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「感想文部」速読編

「芹ちゃん、課題図書読んだ?」「うん、買ってもらった。まだ読んでないけど」すると甜瓜は絡みつく目つきで芹をにらみ「へえ、いいなあ。買ってもらえるの、羨ましい。お小遣い貯めなくていいなんて」そう言われると芹は自分が甜瓜に悪いことをしたから機嫌をとらなくちゃと思ってしまい、「それさ、貸してくれない?すぐ読んですぐ返すから」そう言われると「うん、いいよ」と応じるしかなかった。クラスにはディオちゃんという意地悪な子がいた。その話をきくとハハハと笑い、「その本絶対夏の終わりに間に合わないね」と断言した。信頼?友情?対等な関係じゃないでしょ。ディオちゃんは嬉しそうだ。芹ちゃんは考えた。あたしは甜瓜に支配・搾取されているのかしら。いや違う。そうさせてあげているの。借りを作らせているのよ。あの本を甜瓜が紛失してあたしに迷惑をかけて世間の非難を浴びたり、あるいはこんなことが通用するって世の中舐めていつか痛い目を見るかも知れないしあたしだって課題の締め切りに間に合わなくて成績表に汚点を残すかも知れないけど、友情ってそんなことより大事なのよ。甜瓜はギリギリ夏の終わりに本を返した。「芹ちゃん、嫌なら断って欲しかった。急いで読んで頭に入らなかったよ」芹ちゃんの感想文? 福祉事務所の感想文部に相談していたらしい。

551文字

字数オーバーしました。女のバトルと友情編。オラヴ様のコメントから想を得ました。実際の出来事とは無関係です。


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