苦しい楽しい「コンセプトブック」

今コンセプトブックを書いてます。
約2か月間。
体験したり視察したりも含めると
私たちはほぼ毎日触ってます。ここ一か月はほぼ書いてます。
日中はいないので夜か、週末もかいてます。
今回は100P超えです。(長ければいいわけではないのですが)

私が書いているのは、コンセプトブックという、シバジム独自の企画資料です。まだ世の中にない商品やお店、施設や街などのブランドを、さもあるかのようにブランドに関わる全ての要素を定義した本です。
例えば、以下が台割の一部です。

・はじめにーなぜこのブランドがこの世の中に必要か。その思い。
・プロジェクトを実施する上での考え方の整理
・ブランドコンセプト
・コンセプトを体現するビジュアルのイメージやデザイン
・空間デザインコンセプト / そのイメージ
・商品構成/ヒーロー商品
・VMDデザイン
・サービスのコンセプト / そのイメージ
・ブランドがもたらすバリュー
・販売戦略や広告戦略の考え方  
・施設やお店を構成するコンテンツの内容
etc・・・
あとは、この本を形にするだけ、というところまでかなり細かく詰めます。


最も重要なのは、コンセプトです。例えばパン屋さんをつくるとして、「誰にどう思われるパン屋さんなのか?」ということ・・・
ホテルライクなロンドン王室御用達みたいなクラシックでオーセンティックなパン屋さんなのか?赤いコテージ風で長野の山奥で夫婦二人でつくるやさしい田舎パンなのか?NYスタイルの都会的スタイリッシュでヘルシーなパン屋さんなのか?同じパン屋さんでもそのコンセプトの置き方によって、展開は全く違ってきます。
どんなコンセプトであればお客さまに選ばれるのか。長く愛されるのか。注目を集めるのか。めくるめく変化を遂げる市場で勝てるのか。いろんな要素を睨みながらコンセプトを導き出します。(コンセプトについては、改めて機会を設けてお伝えしたいと思います)

コンセプトブックができると、全体像が見え指針ができるので、例えば多岐にわたる概算見積もりが取れる、投資額が見える、サービススタッフの人員が計算できる、したがってPLや予算がつくれる、デザイナーを選べる、設計ができる、インテリアが選べる、社内のプロジェクトチームを組織できる、価格帯やメニューの設定ができる、必要な社外メンバーをアサインできる、出店場所や販売チャネルが選べる、といった形で、どんどんプロジェクトが前に進んでいきます。

私たちは企画して終わりではなく、企画した後お店やブランドが実際に形になるまで何年もご一緒することが多いので、成立しない夢物語は描かないようにしています。同時に夢要素ゼロだとワクワクしないので、夢とチャレンジも盛り込みます。そして、そのクライアントさん自身に似合うことがとても大切と考えています。トップの方も勿論ですが、現場の方が賛同しやりたいと思っていただく内容になっているのかということが成功の可否に大きく関わるように思います。だからこそ、クライアントさんのビジネスを知らなければお話にならない。まだまだ足りないのですが、限られた時間の中で、集中的に足を運び、勉強をするようにしています。

思い起こせば私がはじめてコンセプトブックを書かせていただいたのは、
入社して本当にすぐのタイミングでした。
シバジムとしても初めてのクライアントさんで、とある業界のプロダクト。超コダワリがある、素晴らしいプロダクトをお持ちのプロフェッショナル。シバジムへの期待も半端ない。中途半端なものでは納得していただけないのは自明でした。

柴田さんと毎日毎日夜遅くまで、
柴田さんのマンションの下で二人で赤字いれてなおし、赤字をいれてなおし、余白のひとつ、言い回しや語尾のひとつ、ずーっとつきつめ続けました。

最近、コンサルから転職してきた後輩から
「こんなに時間をかけるものですか?」「手戻りがいやなんですけど」
と言われたことが多くあります(ごめん、意訳です)

私も最短距離でいきたいさ。
書き直し続けるのは苦しいし、天から降りてきた 雷に打たれたように
ひらめきたいよ。

でも実際は、大木を削りだして彫刻刀で削って
最後何かでてくるか、掘り続ける感じに似ているように思います
というか、大木を森にさがしにいくところから始める感じ。
なんなら、森の選定からはじめるかんじ。。。
で、みつかったらオセロがひっくりかえるように全てがひっくり返る。
柴田さんは、その「これだ!」というコンセプトを見つける能力があるので、
まさに二人三脚でそれを探しながら書くという作業でコンセプトブックをつくります。空から降りてくる系をまちつつ、地道に探り続けるしかないんです。

クライアントさんより柴田さんをクリアすることの方が100倍難しい場合も多々あります。というか、柴田さんと「これだ!」とつきつめて導いた答えは、自信をもって提案ができるように思います。

そして企画というのは、提案して通ってヤッターではなくて、
最後、数年後に、開業したり発売したときにちゃんと結果がでるか。
なんなら数年後ももっと上り調子なのかっていうことが結果なので、
書いたら終わり、開いたら終わりじゃなくて、覚悟をもって提案をしなければならないなと思っています。

話は戻りますが、件の私が最初に担当させていただいたクライアントさんとは8年に渡り、ブランドを拡大され、最近名誉あるブランドランキングを受賞されたと教えていただきました。まだこうしておつきあいがあり、喜びを共有いただけることが何よりの私の喜びです。

【★柴田の著書「勝者の思考回路」昨日2月20日に発売になりました!よろしくお願いします★】

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