シバゴー

不思議な話が好きなので、小説を書きます。私は毎年の春、40年前に廃れた村に、90才のお…

シバゴー

不思議な話が好きなので、小説を書きます。私は毎年の春、40年前に廃れた村に、90才のおじいさんと山菜採りへ行きます。そのとき、ふと若い頃のおじいさんに、山の中でばったり会うような気がするのです。もし自分が昔へ戻るような不思議があったら・・・。

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【小説】山の中(第4話)

■■■小説のあらすじ■■■ 羽住 隆志(はずみ たかし)52才。山の中で、雪が覆った川に落ちたところ、村人に助けられた。目が覚めると古い家の布団で寝ていた。その家には囲炉裏があり、古い着物を着た男性3人が座っていた。年配の男性が言うには「今は昭和28年だ」。 ■■■■■■■■■■■■■■ 後日に聞いた話ですと、その時は「気味が悪いスケ、縛り付けて警察に言うか。」と家族で話し合ったそうでした。  私を助けてくれたのは、大山一家の父親と長男、次男の三人でした。とりあえず家に連

    • 【小説】山の中(第3話)

      ■■■小説のあらすじ■■■ 羽住 隆志(はずみ たかし)52才。山の中で、雪が覆った川に落ちたところ、村人に助けられた。目が覚めると古い家の布団で寝ていた。その家には囲炉裏があり、古い着物を着た男性3人が座っていた。 ■■■■■■■■■■■■■■ 囲炉裏の火が点いても部屋は冷えており寒かったです。囲炉裏端に座り、火に近づくと「ああ、あたたかい」と、生きた心地がしました。年配の男性が労わりの言葉をかけてくれました。 「おまえさん、大変だったな。どっから来たガダ?」 「はあ、

      • 【小説】山の中(第2話)

        ■■■小説のあらすじ■■■ 羽住 隆志(はずみ たかし)52才。山の中で、雪が覆った川に落ちたところ、村人に助けられた。 ■■■■■■■■■■■■■■ 目が覚めると、見知らぬ部屋に敷かれた布団の中にいました。暗い座敷でした。掛け布団はズッシリと重いものの、温かでした。上半身だけ起き上がると、裸になっていました。下半身にも何もつけていなかったので、布団から出るに出られず、ここはどこだろうと不安になりながらも、そのまま布団に入っているしかありませんでした。 布団の中でじっとし

        • 【小説】山の中(第1話)

          おうい、おうい。何度、叫んだでしょうか。おうい、誰か。助けて。いくら叫んでも4~5メートル頭上にある、雪の天井に空いた穴からは誰ものぞきません。 寒さで目が覚めた時、わずかに流れる水を感じました。「あっ、日陰の残雪に上がって落ちたんだった」と気付いて、ガバッと起き上がりましたが、見上げた穴からわずかに光が入るだけ、自分の周辺は、ひんやりとしていました。 祈るような気持ちでスマートフォンを手に当たる感触で探そうとしましたが、いくら経ってもそれらしき物が当たりません。たぶん雪

        【小説】山の中(第4話)