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【洋画】アルジェの戦い(1966)

監督:ジッロ・ポンテコルヴォ
上映時間:2時間2分

「アルジェの戦い」鑑賞しました。制作はイタリア、撮影はアルジェリアの首都アルジェで行われています。アフリカマニアである僕にとっては、押さえておかなければならない作品です。

時は1957年、舞台はフランス統治下のアルジェリア。アルジェリアの独立&民族自決を目指す地下組織NFL(民族解放戦線)の最後の一人であるアリは、アパートの隠れ蓑でフランス軍に包囲され、投降するように求められるも無言を貫きます。

アリは昔から血気盛んな青年で、何度も暴行罪などで逮捕されていました。そんなアリに目を付けたのがNFL。彼のNLFへの忠誠心を試すためのテストを行い、アリは合格して組織メンバーに加入しました。上記のようにNLFは裏切る可能性のない人間をメンバーに入れて組織を固めるために、人々を堕落させる酒・麻薬・女遊びを国民に禁止させる声明を発表する。アリは麻薬をやめない旧友のハッサンを射殺する。

NFLは後にフランス人を相手にテロ行為を繰り返す。暴動を行っているのは一部のアラブ人なのですが、アルジェリアに住むフランス人は片っ端からアラブ人を紛糾し、仕返しの爆破テロを行う。その後もNFLが復讐の爆破テロを行うなど国内は荒れに荒れます。
フランス軍は会議の結果、空挺師団長のキャベル将軍と、マチュー陸軍中尉にアルジェリアの治安回復を委ねます。二人はまずNLFの組織を解明するため、住民に過激な尋問を行い情報を集める。


この映画は完全に史実を基にした映画で、アルジェリア戦争や当時のアルジェリア&フランスの情勢を知っているとより物語が入ってきます。
アルジェリアは現在は独立しアラブ人国家となっているように、地元民はほぼイスラム系です。戦後はアジアを中心に民族自決運動が盛んになり、アルジェリアもその流れからNLFを中心に独立に向かいます。対するフランスは領土を多く失っており、アルジェリアは意地でも失いたくない。

そして出来事も史実に基づいている部分が多く、カフェでの爆破テロやフランス軍の拷問などは実際に起こっています。かなり激しい戦争であったことが伺えます。

シーンとして印象に残っているのはカフェ、バーでの連続爆破テロ。フランス軍の検問を潜り抜けるために女性に爆弾を持たせ、それぞれカフェ&バーに設置し、時間が来たら爆発。この一連のシーンの緊張感は凄かったです。直前には何も知らない平和なフランス人たちが爆破で即死するところにテロの恐ろしさを感じます。

感想としては、戦争って本当に悲しいなと。登場人物は誰も悪くないと思うんですよ。もちろん行為自体は悪ですが、みんな各々の正義の為に戦っています。僕の好きな言葉「正義の反対はまた別の正義」とはまさにその通りなのです。そのために戦争に関係ない一般市民を含めた大勢が亡くなっていく姿を観るのは実に痛ましい。
一概に解決策なんて言えませんが、僕はやはり「他人の文化を尊重すること」かなと思います。インドで暮らしていると、特にその重要さが身に染みて分かります。そしてこのように映画や本を通して知ることが、その第一歩なのかなと思います。

「アルジェの戦い」はアルジェリア戦争を史実に忠実に再現した映画。脚色が少ないが故に誰も完全な悪人になっておらず、そういう人たちが自身の正義の為に亡くなっていく戦争の悲しい現実が映し出されています。


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