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横須賀の隅田川とカーリュー川

201018@よこすか芸術劇場

能「隅田川」+オペラ ブリテン「カーリュー・リヴァー」 連続上演「幻」

1956年に来日して隅田川を観たブリテンがキリスト教に置換して創作したオペラが「カーリュー・リヴァー」(らしい、知らなかったです。。

この二つを観世喜正(シテでもある)と、弥勒忠史(彼は出演しない)が連携、連続上演するとのこと。なので、これは行かねば!、そもそも横須賀にも行ったことはないんですけど(笑)

隅田川は、そこで放置されても見所は途方に暮れるんですけど、、と呟きたくなるような奈落を覗く悲しい曲で、「こんなこと」に比べればうつつの些事なんぞどうにでもしてくれる、と逆に元気も出るよ!というものなんですけど、果たして今回も。(素晴らしい声量をかなり抑えた)シテの透明な謡、済々淡々と感情を押し殺して曲を牽引するワキ、囃子方も盤石、と引き締まった舞台から演者が去っていった。動き出すのにしばらく時間が必要。。(なのに、元気よく拍手したい方、できる方がうらやましいというか信じられないというか(笑))

休憩(45分もある!)をはさんで、冒頭に囃子方がアシらってからオペラへ。二つの出し物が並存で終わらないで、彼岸から此岸へ、東から西に、つながってカリューリヴァーが始まった。客席のわれわれは上演される悲劇と救済の物語を見ている、という枠組みなので、突き付けられ感は幾分緩くなるけど、オペラというより寓話劇、触れるだけで傷口が開きそうな切っ先鮮やかな物語が舞台の上で、上手には鈴木優人が率いる7つの楽器が、音楽を奏でるよりもそれぞれ割り振られた登場人物を共鳴させて、劇を鑑賞するというより語り叫ぶ人たちを眺めている一時間半でした。
連続して観ると改めて、普遍なものと固有なものが際立って、でも、それははそれぞれ一体何なのか、しばらく考えないといけないな(笑)と考えながら、京浜急行の車上となりました。

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