BOOM BOOM SATELLITES 『LAY YOUR HANDS ON ME』/闘い続けてきたバンドの最後の凱歌

ほんとこの曲は何度聴いても泣きそうになるな……。

BOOM BOOM SATELLITESの最後の作品『LAY YOUR HANDS ON ME』の表題曲。なぜ最後の作品となったかについては、メンバーの中野雅之さんがブログに記している。ニュースにもなったから知ってる人も多いと思う。

(以下引用)この作品は4曲、約22分。祝祭と終焉、静けさ、そして新たな始まり。まるでこのバンドの生涯を22分で描ききったような壮大で美しい作品に仕上がったと思います。ひと足早く聴いてくれた人達は一様にこの作品を「アルバム」と呼んでくれます。実際、川島はアルバムを作りたがっていました。「遂に10枚目のアルバムが完成した」と、僕は言い切ってしまおうと思います。バンド史を締め括るのに相応しい作品です。

そしてこれがBOOM BOOM SATELLITESの最後の作品になります。理由は川島道行の脳腫瘍による麻痺などの後遺症です。現在、川島道行はミュージシャンとしての役割を終えて家族と共に穏やかな毎日を過ごしています。言葉はゆっくりですが話せます。手足は不自由になってきて車椅子を使う機会も増えました。正確な意思の疎通が難しいので、今彼が何を考えて何を思って毎日を過ごしているのか、僕でも少し理解しきれない時があります。しかし、この作品を作りきった充実感や達成感は感じていると思います。僕には本当に燃え尽きてしまった抜け殻のようにも見えます。「お疲れ様!」と声をかけてあげて欲しい。

あともう一息でデビュー20周年というところでしたが音楽家、川島道行との旅もあともう少しで終わろうしています。川島くんと一緒に数え切れないほどの景色を見てきました。何を思い返しても簡単な事は無かった。思いのままジタバタして、もがいて、駆け抜けてきました。振り返るとどれも素晴らしく、誇らしく、思い出達はキラキラと輝いています。
(引用ここまで)
http://bbs-net.com/blog/2016/05/posted-by-nakano-2016531.html

ちゃんとどこかで改めて書きたいと思うけれど、BOOM BOOM SATELLITES というバンドは、ずっとレベル・ミュージックを奏でてきたバンドだった。何かに抵抗する音楽を作り続けてきたバンドだった。パンク・ロックとダンス・ミュージックを、スタイルとかじゃなくて、「反抗」と「祝祭」という、それぞれの精神性の最も深い部分で融合させた音楽を生み出してきた2人だった。

20年近くのキャリアの中でその「抵抗」の相手はいろんなものだったけれど、たぶん、ここ数年の彼らが対峙してきたのは、運命そのものだったのだと思う。とても大きな相手だ。ちっぽけな人間に勝ち目なんてない。それは過酷で、ときに残酷なものでもあったと思う。

けれど、でもこの曲を聴くと、彼らがずっと真っ向から闘い続けてきたからこそ、最後に高らかに鳴り響くような「凱歌」を作ることができたんだと思う。

胸がいっぱいになる。

ティザー映像も公開されていた。
https://www.youtube.com/watch?v=ob7Z4SyG9Y8

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