24/7 トゥエンティーフォーセブンの上場ゴール・業績下降した原因とは?

24/7という企業が華麗に上場ゴールを決め、一部サイトで叩かれています。
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65955013.html
24/7は簡単にいえばライザップの廉価版サービス(パーソナルトレーニング・英会話)を提供する会社です。

簡単に時系列でまとめると

2019年11月に上場。資本金が500万円だったことが話題に
(営業利益11億円)

上場後30日でいきなり下方修正

上場後の初決算がぼろぼろ

結果として、株価も上場時の半分ほどとなっており、時価総額は100億円ほどです。

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決算説明資料を読むと、減益の理由としては

・新規顧客獲得がうまく行かず、継続会員の比率が上昇した
・人件費などの先行投資
とあります。

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ただ、売上は伸びているので、
正確には
「新規で獲得した顧客の利益率が低くなった(獲得効率が悪化している)」
という状況と推測されます。
どちらにせよもう少し詳しくPLを見てみなければいけません。
(ちなみに24/7のジムは90%が直営店)

1店舗あたりの売上・利益率の推移

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24/7 work outのビジネスモデルはライザップと全く同じです。
2ヶ月ほどの短期プログラムで結果を出すコンセプトです。

現在、詳細な料金はHPで掲載されていませんが、口コミを読む限りライザップより安い金額ということです。つまり初期費用+数ヶ月分のプログラム費用を前払いで払うモデルです。

売上高=店舗数×1店舗あたり売上高で分解できるため、
1店舗あたりの売上高の推移(2018→2019)をみていると、

・店舗あたり売上高はほぼ横ばい
・店舗あたり経常利益は下降

利益率が上下している理由を販管費・原価に分けて見てみます。
販管費と原価の推移は下記のようになります。

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2018年度の営業利益率が突出して高くなっており、2019年度の
営業利益率は2016, 2017年度と同水準になっています。

では、2018年度の営業利益率が高くなっていた理由とはなんでしょう?

原価・販管費別に見てみると、原価の売上高比率が下がり、販管費の売上高比率も下がっています。

上場に合わせて少し費用を先延ばしにして利益を最大化させようとしたのか、なにか特殊要因があったのでしょうか
もう少し深堀りする必要がありそうです。

キャッシュフロー状況

次に、キャッシュフローの状況を見てみます。

上場に伴い財務キャッシュフローが大きくプラスになっているのですが、
一旦それを無視すると、実力ベースのフリーキャッシュフロー(営業CF-投資CF)は 2019年11月期は-177百万円でマイナスになっています。

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24/7では数ヶ月のジムプログラムの費用を前受金としてうけとり、その後プログラムが終了した時点で売上に計上していると思います。

2019年期は前受金増減が負になっている(-93百万円)
=すなわち新たに契約をスタートした人より、契約を終了した人の方が多い

ことを示しています。
この前払い金の推移は来期の売上高の推測に用いることもできますね

さらにいうと、2019年は2018年と異なり、
営業CF<当期純利益となっており、
キャッシュフローより純利益のほうが大きい状況となっているので注意が必要です。

実力ベースの純利益はさらに低い可能性がありますね。

改めて、営業キャッシュフローと純利益のギャップの大きな原因は下記の2つです。
・前受金の増減が負になっている
・法人税の支払額が急激に増えている

売掛金の増大

純利益に比べて営業キャシュフローが大幅に小さくなっている理由として
売掛金の増加が挙げられます。
下図のように約7000万円ほど増えています。
ちなみに2017年→2018年は200万円ほどしか増えていません。

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有価証券報告書を見ると売掛金の相手先はGMOペイメントゲートウェイなどになっています。

24/7はパーソナルトレーニングの分割料金にも対応していますので、
そちらのものかと推測されます。売掛金は売上が発生すると発生するものですが、まだ現金としては回収できていません。

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売上債権回転率を計算してみると、2019年期は回収期間が長くなっていることがわかります。(※簡易のため受取手形は除く)

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ただ売上高に対する比率は高くないため大きな問題ではないかもしれません。

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