でも世の中にけっこう広がっており、なんでなんやろなーと、そういう気持ちからです。
 だから今、家で今までと違う生活をしててパンを作って穏やかに過ごせたらいいし、こんな中でも休めない仕事で疲れてて、あるいは家にいてるのに何もできなくてなんか落ち込んでしまって、という人もちょっとでも楽に(作業も気持ちも)日々を過ごしていけたらいいなと、これを書いている自分がいちばん自分を納得させようとしてるのかもしらん。
 こないだツイッターで見た、刺身用のサーモンを塩昆布で和えて置いといたらおいしいというのをやってみたらこれはおいしかった。
(4月21日のぶん。写真の雲は別の日) 

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