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ゲスの極み乙女。「私以外私じゃないの」/J-POPからフレンチ・プログレとジャズ・ロックへの飛翔

ゲスの極み乙女。の新曲「私以外私じゃないの」。改めて、この曲はホントすごいと思う。この変態具合、大好き。

「♪私以外私じゃないの 当たり前だけどね」というサビのメロディがCMでも流れまくって、そこが強烈なフックを持ってるからJ-POPとしてキャッチーなことになってるんだけど、よく聴くとかなり変な構成になってる。

2分30秒あたりからの中間部とか、3分15秒からのキメキメなアウトロとか、かなりおかしなことになってる。ゲスの極み乙女。はインディーズ時代から「ヒップホップ・プログレ・バンド」と自称してて、いやいやヒップホップでもプログレでもないじゃん、と思ってたんだけど、この曲は完全にプログレですわ。『MUSICA』には以下のようなレビューを書きました。

アウトロの攻めっぷりに、思わずのけぞってしまった。ジャズロックあたりにも通じるキメキメのアンサンブル。それだけじゃない。全編にわたって、ギターとピアノとベースが、ピンと張り詰めたバランスで手を取り合ってる。2分20秒くらいからのフレーズの応酬もキワキワだ。このへんのプログレッシブな発想はPeople In The Boxあたりにも近いかも。曲全編もファンクをベースに相当難度の高いことをやってる。だけど、「私以外私じゃないの」というフレーズのキャッチ力とメロディのフックで、ポップスとしての強度を成立させている。すごい。


プログレと言ってもいろいろあるので(イエスとかキング・クリムゾンとか)、この曲の参照元が「ジャズ・ロック」であることはちゃんと言っておきたい。というか、僕としてはやっぱりMAGMAなんじゃないかと思います。

フレンチ・プログレの雄、マグマの1973年の名盤『呪われし地球人たちへ』(Mëkanïk Dëstruktïẁ Kömmandöh, 通称『MDK』)。その1曲目がこの曲。男女ヴォーカルがスキャットでユニゾンするとことか、緊迫感あるアンサンブルとか、通じ合うところあると思う。(マグマはコバイヤ語だけど)

そして、ジャズ・ロックと言えば、マハヴィシュヌ・オーケストラ。70年代が全盛期だからあんまり動画は残ってないけど、ちょっと神憑り的な演奏。

リーダーのジョン・マクラフリンが最近になって結成した「ジョン・マクラフリン&4thディメンション」の動画もYouTubeにあった。ここまで来るとフュージョンと言ってもいいのかもしれないけど、とにかくキワキワで格好いい。


このあたりの要素を吸収しつつ、ちゃんとJ-POPとして成立させているのが「私以外私じゃないの」だと思う。そういうところ、ほんとは『MARQUEE』の松本昌幸編集長に掘り下げてもらって、川谷絵音のコアなプログレトークを繰り広げてほしいんだけどな!!

(25/100)


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