見出し画像

東京⇒大阪キャノンボールレポート

本題の前に1回目、2回目と挑戦した時の話をしたい
未達成の内は「ただの言い訳」だった事も今なら経験として話せるので

2016/4/29
キャノボの試走をする予定だったが勇気を出して宣言した
しかし当日は風速30mを越える強烈な西風の予報が出ており
友人のリンちゃんから「大阪発なら50km巡航できそうw」
などと言われる中で東京から出た、その理由は3つ

1・暴風アシストで達成しても何の意味にもならない
2・以前台風の中で挑戦したβくんを見て漢だと思った
3・この状況でどこまで行けるか力を試してみたかった

当日は昼までたっぷり就寝し、日本橋まで向かい風を62km自走
16時スタート、ミスコースを繰り返しながらも途中まで順調だったが
静岡からの向かい風でどんなに踏んでも15km/hしか出ない状況が続く
中間の弁天島で12h30m、借金30分。寒さと疲労で限界を感じ諦めを宣言
以降目標を達成から完走に切り替え、29h13mにてfinish

同日大阪から出た人達もいたが、全員DNFした事を完走後に知る
未達成とはいえ出し切れたので、不思議と悔しさは無かった
この日、清滝峠から眺めた大阪の夜景は一生忘れない

https://www.strava.com/activities/560911853/overview

当時の自分でも追風基調なら善戦できたとは思うけど
この日、大阪から出なかった自分を今でも誇りに思っている

2016/10/22
スタート前日に宣言、前回のあらゆる反省を生かし輪行で日本橋へ
始発に間に合わず7:30という半端な時刻にスタート (これが後に響く)
潤沢な貯金があったのでアイス休憩、昼食にパスタとマイペースに進む
弁天島で11h12m、補給したてで貯金48分と快調だった

しかし、edge510のルート表示を後半に切り替える際
何とedgeがフリーズ、全ての操作を受け付けなくなる
試行錯誤するも時間だけが過ぎていくので、ログを諦め強制リセット
走行ログのないキャノボは自分の中では完全にアウトなので
この時点でモチベーションが壊滅し、直後のコンビニで5分ストップ

DNFを考えるが、貯金のある状態では諦め切れず前に進む
メーターがリセットされたので通算距離も、グロスAVもわからない
スタート時間が7:30という半端な数字だったため
疲労と眠気で経過時間がパッと計算できなくなってくる

名古屋のコンビニで30分停止、とうとうホテルを検索し出してしまった
心は折れていたが諦め切れず再び国道1号へ、関の時点で貯金は数分
その先の鈴鹿峠が酷い向かい風で、心と脚を完全に削られてしまい
琵琶湖のほとり、始発の電車の音を聞いた途端進めなくなってしまった

今なら空いてる時間に帰れる、ログもないのに大阪まで行く必要あるのか?
京都から大阪まで信号も多い、完走しても数分程度足りないんじゃないか?
眠気と寒さと疲労の中、電車の音がこだまする
やがてコーヒーの のぼり に吸いこまれセブンで足をつく、DNFを宣言
しばらく体を温め、落ち着いてから京都まで15km走り帰路へつく

前半 https://www.strava.com/activities/753017438/overview
後半 https://www.strava.com/activities/753016019/overview

この時は510のフリーズさえなければ十分達成できたと思う
本当に悔しかった、この日五条大橋から眺めた京都の朝焼けは一生忘れない
「はいクソゲー!」とコントローラーぶん投げる気持ちだった

その後は怪我が続いたり東風が吹かなかったりと機会に恵まれず
いつしかキャノボは「達成したい」から「片づけたい」事案に変わる
会う人達から「大阪発なら簡単だよ、大阪からやりなよ」と苦言されたが
2016年のGW、日本橋から出た自分の覚悟を裏切ることはできなかった

達成するだけなら初回で大阪からスタートしていた
自分が目指したのはそんな強さじゃない
自分の憧れた本物はそんなもんじゃない
再び日本橋に立つまで2年を要した

ここから本題です

・準備編
今期のブルベはすべてファストランに努めた
200、300、400、600と1番2番のペースで走り、自信と経験を身につけた
上半期に挑みたかったが悪天や向かい風の日が続き、トドメに25号の崩壊
チャンスはもう秋しかなくなったので、10月の予定は一切入れなかった

昨年から苦しめられているヘルニアが8月になって再発したが
200kmなら痛み止めで抑えられたので条件のいい日が来るなら挑戦しようと
9月末の赤城HCが終わってからはいつでも発てるよう準備していた
東風基調だが雨予報、気温も結構低い。ギリギリまで見定めて前日に宣言

装備はいつもの600kmセットで
・ライト/NEX-975R×2 テールライト/オムニ5 ヘルメットにトライスター
・例のポンプ/チューブ2本/パッチ/タイヤブート/タイヤレバー
・モバイルバッテリーは2000mAh程度のを2つ (1つはお守り)
・サイコンは820J、ルート表示とサブのログ用に510J
・輪行袋はモンベル、紐など入れて308g (とくにこだわりはない)
・サドルバックはオルトリーブのL (とくにこだわりはない)

・お守りにポケッタブルのウインドブレーカー(使わなかった)
・輪行で履く長いランニングパンツ(シャカシャカしてるやつ)
・冷えそうだったので薄いおたふくインナーを半袖ジャージの下に着用
・補給食はイベントで貰ったジェルを8個 (とくにこだわりはない)
・粉飴にBCAAとクエン酸を混ぜたものを5袋 (2袋余った)

自転車は4年の付き合いになるCAAD10、ホイールはキシリウムプロ
苦楽を共に過ごしてきた自慢の相棒

2018/10/13
緊張で3時間しか寝つけなかった、あくびをしながら始発で上野へ
3km自走し日本橋に到着、寒いので一言断ってから6:53にスタート
お守りとしてヘルニアの痛み止めを1錠服用

銀座から川崎まで、同じ土曜の早朝でも2年前より交通量が多い
大半が工事車両、急にウインカーを出し路肩に停まるので肝を冷やした
信号ストップが多いのでグロスが稼げない、こんなんだっけ?と不安になる
藤沢を抜けるまでは我慢の字、渋滞がなくなったらようやくペースを上げる
海沿いの134号は40km以上出せたけど35~38で我慢、とにかく省エネで走る

小田原までかなりセーブして3h25m。貯金35分、前回より5分多い
箱根は旧道で、以前は見かけなかったバスが登りも下りも走っていて驚いた
ランニングしてる団体と激励を飛ばし合いながら淡々と登る
前回より数分タイムを更新し登頂、こんなもんだっけ?と首をかしげた
頂上は寒いので休むことなく三島に抜ける、122kmで5h07m

信号停車中ジェルを補給するが手をベタベタにしてしまいコンビニへ
お手洗いとゴミ捨て、レジが大行列だったので補給は諦め退店、2分のロス
沼津から富士市、清水とバイパスを全て回避しつつシャカシャカ回す
東風も弁天島まで。「後半から本番、関が事実上ゴール」と思っているので
弁天島まではアップのつもりで、5段階のうち3の強度で回す
182kmの静岡駅で7h13m、ここで貯金60分欲しかったものの47分で焦る
ボトルはほとんど空だけど、できる限り補給を伸ばそうと決める

やがて金谷峠へ、気合いを入れて進行するが
箱根と同様「こんなもんだっけ?」とあっさり終わった
ここを抜けたら補給を考えていたが230kmまで頑張ろうと決める
530kmで初回230なら残り300、次150で補給すれば計2回でイケる
程よい場所にセブンがあったのでピットイン、ここで10分使う
クロワッサンをもぐもぐしながら荷物整理、痛み止めを2錠服用

天竜川を抜けたらバイパス回避に川沿いを走る、この辺りから雨
一時的なものだろうと舐めてかかっていたら本降りしてきて焦った
もしedgeが浸水リセットしたら前回の二の舞になる、これを最も恐れた
273km、中間の弁天島で10h54m、貯金66分。ナビの切り替えも問題なし
キャノンボウル着が11h42m、事実上のフォトチェックなので撮影し投稿

この辺りから大阪発の日本橋600ブルベとスライドし出すのでエールを送る
エールと言っても「東海道リターンズがんばれー!」などと
怒鳴り散らしているだけなので2度見されただけで終わった(ただの迷惑)

名古屋に入りバイパス回避の踏切でドンピシャ引っかかってしまうが
この時点で14h13,、貯金は1時間半以上あったので脚休め気分で見送った
脚もまだまだ残っているし、ヘルニア起因の坐骨神経痛で眠気もない
このままいけば21時間45分くらいかなと、なんとなくゴールが見えてきた

しかし名古屋から先は信号が続き、みるみるグロスが落ちていく
ゴリゴリ貯金が削られていく最中、追い打ちで雨も降ってきた
私は眼鏡をかけているためレンズに水滴がつくと前が見えない
ここまで30km/h下回らないよう走ってきたが20km/h走行になってしまう
信号待ちのたび眼鏡を拭って負けるもんか!と進んだ

関まで止まらず進みたかったが雨足が強くなってきた
たまらず四日市のファミマに避難、深夜で商品がほとんど残ってなかった
ウイダーの棚が見当たらなかったので炭水化物を適当に
残り120kmずっと降られるのかなと、最悪のケースを想定し出す
気温は12℃、じっとしてても寒いので雨の中進む。ここで12分消化
再出発早々、ナビ画面が水滴で見えず失意のミスコースをかます

雨のピークを亀山で迎える、大型トラックがビュンビュン通って怖かった
以前はここまで車通り無かったんだけど、この2年で物流も変わったのかな
関を17h40mで経過。貯金1時間20分、貯まるどころか減ってしまった
残り100kmを6時間20分、何もなければ余裕で達成できるが
この先の伊賀越えでメカトラしたら終了なので、この辺りから祈り出す

深夜1時、国道1号から25号へ。小雨がパラつく中、街灯の無い闇に潜る
初回に昼間この道を通過した時は「夜は無理!」と心に誓った怖いルート
しかしランドヌールとして強くなった今はワクワクしながら通過した
木々の中から鹿が鳴くので「うおおおお!!!!」と叫びながら進む
俺の邪魔をするな!と覇気を放ちながら挑んだ

山間部を抜けると民家がチラホラ見えてくる
25号から163号に切り替わる頃にはようやく路面もドライに
雨で速度が出せなかったのもあり脚がバリバリ残っていたが
今更急ぐ必要もないので淡々と、30km/h一定ペースで木津川沿いを走る
木津駅の信号回避に土手沿いを走ったが道が真っ暗、コレは悪手だった

残り30kmを切る、このまま行けば22時間切れそうなペースだったが
雨でしばらくツイートできなかったのでセブンに寄る。496km、20h42m
ここで投稿すれば誰か出迎えてくれるかなと期待したが誰も来なかった
せっかくなので菓子パン2つ購入、1つはゴールしたら食べる用に
レジのおばちゃんに「こんな夜でも自転車走るんですね!」と言われたので

「信じないと思いますけど東京から20時間ずっと走ってきたんです」

と言ったら、店員2人からあれこれ聞かれ地味にタイムをロスしてしまう
更に和歌山から原チャリで来たという旅の青年にも声を掛けられ
事情を話してガーミンを見せると「やべえ!やべえ!」と、ここでもロス
画像をアップするだけのつもりが5分半も費やしてしまった

清滝トンネルから先が工事中だと聞いてたので右折して峠を登坂
以前はトンネルの潜り方がわからずヒーコラ登った経緯があったが
今では「あれれ~?」で終わった。自分の成長を実感できる道中であった
2年前、ここで大阪の夜景を目にした時は涙が溢れそうになった
あの時と同じ位置で足を止め、しばらく夜景を眺めた
ここに来るまで本当に長かったけど、諦めなくて良かった

大阪市内に下ると旅が終わるのを惜しむようになった
車1台も通らない信号待ち、その時間すら愛おしく感じた
やがてナビ画面から軌跡が途切れる、ここが国道1号の終点
524km、22h09m。完膚無きまでリベンジを果たせた


https://www.strava.com/activities/1902809210/overview

記念写真を撮ろうと道路元標で通行人を待つが、早朝の為なかなか通らない
10分程度費やしてようやく、酔っ払ったお兄さんに撮っていただいた
「キミ指名手配とかされてないよね?」と、自然にボケられ苦笑い
※当時冨田幸誠容疑者が逮捕されて間もなかった

日曜の朝5時だったので、大阪で1日観光して帰ろうかなとか
京都までの自走ルートを入れてあるのでリカバリー兼ねて走ろうかなとか
色々考えたけど空いているうちに帰ろうと、まだ薄暗い中新大阪へ
体力の残量は体感20%程度、燃え尽きた感はそこまで無かったけれど
淀川から眺めた大阪の朝焼けをとても美しく感じた

慣れない手つきで輪行モードに
ここで「ゴールしたら食べよう」と思ってたクロワッサンに気づきモシャる
確実に自転車を置きたかったのであえて1本あとののぞみに乗車
猛烈に眠かったけど、窓からの景色をしばらく眺めていた
不思議なことに、嬉しさよりも寂しい気持ちが強かった
達成した人は案外こんな気持ちなのかな

寝て起きてを繰り返しながら東京へ
眠たすぎて目が開けられなかった、こんなの初めてかもしれない
フラフラというより、ヨチヨチ歩きで乗り換えが遠い総武線まで
成田の自宅に着いたのが正午前、ようやくここで旅路が終わった
無事に帰宅するまでがキャノボ

キャノボ攻略法に関してはほぼ全てが既出だと思う
迂回とか短縮とか、それなりに抜け道もあるんだろうけど
小細工無しで達成してこそ真のキャノンボーラーだと思ってる

東海道なら常人でも24時間切れる難易度設定になっているので
正攻法で達成できる気がしない間はレベル上げに徹した方がいい
しいてアドバイスできることと言えば

①まず宣言して挑戦してみる
②ダメだった場合は何が足りなかったか分析する
③達成するまで①と②を繰り返す、絶対に諦めない

この トライ&エラー が一番の近道だと思ってる
今となっては過去2度失敗した事に感謝すらしているんだ
あの時達成していたら、自分はここまで強くなれていなかった

達成した現在、次の目標を手探りしている段階ですが
まずは「今をピークにしないこと」が目標です
キャノボ達成をきっかけに様々な実績解除された感覚なので
本当のスタートはここからなんでしょう、きっと
DQ6なら真ムドー倒した辺りかな?と思っています

ここまで読んでいただき、ありがとうございました
全ての挑戦者に追い風のあらん事を


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?