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【洋画】素直な悪女(1956)

監督:ロジェ・ヴァディム
出演:ブリジット・バルドー、クルト・ユルゲンス、ジャン=ルイ・トランティニャンなど
上映時間:1時間35分

1956年のフランス映画です。フランス映画自体観るのが初めてです。昨日まで観ていた「VIVANT」で二階堂ふみの演技に魅せられ、彼女の目標の役者を調べた結果、この映画の主演女優ブリジット・バルドーに辿り着きました。恥ずかしながら知らなかったので、一本観てみようと思い鑑賞。

舞台は南フランスのサン・トロペ。孤児で18歳のジュリエット(ブリジット・バルドー)は子供のいないモラン夫婦に引き取られているも、裸で日光浴をするなど大胆な振る舞いとセクシーさで街の男たちを虜にしており、モラン夫婦は嫌気をさして彼女を孤児院に帰そうとしていた。

ジュリエットの本命はアントワーヌ(クリスチャン・マルカン)という男だったが、彼はジュリエットを裏切り街を出てしまう。町の有力者でありジュリエットに惚れているエリック(クルト・ユルゲンス)は、ジュリエットが孤児院に送られるのを防ぐためには、彼女が結婚すればいいと考える。アントワーヌの弟で同じくジュリエットに惚れているミシェル(ジャン=ルイ・トランティニャン)もこれをチャンスと捉え、彼女に結婚を申し込み2人は結婚する。

しかしジュリエットは心のどこかに未だ孤独を抱えている。そんなある日アントワーヌが帰ってきて、海で溺れかけていたジュリエットを救う。

この映画を一言で表すなら、ブリジット・バルドーがエロすぎる!!初っ端の全裸日光浴から、僕を筆頭にエロ男性陣は彼女の虜です(笑)。本当にびっくりするぐらい最初から最後までスケベシーンのオンパレードでした。

しかしこの映画は日活ポルノではありません。彼女がこの映画でセックスシンボルとしての地位を確立したのは事実ですが、この映画から最も伝わってくるのは孤児の悲しさです。
孤児の一番の問題は、親がいないことで一番大きな愛情を受けれていないこと。これは「VIVANT」の乃木もそうでした。ジュリエットも他人からの愛情が足りておらず、それを満たすために性的魅力を使って男から愛を得ようとしていたのです。

そしてその愛は結婚しても足りることはなく、つい他の男と浮気をしてしまうのです。彼女がベッドでミシェルに「私をたくさん愛して。じゃないとどこかへ行ってしまいそう」というセリフは、ジュリエットならではの悲壮感をよく表現していると感じました。性欲に負けて浮気する男と違い、女の浮気は愛が足りていないのが原因なんだなぁ。

役者陣でいうと、やはりブリジット・バルドー。演技という側面は一旦置いといても、彼女のキャラクター自身に魔性の魅力があります。美しさと危なさと脆さが共存しているというか、綺麗な薔薇には棘があるという言葉を体現したような人だなと。実際に彼女はこのとき監督のロジェ・ヴァディムと結婚していたようですが、この撮影を機にミシェル役のジャン=ルイ・トランティニャンと恋に落ち、離婚しています。人間的には決して褒められたものではないですが、役者としてこういった側面は非常に魅力的に映ります。

「素直な悪女」はブリジット・バルドーがセクシー全開で大活躍するフランス映画。ただエロに振り切っているわけではなく、それを通じて愛の大切さを伝えるのがこの映画のエッセンス。


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