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ぼくはごみをひろう

僕はごみを拾う
 
そこにごみがあるから
街は綺麗な方がいいから
他人からよく思われたいから

 
そこに山があるから 

イギリスの登山家の名言である
ただ山とごみは違う
山は我々がこの世界で生き始めるずっと前からそこに雄々しく聳えていた先住者
ごみは市民の無責任さと汚れた心が街中に滲み出した無残な個体
比較するのは申し訳ない
 
街は綺麗な方がいい それはそうに決まってる
 
他人からよく思われたいから
結局ここに行き着くのか
打算、計算高い、ええかっこしい、嫌な言葉ばかりだ
 
どうやらそのどれも僕がごみを拾う理由ではない
 
運転中、信号で止まるとコンビニ袋に身を隠した弁当やペットボトルの容器が道路に投げ捨てられている
1つ捨てられるとあっという間に増える
傍らに「あなたの良心まで捨てないで」の看板
だめ、効果なし

昔、聞いたことがある「割れ窓理論」
小さく割れた窓をそのままにしておくと、そのうち重大犯罪が誘発されるいう理論だった

僕は捨てない そんなことしない

本当か、

駅前に自転車が1台も無いと停める勇気もないくせに、先に停まってると、まっいいかって停めたことないか

ある

なんだ一緒じゃん
捨てないことを偉そうに言える人間じゃないんだよ

それでも僕はごみを拾う

それは「僕ってまんざら捨てたもんじゃない」と思える要素が欲しいからだ
僕は間違える、失敗する、駅前に自転車を停めたこともある
落ち込む、あ~あ全然ダメだ、、、ネガティブになる、うん、なる

そんなときアニメのようにポジティブ天使が出てきて僕に言う
そんなことないよ、君はいい所があるし、いい事もたくさんしてるじゃないかって

真面目な人間性の日本人は、自分自身を認めることが一番難しいのだと思う
ダメ出しされた残像が頭の中に燻りまくって
そのためには天使に、、、いや多分その天使は自分自身なんだけど、褒めてもらえる「よりどころ」を増やしたいだけなんだ

そんなちっぽけなことって思われても、いいんだ、自分がそれでいいと思って、それで僕ってそんなに悪くないじゃんって思えるなら、

僕はごみを拾う


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