黒柴的パンセ #28

黒柴が経験した中小ソフトハウスでの出来事 #18

ここでは、中小ソフトハウスで勤務していく中で、起こったこと、その時何を考え、また今は何を考えているかを述べていく

「自社の営業活動は、現場営業を主力と考えている」
これは自分のボスが、自社の役員に対して営業部門の不甲斐なさを問いただした際の回答である

「現場営業」というのは、どういうことかというと作業者派遣で客先で作業している作業者自身に、営業活動を委ねるということである
営業活動といっても、いろいろとあるとは思うのだが、自社の場合は情報収集をして、新たな案件情報の獲得に努めということになる

この「現場営業」は、過去には機能していたこともある
特に、1990年代くらいから企業内でも分煙活動が活発になり、自席での喫煙が禁止になった
そのかわり喫煙スペースを設けて、喫煙者はそこに移動しての喫煙となる
喫煙スペースは大企業でもそれほど大量に設けられるわけもなく、複数の部署のメンバーが同じ喫煙スペースで喫煙することになり、結果としてコミュニケーションの範囲が拡大していった
その中から、現在作業者が参画している部署以外の情報を収集し、上手くいけば新たな案件の獲得にもつながった

しかし、2000年代の後半くらいから、情報漏洩事件の多発により企業内のコンプライアンスが厳しく適用されることになった
1990年代くらいには緩かった喫煙スペース内の話題も、2000年代後半くらいからはビジネスの話しは厳しく規制され、正規に契約もしていない他部署の作業者に案件の話しをすることはほぼ無くなった
こうなると、「新規の案件情報を獲得する」という営業活動はほぼできなくなる
可能な「現場営業」は、現在プロジェクトの次期契約の可否とか、作業者を追加契約させられるのかという狭い範囲での営業活動に終始することになる

また、2020年以降の新型コロナのパンデミックに伴い、大手SIer、メーカーを中心に在宅勤務への移行が始まった
自社でも、2020年の春くらいから環境を整えて、在宅勤務を行うようになった
黒柴は、2018年1月から大手メーカーにて常駐作業を行っていたが、ここも2020年3月くらいから在宅勤務となり、2024年3月現在でも必要が無ければ、出社しないという勤務が続いている

在宅勤務が続いてくると、「現場営業」はさらに壊滅的な影響を受けた
リモートで会話する人は、ほぼ同じプロジェクトのメンバーに限定され、たまに「オンラインでの懇親会」のようなものは開催されるが、プロジェクト外の人と個別に深い話をするようなこともできない
かくして、自社の営業活動は、現在の契約先を継続するということしかできていないのである

結論として、どこに課題があるのかというと、自社の経営層が時代の変化による環境の変化について行けず、過去の成功事例から抜け出すことができてないことにあると思う
こういう思考のアップデートは、得てして難しい

では、「営業」という職種は、本来どのように活動すべきなのか?ということについて、次回掘り下げていきたい


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