【インド映画】Bajirao Mastani (2015)
監督:サンジャイ・リーラ・バンサーリ
出演:ランビール・シン、ディーピカー・パドゥコーン、プリヤンカー・チョープラなど
上映時間:2時間38分
インドの伝記映画「Bajirao Mastani」鑑賞しました。主人公のバージーラーオは、17~19世紀にマハラシュトラ州に存在したマラーター王国のペシュワー(宰相)です。現在インドの歴史を勉強中で、ちょうどこの時代に差し掛かり、再度興味を持ち鑑賞に至りました。二度目の鑑賞。
1720年、マラーター王国は新たなペーシュワー(宰相)を決めかねていた。そこに若い一人の青年、バージーラーオ(ランビール・シン)がやってきて、見事に課されたテストをクリアし、宰相となある。
10年後、シロンジャに遠征に行く途中、彼のもとにマスターニー(ディーピカ・パドゥコーン)という女性が現れる。彼女は近くのバンデルカンド王国の王の娘で、バージーラーオに戦争の援軍につくよう要請に来た。彼は彼女の要請を受け、見事に敵軍をやっつけた。
バージーラーオは数日間、バンデルカンドの宮殿で過ごし、その間にマスターニーと恋に落ちる。バージーラーオがプネーに帰ると、マスターニーは彼のもとに赴くことを決意。マラーター王国への貢ぎ物と一緒に、籠に乗って彼のいる宮殿へやってくる。
バージーラーオには既にカシー(プリヤンカー・チョープラ)という妻がいる。彼は悩んだ末にマスターニーを第二夫人として受け入れることに。しかし彼女はムスリムで、ヒンドゥー王朝であるマラーター王国内部では受け入れられない。マスターニーは周囲からの冷遇に苦しみ、カシーもバージーラーオがマスターニーの方をより深いく愛している現実に苦悩する。
ストーリーだけでも楽しめますが、歴史を分かっているとより物語の解像度が高くなり、見ごたえがあります。まずマラーター王国について。マラーター王国はイスラーム系のムガル王朝がインドの大部分を支配した17~19世紀において、彼らを最も苦しめたヒンドゥー王朝。場所は現在のマハラシュトラ州がメイン。創始者のシヴァージーはマラーティ(マハラシュトラに住む人)の魂とも呼べる人物で、ムンバイでは空港や鉄道駅の名前にもなっています。
バージーラーオはシヴァージーの治世から約80年後に活躍した宰相で、武勇に優れマラーター王国の版図を大きく広げたことから、シヴァージーの再来とも言われた人物です。今作中でも彼の宮殿になっているプネーのシャニワール・ワーダーは、彼の時代に建てられたものです。現在は宮殿は消失し、外壁と庭園のみが残っています。僕も二度ほど訪れています。
マスターニーの出身であるバンデルカンドは、現在のマディヤ・プラデーシュ州のカジュラホ周辺の領域。そして物語序盤で登場するニザーム王朝は現在のハイデラバードが首都のイスラーム王朝。ムガル帝国もそうですが、当時のインドではイスラーム政権が多数で、そういう意味でもマラーター王国はヒンドゥー教徒の誇りのような存在なのです。
史実の流れに沿いながらも、物語の中心はバージーラーオとマスターニーとカシーの恋物語。当時は一夫多妻制というのも割と当たり前ですが、実際はこのように妻同志で苦しみ合っていたのでしょうか。僕は恋愛をしたことがないので、この辺はさっぱりわかりません(笑)。
ここもやはり異教徒間の結婚で、禁断の愛です。マスターニーは父親はヒンドゥーだけど、母親がムスリムなので、純粋なヒンドゥー教徒とは認められません。彼女がムスリムであるのが表されているのが最初の彼女のダンスシーン。背景の宮殿がイスラーム様式になっています。
三人のメインキャストは素晴らしい働きぶりです。特にディーピカとプリヤンキアーは、まさに新旧ボリウッドクイーンで、作中の役の関係性も然り時代の変遷を感じられます。二人とも一歩も引かない素晴らしい演技。二人そろってのダンスシーンは特に見ごたえがあります。
「Bajirao Mastani」はインドの史実に基づいた、伝記ラブストーリー。マラーティの誇りであるマラーター王国の歴史を知ることができ、いい勉強になりました。主演の3人も見事な演技。ディーピカかわいい!!