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元汚部屋住人が人生一番の断捨離をした話

この記事はリアズ Advent Calendar 2019 11日目の記事です。 

 はじめまして!ツツジといいます。私は大阪にある「リアズ」という、ライブチャット事業を行っているIT企業でカスタマーサポートをしたり、運営や企画を行ったりしています。人と会ってお話しすることが大好き。

 今年あった主な出来事を思い起こしていると、一番印象的なのはやはり引越し。これ以前、仕事に必死すぎて何をしていたかちょっと思い出せないし、そろそろ年末で大掃除のこともぼんやり考えてる人も多いかも。なので引越しの時にした断捨離の話をします。

なお、この記事は、

・元汚部屋住人
・掃除片付けがびっくりするほどできない

 このような人間が、どのようにして10年以上溜めこんだ部屋を片付け、引越しするに至ったかということが書かれてますので、汚部屋の話おぞましくて無理やでという方は別のコンテンツをご覧ください。
 あと、今はすっきりとした部屋で暮らして汚部屋を解消してるので、ひかないでほしい。

* * * *

 今年、10年以上住み続けていた部屋から引越しをした。10年以上となると所持物の量も積もりに積もっていて、さらに子供の時から掃除片付けが全然できないと親や学校の先生に言われていたような私の部屋は大変なことになっていた。写真はあるので見せようと思えば見せることはできるが、あまりにも辛すぎてお見せできない。

 突然決まった引越しに、この部屋の荷物を全部そのまま持っていくことは現実的に考えてできない。大規模な断捨離をすることにした。タイムリミットは1か月半


片づけの資格があるのに

 突然だが私は整理収納アドバイザーという資格を持っている。
 ミニマリストブログなどを見てるとちょこちょこ持ってる人がいるやつで、上の資格をとると、お仕事にもできるようなやつだ。
 お客様の部屋にあがって、共に片付け方を考えたり、整理整頓を一緒にやったりする仕事につくことができる。

 そんな資格を数年前から一応持っているのに、私の部屋はずーっと汚部屋だった。

 そもそもこの資格を取ったきっかけは、友人に「どうやっても家が片付けられない。どうしたらいいかわからない」と相談をしたことで、このような資格があると教えてもらったからだ。

 子どもの時から片付けが苦手だった私は藁をもつかむ勢いで資格を取ったのだった。整理整頓の基本的なやり方から、片付けの考え方をしっかりと教わり、結果的に取ってよかったなと思っている。

 が。
 よし、これで私の家もピカピカミニマリスト部屋よ!と意気込んで家に帰ると10年以上積もり積もったモノが圧倒的質量をもって私を待ち受けているのだ。
 資格を取っただけでは、当たり前だけど家は全然きれいにならなかった。


 いざ知識をもとに片づけをやるぞ、と思っても、おびただしい量のモノ、モノ。引越し前の私の家は20㎡にも満たないとても狭い部屋だったが、とにかく部屋の中にあるものの気配がすごい。


整理収納アドバイザーの資格では
整理→いるモノといらないモノをわけて、いらないモノを処分して減らす
収納→いると決めたモノを、動線やその人の体格、身長、使い方に合わせて使いやすくものをしまう

 という感じのことを教わり、とにかく整理をしないと始まらないのだが、この「整理」、部屋の中をいるモノだけにする部分が、モノを捨てられない人にはそもそも一番むずかしい。
 
 精神的なハードルもあるだろうけど、私はどちらかというと物理的な面でのハードルにぶち当たりまくっていた。精神的なハードルというのは思い出があって捨てられないとかそういうやつだけれど、私がどんなことをむずかしがっていたか、紹介しよう。

汚部屋住人が「捨てる」むずかしさ

 私のかつての部屋は、一般の人がいう「うち汚部屋なんだよね~」というのは「片付けのできる者がまた鳴いておるわ」と思って聞いてるぐらいヤバかった。(そして実際そう。うちよりヤバかった部屋、虫が湧いてるとか人が死んでる以外ではあまり見ない)
 有機的なゴミや虫はいないものの、今思うとどうやってあの部屋の中にあの量のモノたちが収まっていたのか全く分からないぐらいだ。

 とにかく本が多い。文房具が多い。家電やCDやブルーレイが多い。質量のデカイ物が多かったので重いし、また一見コンテンツとして価値がありそうと思っていたし、どう処分していいか判断がむずかしかった。

 私にとって物が「重い」というところが難しいポイントが高くて、
体力も筋力もないので、箱たっぷりに詰まった本を出したり入れたり、
持ち運んだりすることを考えるととたんにやる気がなくなったのである。

 片づけをやる「場所がない」も問題だった。
 質量の多いアイテムが多いので、いるかいらないかを判断したくても、とにかくそれらを置く場所が必要になる。
 でもそのたくさんのものを引っ張り出してきて一体どこに置き、どこで整理の判断をするのだろうか?
 「未選別」「いる」「いらない」「迷う」の4つのエリアが必要になる。

 別の部屋にいったん追い出して場所を作る、というのもよく言われる方法だが、私のかつての部屋はめっちゃ狭かった。そしてすでに廊下にもモノがみちみちにあふれ出していた。
 「追い出せる別の部屋」が存在しない。

 そして「判断力」
 10年以上見ないふりをしてきたものを、「いるのか、いらないのか、本当にいるのか?いらないとすればどう処分するのか?いるとすればどこにしまうのか?」を、会社から帰ってきてもう判断力を十分使い切った後にやらないといけない。
 人間の判断力は有限ですよ。絶対やりたくないでしょこんなん。

結局これらの、「想像しただけでめんどくさくてしんどすぎる」要因のせいで、資格を取って、頭ではどのようにすれば整理収納ができるか理解していても、まったく手をつけられなかった。


〆切があると人間動けるようになる

そこで突如現れた、引越しというイベントである。

人間期限がないと動けない。
引越しがあれよあれよという間に決まってしまい、現実的に、1か月半先にはもうこのモノで満ち溢れたパンパンの家を絶対にモノゼロにして出ていかないといけなくなった。数年間やりたいと思い続けてもできなかったのに、正気か?と思った。

だがこの強制イベントのおかげで、
・この日までには箱詰めが終わってる必要がある
・ということはこの日までに片付けができてないと詰められない
・どのぐらい終わっていれば作業できる
というような逆算ができるようになり、ではどの日までにどの場所をどのぐらい、と綿密なスケジュールを立てることができた。

片付けられたら引越ししよう、などと考えていた時は結局いつまでに終わっているかとかいう必要がないのでできなくてもグダグダしてしまった。
スケジュールが立ったことと、本当にあとがないことが理解できたことで、覚悟ができた

断捨離まつりは1か月続いた

 服は服、CDはCDなど、物ごとの断捨離ができたらよかったが、私の家はそんなレベルではなかったのと、前述したようにとにかく「場所」を作ることが大事だった。

 そうはいっても私は片付けレベル1なので、まずは成功体験が必要、と考え、簡単に片づけられそうなところから始めた。
 すると、なんということでしょう!数年間見て見ないふりをしていた本のタワーが、1時間もしないうちに消失した。すごい!なんで数年間も放置してたの?!
(やったことといえば、この場所をやるぞと決め、いる売る捨てる判断をしそれぞれについて対応した)

 それに気を良くして、断捨離の世界では難易度が低いと言われている台所回り。カトラリーの選別、調味料などの断捨離などから始めていき、毎日疲れないように、やりすぎないようにということを気をつけてやった。エネルギー切れが一番まずいからだ。

平日はいる、売る、捨てる、の判断。
いるものは引越しの段ボール箱へ。
いらないものはゴミ袋へ入れてゴミ収集場へ。
売るものは売る用の箱にとりあえず詰めておく。

 土日の休みになったら、売る箱をジャンルごとに整えるなどして配送業者に連絡し、中古ショップへ送りまくった。ついでにやれそうならまた別の場所の選別をやる。

 これを「場所ごと」に行って、どんどん攻略された陣地を増やしていったのである。場所が増えるといくぶんか動きやすくなり、整理もやりやすくなった。
 ある程度整理ができている人は、「物ごと」でいいと思う。服なら服を全部集めて断捨離、本なら本、というように。私の場合はそれどころじゃなかったし、どのみち家じゅうのすべてのアイテムに対してする必要があったのでとにかく「やり終えた場所」を増やしていく寸法だった。

そして引越しへ……

 なんとか予定通り部屋の中を一通りさらい終わり、本当にこれらのモノ、この部屋のいったいどこにあったの?という感想を抱きながら、私の人生最大の断捨離は引越しと共にいったん終わった。

 「いる」と判断したものを新居に運び込んで、狭い狭いアパートの生活に別れを告げた。

 物が全部なくなった部屋は、それでもやっぱり狭かった。


 その後、引越し先では整理収納アドバイザーの資格を活かしていい感じに物を収納し、心地よく暮らしているし、掃除もこまめにできている。
 だがまだ引っ越してわりとすぐだから、油断してはいけない。モノはどんどん部屋に入り込んできて増えている。注意しないといけない。

 断捨離というのは一度では終わるものではなくて、数周する必要があるな~というのが今回の断捨離を終えた上での感想。
 整理整頓が当たり前にできる人からしたら、当然すぎて何を言ってるのかと思われるかもしれない。

 今回持っていくものを選ぶために一通り判断はしたけど、悩んで結局時間切れで保留にして、入るからと箱にいれたものもあるし、そもそも新居になってから開けていない箱もまだある。その中に入っている物は、あったら嬉しいけど、人生にはなくても大丈夫な物の可能性が高い。

 新しい部屋での生活もそろそろ気合を入れていかないと、増え行くもので
また同じようなかつての部屋状態になってしまうに違いない。次はまだ未開封の箱たちをあけて、数を減らそう。そして2周目の断捨離をしたいなと思っている。

断捨離をしてよかったことは?

 断捨離するといいことが起きるとか言うことはよく聞く。私にもあった。私の場合はどんなことがあったかというと…

・副収入が10万円以上あった
 これは断捨離したものを中古屋に売りまくったら結構な値段になってしまった。元の値段がどれぐらいしたのか計算したくない。あと、これまで何かあっても金銭的な援助やお祝いは特にしない親が、突然引越し祝いとしてお金を包んでくれたりした。ありがたい。

・家事が楽になったのでささっとやるようになった
 整理されている状態なのでどこに何があるか自分で把握できている。物の量も今のところ適切なので、何かしようと思う時にすぐできるから、すぐやるようになった。掃除洗濯炊事、今までめんどくさいと思ってたがやったらどのみち2分ぐらいで終わるのですぐやるようになった。

・人を家に呼べるようになった
これが本当にうれしい。突然お客さんがきても「わー待って!」とならないし、友だちを呼んで一緒にゲームして遊んだりできる。いい年してこれが一番やりたかったことなので本当にうれしい。Switchを買いたい。

・行動的になった気がする
 これまでは家を出るのが本当に嫌だったのだが、引越してからは休みの日も何かしらの用事でいつも家を出ている。引きこもり失格だと思っているけどそれをしんどいとか特に思わないので、アクティブになったように思う。
 まだそれによって何かいい現象が現れ出てるようには思わないが、来年はこの勢いでいろんなところに足を伸ばしたい。


 以上、元汚部屋住人による人生一番の断捨離をした話でした。
 この話を書いていて「あれっ!そういえば私今もう汚部屋に住んでない!」と初めて気づいた。それでも自分が整理整頓ができない属性を持っているというのはいまだに感じているので、できるだけ部屋に人を呼び、こんな部屋にしたいというイメージを絶えず持って、素敵な部屋を維持したいと思っている。


断捨離したいのになかなかできないというかつての私のような人へ

 部屋がどうしようもない状況になっている人の気持ち、よくわかる。どうにかしたくないわけじゃなくて、どうしようもない状況なのよね。

 掃除機ひとつかけるにしても、部屋が整っている人は、「電源コンセントにさしてシューッ」で終わるが、部屋が散らかっている人は、まず床を出すとこからだ。
 「ではこの床のものをなんらかの箱にいれるなりしてなんとか床を出して?どの箱?それをどこかにおいて?(どこ?)電源コンセントにさして(コンセントの前が物で埋もれてる!どけないと!あ~どけたものでぐちゃぐちゃや!)掃除機をかけて(ある程度どけたけどいろいろものにぶつかる!全然掃除機かけられない!)…で、さっきまとめた床のもの、結局どうするの?」ぐらいの労力が必要になるので、そもそも整理整頓できる人の「掃除とかちゃっちゃとやればすぐできるじゃん」は的外れなのだ。

↑もはや目が滑るでしょ。でもこれ部屋が汚い人が掃除機をかけようとするときの頭の中の状況である。こんだけしんどかったらやらない。そしてやれないからますます惨めな気持ちになっていく。私は掃除機ひとつかけられないのか…なんて。
 ただ掃除機をかけたいだけなのに、その前に大掛かりな整理が必要になってしまう。
 
 とにかく物を捨ててくれ。減らしてくれ。それには覚悟が必要だ。あと〆切もあるといいが人間の気持ちはとても弱い。引越しがお勧めだ。賃貸屋にいってみよう。ひやかしでいい。あなたの運命の部屋が待っていて、突然引越しすることになるかもしれない。

 引越しはかなりお金がかかるから、それが無理なら誰か知り合いを呼んで一緒に片づけをしてほしいと頼んでみて。汚部屋に人を呼ぶのはすごく勇気がいるが、案外みんな親切に手伝ってくれる。

 悲しい事実だけど、断捨離したいな~といくら強く願っても神に祈っても資格を取ってもそれだけでは部屋はきれいにならない。あくる朝寝て起きたらなぜか部屋がすっきりしてた、みたいなこともない。
 覚悟を決めて、時間をかけて、物を処分しないと部屋の中のものは減らない。私は段ボール箱10箱を外に出しても部屋の物が全然減って見えなくて途方にくれたりしたが、いつか終わりが来る。
 
 どうしようもない部屋を片付けるのにやる気を出す方法と聞かれたら、「どんな部屋に住みたいか」を妄想でいいからイメージすることかな。
 絵でもいいし文章でもいい、とにかく思い描いて「それならあそこをこうしよう」と思いながら断捨離をしてみること。そうすると楽しく進められるかも。

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