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「辛い」のお話

皆さんタイトルをどっちで読みました?
「からい」ですか?「つらい」ですか?

私は「辛い」が「からい」とも「つらい」とも読めるのが紛らわしくて正直イヤなんですよね。文脈を考えれば読み間違えることはないんですけど、「辛い」という字を見ると強制的に両方の読みがイメージされて、本来の文章にノイズが入る感じがあるんです。

思うに「からい」が曲者なんですよ。文章への登場頻度は「つらい」のほうが多いでしょう。気持ちを表現する機会は多いので。ただ「からい」は味覚という五感に直結した言葉なので、瞬間的にイメージされてしまうのです。

そのせいで「失恋して辛い」といった文章を読んだときに、「からい」という言葉のスパイシーなイメージがどうしてもチラつく。
「つらい」と「からい」で言葉の持つニュアンスに開きがあることも相まって、文章の雰囲気が損なわれるのです。
(色で言うと「つらい」は寒色系で湿っぽいイメージ、「からい」は赤系のピリッとしたイメージがある。でも「辛」という漢字自体は今のところ後者のイメージが強いかもしれない)

おかげで私は「つらい」と書くときは平仮名で書く羽目になっています。
平仮名の「つらい」だと意図したものより文章が軟弱になったように感じるので不本意なのです。

「辛い」はどちらの読みが相応しいか?

では「辛い」には「からい」と「つらい」のどちらか一方に専念してもらえばよいのではないでしょうか。
どちらがより相応しいのか、私の中には既に結論があります。というかここを主張したくてこの記事を書きました。

「辛い」は「つらい」と読むべきなのです。

というのも「辛」という字は明らかに「幸」とペアになるからです。
『辛という字に一本線を引くと幸になる』なんてよく言いますよね。

形状の類似、意味の対比。「幸」という字とのよくできた関係性を考慮すると、もう「辛い」は「つらい」と読ませる以外ありえないでしょう。

しかしそうなると、余った「からい」の処遇を決めなくてはなりません。

漢字を剥奪されたわけですが、仮名文字で放り出してしまうと「辛口」という言葉が欠かせない飲食業界からの糾弾は避けられません。なんとか新たに「からい」と読ませる漢字を提示したいところです。

そこで私は、そういえば「からい」にもペアになる言葉があるな、と思い至りました。

それは勿論「甘い」という言葉です。奇しくも「甘い⇔からい」というペアも「幸⇔辛」ペアのような意味的なプラスマイナスの対比関係が成立していました。
つまり形状的に「甘」という字と「幸と辛」のような関係を成り立たせる漢字があれば、それを「からい」と読ませるのは可能なのではないでしょうか。

『辛に一本線を引くと幸』になります。

一本線を引くことで「甘」になる漢字は・・・あった!!


ということで「からい」は今後「廿(にじゅう)」の字を用いて、「廿い」と表すことを提案します。

辛いにまつわる問題は「からい」と「つらい」という極めてメジャーな言葉同士が被ったことが厄介さに拍車をかけていました。マイナーな「廿」であれば元の読みに気兼ねせず、新たな読みを加えることもできるでしょう。むしろ廿日市市で『激廿グルメ』が流行るといったプラスの影響も期待できるかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
もしこの提案に賛同者がいるのであれば、その人たちと『廿党』を結成し、手始めに辛辛魚に対し改名の交渉を進めていきたいです。

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