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白骨化スマホ ①

 麻帆が消息を絶った。出かけたきりラインの既読がつかない。人に相談したら私に愛想が尽きたせいと言われた。
 村の外れの空き地で彼女の乗った車を目撃した者があった。空腹感に苛まれつつそこに出かけると荒れ果てた土地の片隅にボロ屋が一軒『山林』という表札がでている。
「家内を知りませんか」
「あんた誰? 不動産屋なら用はないよ。ここの土地は宅地のままじゃ相続税が高いから山林にしろと税理士さんが言うんだ。だけど山は山で、よそ者が勝手に色んなモノを捨てに来るのさ。各種廃棄物とかヤバいモノとか。ドングリは自分で撒いた。公園やら街路樹から枝を切ってさし芽したのさ」
「あっ麻帆のスマホ、」
土の隙間にチラリと見えたのは確かに。
「ああ、化石世代だね」

「そうよ古すぎるから捨てた。ここで骨の美白術を受けてるの」

 やれやれ。私はドングリを拾って食べ妻に新しいスマホを買う約束をさせられた。山林エステサロンでボーンチャイナの紅茶をご馳走になった。

410文字


木の実このまま税理士のネタでしたが最後にクマがやってくるオチでした。これは語り手が実はクマ…?

たらはかに様のお題に参加しています。


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