BUMP OF CHICKEN「Butterfly」

BUMP OF CHICKENのニューアルバム『Butterflies』からのリードシングル。

打ち込みのビートとカラフルなシンセの音色が目立つアレンジ。EDMの高揚感を思わせる曲調だけれど、歌詞では「誰にも聞こえない悲鳴が内側で響く」とか「全部嫌いなままで愛されたかった量産型」とか、ピース&ユニティなEDM思想ではなく、孤独に根ざした感情の動きが描かれている。

この曲について、新作についてはナタリーで取材しました。
http://natalie.mu/music/pp/bumpofchicken15/

そこからの引用。

──「Butterfly」はEDMっぽいシンセのフレーズにまずは耳がいくけれど、よくよく聴くと生々しさもある。不思議な深みのあるサウンドだと思います。

藤原 結果的にいわゆるEDM的な音選びになりましたけど、必ずああいう音で入れたかったわけではなかったんです。まずはあのフレーズを入れたくて、どの音で入れるのが一番効果的なのかを選んでいった結果という。

直井 だから僕らからすると、今回はどの曲も等しくバンドで作った感じですね。EDMを作ろうって感覚はまったくなかった。

藤原 曲に対して適切な音を選んでいったらああなったんだよね。

──この曲のメロディと歌詞を紐解くと、強い孤独感がありますよね。でもアレンジが加わったことですごく高揚感のある聴き応えになり、そのダイナミズムが曲の魅力になっているんじゃないかと。そのあたりはどうでしょうか?

藤原 本当にその通りだと思います。で、意識的ではないんですけれど、自分たちのやってきたことにはそういう対比がとても多いと思いますね。この曲で言うと、きっかけとしては、僕がアコースティックギターの伴奏で歌ったデモテープを聴いて、その歌の中に16ビートのノリを感じられる箇所がいくつかあったので、そこに合うようなアレンジを付けていったんです。「あ、この曲は16ビートなんだな」っていうのはだんだんわかっていった感じです。

(中略)

直井 「宝石になった日」を聴いたときもそうだったし、僕にとっては全部が等しく輝いているんですけど、その中でも「Butterfly」はキラキラと光っているイメージですよね。でもさっき柴さんが言ったように、根幹にあるメロディや言葉はやっぱり暗いのに、そういうものがキラキラして見える。「ray」や「虹を待つ人」もそうだけど、そういう曲が僕らの歌なんじゃないかなと思うんです。うれしいことも悲しいことも、生も死も等しく存在している。僕らの歌にも、それが常に混在し続けている。そういうことだと思うんです。

(引用おわり)

ほんとうは暗いものが、キラキラして見える。そういうマジックのようなものがBUMP OF CHICKENの音楽にはあると思う。「EDM」というくくりはとても乱暴で(パンクもメタルもハードロックエモもシューゲイザーもまとめて「ロック」と言っちゃうようなもんだ)、三代目JSBとかアフロジャックみたいなのをイメージするとだいぶ遠いんだけど、たとえば、ポーター・ロビンソンみたいな世界観とはとても近い気がする。

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