サザンオールスターズ「天国・オン・ザ・ビーチ」/クレージーキャッツ→桑田佳祐→星野源の系譜
サザンオールスターズの一年ぶりのシングル『東京VICTORY』のカップリングに収録された新曲。表題曲については、かなり力を入れて書いた原稿がしばらくしたら公開されるはずなのですけど、こちらもすごく好きな曲なんです。
PVではドリカム、AKB48、奥田民生、斉藤和義などなどの豪華な共演者でも話題を呼んだこの曲。歌詞では直球の「エロ」路線で、《割れ目が「ジュン!!」と鳴っちゃった》とか《反り立つトーテムポール》とか歌ってる。もちろんこういう曲を歌ってきたのがサザンオールスターズなわけだけど、それでも『Mステ』で初披露したときには、「ほんとゴールデンタイムの地上波でこれできるの、このバンドだけだよなあ」と思ったわけで。
で、この曲調。昭和の歌謡曲のテイスト。コミカルでフザケてるように見えるんだけどベースにはアメリカン・ポップスへの憧憬があって、それを日本人の「祭り」の感覚とつなげているような感じがある。そこにあるのはやっぱりクレージーキャッツへのオマージュなんじゃないかと思ってたら、やっぱりそうだった。『SWITCH』最新号のインタヴューで桑田佳祐さん自身が語ってました。
「最近の音楽にはクレージーキャッツやドリフの皆さんが持っていたような園芸の要素が乏しい。日本人に流れているお祭騒ぎの血や海外を模倣する楽しさを、メインストリームで表現する。それもまたサザンの役割であり強みなんじゃないかなって」
なるほど! そして、こういうクレージーキャッツやドリフみたいな「楽しさ」を音楽で表現できる人、そういう「サザンの役割」を下の世代で受け継ぐことのできる人が誰だろうなあ、と考えたわけなんですよ。「いやあ、いないだろうなあ」と思ってたら、一人だけいた。
それが、星野源。
「ハナ肇とクレージーキャッツ」が大好きで、白スーツを着てSAKEROCKをやったのも、完全にクレージーキャッツの影響ですし、何というか、本当に全部に影響を与えられています」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121207/240680/
と前々から語っていた彼。最新曲”Crazy Crazy”は、ハナ肇、谷啓、植木等と、クレージーキャッツのメンバーのうち3人の名前が歌詞に織り込まれてる。
そしてグッとくるのは、この「天国・オン・ザ・ビーチ」のPVに星野源もちゃんと出演してる、ということ。
実は所属レコード会社も同じだし、星野源としては桑田佳祐から何らかのバトンを受け取った気持ちがあったんじゃないかなあ、と妄想すると、ちょっとグッとくる。(88/100)