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わたしはなぜ、保護犬猫活動に寄付するのかというはなし

10年以上前。ハリネズミを飼いはじめた。体が弱く、よく病院に連れて行った。先生に、この子は小さいうちから親と離されたので、免疫力が弱いんだね、と言われた。

販売時期から考えると、ほんの数週間で離されたようだ。

この子が元気なうちに、家族を作ってあげたい。もう一体つがいを迎えて、合計8体も子供が産まれてくれて、その子達はしっかり親離れするまで一緒に育てた。

ハリネズミは群れを作らないので、それぞれ一人一人に専用のケージが必要だ。親離れしてからは、複数ケージでの飼育が始まった。部屋がケージとラックでいっぱいだったけど、楽しかった。

最初に飼いはじめた子はやはり病気がちで、3年と少ししか生きられなかった。つがいの子はきちんと調べてブリーダーさんの元から迎えたので5才まで生きた。子供達も、うちで育てた子もいれば譲った子もいたが、平均して5才、長い子は7才近くまで生きた。

その後も、産まれてきた子供達のパートナーをお迎えして、自分で育てる子もいれば人に譲ったりもした。その過程で、家庭動物販売士の資格を取り、動物取扱業の免許も取り、今ほど浸透していなかったSNS経由で有償で譲るようにもなった。

心を込めて、きちんと親元で育てて、健康な子を譲りたい。そのためには、数倍の手間がかかる。それをきちんとHPで伝えて、当時の相場の倍くらいの金額で譲渡を始めた。

ハリネズミのブリーダーになると、本気で夢見た。

しかし、有償譲渡を数回繰り返して、すぐに行き詰まることに気づいた。

どう考えても、どう計算しても、価格設定は当時の水準より2-3倍高かったのに、採算が合わないどころか完全に赤字であった。

手間と環境整備、またストレスに弱いハリネズミたちが新しい飼い主さんのところにすぐ受け入れられるように。

手間もお金もかけて、高い金額を頂いたが、それでもどう計算しても採算割れだ。

そして、大きな問題は販売した子の親世代。いわゆる繁殖引退をした子たちだ。ハリネズミの健康的な出産回数は、二回以下。一回あたり2-5頭ほど生まれるが、死産、幼少期の死も多い。

母体も危険になることもあり、毎回うまく行くわけではない。

そして、手元で産まれて育ててきた子達は6年ほど生きる。もちろん、全ての繁殖引退ハリネズミは最後まで看取ったが、採算の取れる、健康でいてもらえるペースで出産をしてもらうと、どんどん繁殖引退ハリネズミが増えていく。

そこまで増えてしまったら、彼らに幸せな生涯を送ってもらう保障ができなくなる。

数回有償譲渡を行なったが、彼らの幸せな生涯を保障できないと悟った時点で、すぐに販売をやめた。

ありがたいことに沢山の予約、次を待つ人々がいたが、お詫びの上でお断りさせていただいた。

繁殖引退した15匹のハリネズミは我が家で暮らし続け、一番長生きした子も2年前この世を去った。



家庭動物販売士などの資格を取る際、いろいろな勉強会に出席した。その際、犬猫や他の動物たちの販売や生態についても知見を得た。

そこで知ったのは、ハリネズミと同じような問題を犬猫も抱えていること。

特に犬に関しては、親元を早く離れることは免疫上の問題だけではなく、社会性ー他の犬や人との接し方を学ぶー観点からも良くないということを知った。

今は法律で当時よりも親元で過ごす期間が長く設定されているが、それでも十分ではない。

また、保護犬猫の問題も多い。

昨今のコロナ禍の影響により、ペットを飼う家庭が増えているが、それに比例するように犬猫保護施設や保健所に保護される犬猫も増えているという。

家にいる時間が長いのでペットを飼ってみた。でも、吠えるし、家を傷つけるし、いうことも聞かないし、飼いきれないので、保護施設に連れていく…

わたしも、長い間犬を飼いたいと思っていた。コロナ禍になる前に引っ越しをし、犬や猫を飼うことができる環境も整えた。

そこで、前から考えていた保護犬をお迎えしようと思い、いくつかの保護犬シェルターに見学に行った。

SNSやインターネットで情報を集める中、どういった経緯で犬猫が保護されるのかがわかってきた。

猫に関しては、一般家庭やブリーダーの引き取りもあるが、野良猫の保護もかなり多い。野良猫の面倒を見ていた人が、増えすぎてしまって困ってしまい市や保護シェルターに相談することも多いようだ。

そして、犬に関しては昨今野良犬はだいぶ少なくなっていて、そういった保護は少ないようだ。多いのは、家庭で飼えなくなった子の保護と…

もっとも、目につき、そして、わたしが悲しみを覚えるのは…

ブリーダーによる多頭飼育崩壊の現場だ。

特に、繁殖引退犬や病気などを持っていて売れなかった子達。

劣悪な環境で、散歩にも連れて行かれず、狭いケージの中で過ごし、少量のご飯と水だけで過ごす犬たち。

このレスキュー現場を書いたブログを見て、衝撃を受けた。

犬とは違っていても、わたしはハリネズミを有償譲渡する過程で繁殖引退した子や病気がちな子に関しては愛情と責任感を持って育て、最期を見送った。

この環境に愛はあるのか。

いや、育てていた本人達は愛情を持って接していたと言うかもしれない。

しかし、傍目から見てどう見てもそうはおもえない。お金を優先してブリード、交配をしているようにしか見えない。

もちろんお金は大事だ。ハリネズミ譲渡のときに嫌と言うほど味わった。でも、それは、彼らへの愛情に変えられるものではない。

その後、いくつかの保護施設を回った。色々な子に出会った。わたしには飼いたい犬種がいたので、その種類があるところを中心に。

柴犬だ。

しかし、柴犬のお迎えは中々ハードルが高かった。やはり人気なのもあるが、それ以上気性が難しく、シェルター側の方々もせっかくお迎えされてもまた戻ってきては困るとのことなので、かなり条件が厳しかった。

柴犬は飼育放棄が多い犬種の一つ、とも教わった。そして多くのシェルターが課していた柴犬を迎える条件、それは、

柴犬の飼育経験があること、であった。

これは無理だ。わたしは犬の飼育経験がない。柴犬の気性が難しく、飼いづらいことは多くのペットブログなどで散見した。飼育を諦める方も多いということも知っていた。

覚悟を持って迎えるつもりだったが、まさかのすべて門前払いだった。

柴犬は無理か…なら他の犬種でも、縁があればいいのかもしれない。そう思って探した。

しかし、第二の問題があった。我が家はマンションなので、飼える犬の大きさに制限があるのだ。

概ね15kg以下の中型犬以下、と比較的緩くはあるが、しかしあまりオーバーされると困ってしまう。

そして、保護犬の多くは雑種、年齢がわからない。正直どこまで大きくなるのかは誰にもわからない。

この時点で、探しはじめてから一年が経過していた。保護犬は仕方なく諦め、結局、縁のあった地方のブリーダーさんのところから連絡が来て、そこの柴犬を迎えたのだった。

この経験で、わたしは心残りがあった。保護犬を迎えられなかったことだ。繁殖引退犬や、飼育放棄された犬、そういった子たちの家族になりたいと願ったのに、結局自分の事情でできなかった。無力さを感じた。

ハリネズミ飼育の経験と、保護犬の現状を見て、繁殖引退犬や飼育放棄にあった犬たちを迎えたい。そんな心でいたので、どこか後ろめたいものがあった。

もちろん、ブリーダーさんのところから迎えた子は元気で健康で、わんぱくだけどとても可愛らしい。

実は、ほとんど決まりかけていた保護犬もいた。既に名前がついていたその子は、引き取り後も同じ名前で呼んでほしいとのことなので、その名前の犬が我が家に来ると準備を進めていたのだ。

しかし、結果的に他に条件の良い引受先が見つかり、破談となった。今我が家にいる柴犬は、その子の名前をそのままで名付けてある。


保護犬を迎えられなかった後悔を心の隅に引きずったまま、何年か過ぎた。柴犬は健康に育ち、とても元気だ。

ドッグランや公園など、沢山出掛けるようになった。今までの生活では思いもつかないようなところに出かけたりして、とても楽しい。

同時に、犬を飼うことで不自由さを強いられることもあった。彼らとともに出かけたいけど、やはりNGな施設は多い。街も、犬と散歩をしたり暮らしたりするのにストレスフリーであるとはとても言えない。


犬そのものに理解がなく、突然罵声を浴びせられる方もいると聞く。犬やペットとの共生という意味で、日本はまだまだ後進国なのだ。

何かもっと、変わる・変えることはできないだろうか。

少しずつだけど、見学に行った保護シェルターさんに募金をすることにした。とはいえ、まとまった額は出せず一回あたりせいぜい数百円だ。

もっとなにか、できることはないか。


そんなときに、NFTsとブロックチェーンという新しい技術で、デジタルのイラストが販売できると言う記事を見たのだった。


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