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海砂糖

 海砂糖と陸砂糖どちらがいいですか。ウェイトレスさんが読み上げるようにきいてきた。砂糖はいらない。ブラックがいい。でも海砂糖と陸砂糖、どう違うのだろう。注文を終えた女の子が立ち去ったあとでメニューブックをパラパラとめくってみる。答えはわからなかった。海の道を通って異国から伝わった砂糖と、陸路を通って運ばれてきた砂糖の違いだろうか。どちらにしてもここは島国だ。

隣のテーブルの三人組が
「わしは海」
「オレは陸」
「空砂糖ないの?」
と注文していた。
お待たせしました、と三人分のコーヒーが順序良く置かれるなり侵入してきた戦車が白い砲弾を撃ち込み、浮上してきた潜水艦が白い魚雷を発射し、おしまいは空からパラシュート部隊が降りてきてボーイ姿に正装した兵士が丁寧に一礼すると角砂糖をそっとコーヒーカップに投入した。

騒がしいなあ。
体重と体脂肪と血糖値が防衛費並みに増えたら大変だ。コーヒータイムは静かに過ごしたかった。

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